ローマ歌劇場による日本公演が9月に開催 ソフィア・コッポラ演出『椿姫』とフランコ・ゼッフィレッリ演出『トスカ』を上演

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2023.4.13


2023年9月、ローマ歌劇場『椿姫』『トスカ』が上演される。

4年ぶりに、本格的な海外歌劇場の引越し公演が行われる。イタリアにおいてミラノ・スカラ座と並ぶ二大劇場であるローマ歌劇場が、今回、ポスト・コロナ時代のオペラ引越し公演の幕開けを飾る。

2022年11月27日、ローマ歌劇場は新時代を迎え、新たな“顔”になるのは音楽監督ミケーレ・マリオッティ。すでにスカラ座はもとより、ウィーン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、メトロポリタン歌劇場など、世界的に活躍し、その力量が認められている。今回の日本公演で上演されるヴェルディの『椿姫』とプッチーニの『トスカ』は、誰もが認めるイタリア・オペラの代表的作。女流映画監督ソフィア・コッポラが手がけた『椿姫』と巨匠フランコ・ゼッフィレッリ演出の『トスカ』という視覚面での充実に加え、マリオッティの音楽的探究が加わることによって、 総合芸術であるオペラの魅力が大きく高まる。

自身を“昔ながらの指揮者だ”というマリオッティは、ひとつの舞台をつくりあげるために多くの時間をかける必要があると考えており、「私は常に苦しみとともに生きる人々、困難を抱えている人々に深く感銘を受け、ある意味で魅了されてきました。それらは作品の主人公や作品自体の解釈の仕方によるものです。ラブ・ストーリーについてロマンティックに話すだけではなく、愛することへの恐れ、愛することの難しさ、回避できる状況、回避できない人生の出来事について見つめなければならないのです」とコメントをしている。

上演される『椿姫』は2018年の日本公演で上演して大評判になった女流映画監督ソフィア・コッポラ演出によるもの。女性をテーマとした映画で手腕を発揮するコッポラは、極端に設定を変えることなく、ヴィオレッタの愛とその生き様を深く描き出すことに成功。ハリウッドで数々の大作を手がけるネイサン・クロウリーが創る世界をイタリア・ファッション界の重鎮、ヴァレンティノ・ガラヴァーニによる本物のオートクチュール・ドレスをまといながら生きるヴィオレッタ。その外見が華やかで美しいがゆえに“裏社交界”の翳りとともに彼女の苦悩が強く迫ってくる。今回の日本公演には、ヴィオレッタに世界中の歌劇場から引っ張りだこで『椿姫』や『ルチア』において華麗なコロラトゥーラを聴かせるリセット・オロペサ、アルフレードに美声にして美形、端正な歌い方でイタリア随一の実力派と認められるフランチェスコ・メーリ、そしてジェルモンには初来日とはいえ、ヨーロッパでは引く手あまたの活躍をみせているアマルトゥブシン・エンクバートが登場。いまが盛りの歌手たちによる声の饗宴が繰り広げられる。

『椿姫』    photo:Kiyonori Hasegawa

『椿姫』    photo:Kiyonori Hasegawa

『椿姫』    photo:Kiyonori Hasegawa

『椿姫』    photo:Kiyonori Hasegawa

そして、ローマを舞台とし、ローマで初演され、ローマ歌劇場にとっては特別な作品でも『トスカ』。演出のゼッフィレッリは2008年、ローマ歌劇場のためにこの『トスカ』をつくったが、今年はゼッフィレッリ生誕100年に当たる。荘厳な教会、重厚な内装の警視総監室、そして聖アンジェロ城での緊迫のフィナーレ。その根底にあるのは「演出家には作曲家から託された物語を伝える義務がある」というゼッフィレッリの信念。サラ・ベルナール演じる芝居を見て、このオペラを書きたいと熱望したプッチーニの想いや描きたかった歌姫トスカのドラマが、ゼッフィレッリの演出と舞台美術によって、迫真の舞台となって繰り広げられる。ローマ歌劇場はコロナ禍で1年延期を余儀なくされた日本公演のために現在望み得る最高のキャストが揃った。トスカ役を十八番とするソニア・ヨンチェヴァ、トスカが命をかけて愛するカヴァラドッシ役には力強い美声を誇るヴィットリオ・グロゴーロ、迫力の悪役スカルピアには傑出したバリトンと定評をもつロマン・ブルデンコが出演する。

『トスカ』    photo:C. M. Falsini/TOR

『トスカ』    photo:C. M. Falsini/TOR

『トスカ』    photo:C. M. Falsini/TOR

『トスカ』    photo:C. M. Falsini/TOR

なお、『椿姫』は2023年9月13日(水)・16日(土)・18日(月・祝)東京文化会館にて、『トスカ』は9月17日(日)神奈川県民ホール、9月21日(木)・9月24日(日)・9月26日(火)東京文化会館にて上演される。

公演情報

2023年日本公演
ローマ歌劇場

『椿姫』『トスカ』
 
『椿姫』 
Giuseppe Verdi LA TRAVIATA
 
日程:2023年
9月13日(水)15:00
9月16日(土)15:00
9月18日(月・祝)15:00
会場:東京文化会館(上野)
 
上演時間:約3時間30分(休憩3回含む)
 
作曲:G.ヴェルディ
指揮:ミケーレ・マリオッティ
演出:ソフィア・コッポラ
 
【予定されている出演者】
アルフレード:フランチェスコ・メーリ
ヴィオレッタ:リセット・オロペサ
ジェルモン:アマルトゥブシン・エンクバート
 
ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団
ローマ歌劇場バレエ団

『トスカ』 
Giacomo Puccini TOSCA
 
日程:2023年
9月17日(日)15:00
会場:神奈川県民ホール
 
日程:2023年
9月21日(木)15:00
9月24日(日)15:00
9月26日(火)15:00
会場:東京文化会館(上野)
 
上演時間:約3時間(休憩2回含む)
 
作曲:G.プッチーニ 
指揮:ミケーレ・マリオッティ
演出:フランコ・ゼッフィレッリ
 
【予定されている出演者】
カヴァラドッシ:ヴィットリオ・グリゴーロ
トスカ:ソニア・ヨンチェヴァ
スカルピア:ロマン・ブルデンコ
 
ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団

※病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮
者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。

発売情報
入場料(税込)
S:¥59,000 A:¥52,000 B:¥45,000 C:¥37,000 D:¥30,000 E:¥20,000

主催: 公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社
共催: 神奈川県民ホール(横浜公演)
後援: 外務省/文化庁/イタリア大使館/TOKYO FM
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