『ウルトラマンブレーザー』ヒルマゲント役・蕨野友也×アオベエミ役・搗宮姫奈インタビュー

インタビュー
アニメ/ゲーム
2023.7.7
 撮影:タナカシノブ

撮影:タナカシノブ

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ウルトラマンの最新テレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』が2023年7月8日からスタート。本作ではウルトラマンに変身する隊長、そして隊員・上官らが織りなすハートフルなヒューマンドラマが、ウルトラマンシリーズならではの最新特撮技術を通して描かれる。地球防衛隊が設立した特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」の隊長を務める主人公ヒルマゲント役を務めるのは蕨野友也。隊員のアオベエミ役には搗宮姫奈。すでに撮影が終わっている本作で、「SKaRD」の絆はどのように強くなっていったのか。本作のテーマ「コミュニケーション」に触れながら、蕨野、搗宮が築き上げた関係に迫る!

(c)円谷プロ(c)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

(c)円谷プロ(c)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

――写真撮影中のお二人の会話を聞いていて、すでにチームが出来上がっている感じが伝わって来ました。撮影は既に終了していると伺い、納得です。

蕨野:物語ではヒルマゲント率いる特殊部隊が絶体絶命の危機に陥るところも描かれます。まずは特殊部隊時代のメンバーとの仲の良さや絆のようなものを出す必要がありました。特殊部隊時代のキャストとは一緒に過ごす時間が少なかったけれど、メンバーとの関係性はしっかり出せました。その後「SKaRD」というチームをゼロから作り上げていく物語が始まります。僕は「SKaRD」としての関係性は普段から作っていけたらと思って、撮影が空くタイミングで隊員役のメンバーに招集をかけました。一回、みんなでじっくり話そうって。

――「隊長!」と呼びたくなる行動です。

搗宮:分かります?本当にそうなんです(笑)。

蕨野:自覚はあります(笑)。僕がまず最初にやったのは、台本についての意見交換です。僕の個人的な考えですが、現場だけの時間ではこの物語をしっかり作り上げるのは難しいと感じて。「このままでいいの?」とみんなに問いかけるところから始まりました。みんなが時間を見つけて集まってくれたので、すごく助かったのですが「面倒くさいと思ってるだろうな」とも想像していました。

――では伺ってみましょう。招集がかかったときはどのように感じましたか?

搗宮:あのとき、全員が求めていたことで、面倒くさいなんてもちろん思っていません。ただ「隊長から召集かかったよ、仕方ないから行く?」みたいなテイで、反応していました(笑)。作品に対しての思いがたくさんあるメンバーだったので、序盤でしっかりと向き合って話ができたのは「SKaRD」にとってとてもいいこと。すごくいい時間でしたし、召集をかけてくれて本当にありがとうございます、という思いです。

蕨野:本当? みんなで「本当は面倒くさい」って話してたんじゃないの?

搗宮:最初の頃はなかったです。まあ、どのタイミングでも「仕方ない、行くか!」みたいな態度は意識的にしていました。もう、お約束のような感じです。

撮影:タナカシノブ

撮影:タナカシノブ

――本当に面倒くさいと思ったことはなかったのでしょうか(笑)?

搗宮:あーーーーーーります(笑)。でも、蕨野さんとゲント隊長の全部を尊敬できるからついて行こうと思えたし、面倒くさいと感じたこともひっくるめて召集には心から感謝しています。いつもありがとうございます。感謝してますよ、本当に!

蕨野:言わなくても、どう思っているかが分かるから(笑)。『ウルトラマンブレーザー』のテーマはコミュニケーション。最初からガンガン仲良くなるやり方もあるけれど、それではワチャワチャしているだけの現場になりかねません。是が非でもそれは避けたいと思っていました。「SKaRD」のキャストはみんな25歳以上でそれなりに大人。だから芝居中もそれ以外でも自分が構築したい距離感も理解できるからこそ、その距離感をうまく調整できるような関係性を築きたくて召集をかけました。召集がかかっても、時間がなくて来られないとか、来たくないから来ないという人がいていいと思っていました。

搗宮:でも全員来ましたよね。

蕨野:そう! 一人くらい欠けるのも楽しそうだと思ったのに、全員が来るから(笑)。

――あのときは…とインタビューなどでのネタになるはずが、全員参加で。

蕨野:最初は来なかったけれど、物語が進むにつれて…」みたいなフレーズを使ってみたかった(笑)。台本の話や面白い話からくだらない話まで。さまざまな話をすることで時間を共有できたことこそが大事だと感じています。

搗宮:物語が進むにつれて、明らかにコミュニケーションが取れていっている感じがお芝居にも出ているはず。そこは見どころのひとつだと思っています。

――ウルトラマンの思い出は、蕨野さんはウルトラマンごっこ、搗宮さんはウルトラマンの主題歌とのことですが。

蕨野:学校に行くと赤白帽を半帽にしてウルトラマンになりきって遊んでいました。まさか大人になって自分がウルトラマンになるなんて思ってもいなくて。僕の中に当時の思い出が今でも断片として残っているように、これから『ウルトラマンブレーザー』を観る子どもたちにも経験してもらえたらうれしいです。
おこがましいかもしれませんが、『ウルトラマンブレーザー』っていい作品だったよね、出ている人たちも良かったよねと、いつまでも誰かしらの心のどこかに残るような愛される作品でありたいと願っています。

搗宮:私の頭の中にずっと残っているのは『ウルトラセブン』の主題歌です。歴代の主題歌を集めたCDをおじいちゃんがよく聴いていて。覚えているのは『ウルトラセブン』。蕨野さんがおっしゃっていた「いつまでも誰かしらの心に残るような愛される作品」ってこういうことなのかな。

蕨野:『ウルトラセブン』は印象に残りやすいフレーズだし、作品に触れていなくてもどこかで耳にしたことがある、と思い出になっている人も多いかもしれません。

搗宮:本当にそうだと思います。

撮影:タナカシノブ

撮影:タナカシノブ

――役者としてのお互いの印象も教えてください。

搗宮:役になる人だと思います。

――インタビューを通しても感じていました。「ゲント隊長が出ているのでは?」と。

搗宮:ほぼ、ゲント隊長になっている気がします。

蕨野:なかなか役が抜けないタイプではあるかも。

搗宮:蕨野さんはこだわりが強くて、納得がいかないと進めなくて、それでいて納得がいった瞬間にものすごいフルパワーで突っ走るようなタイプ、って話せば話すほどゲント隊長と似ている気がします。

蕨野:僕なのかゲント隊長なのか、俺がブレーザーなのかどうなのかって、もう分からなくなっていて…

搗宮:というタイプの方です!

蕨野:いきなりテルアキ(伊藤祐輝演じるナグラテルアキ)に電話して「今すぐ話聞いてもらいたいんだけど…」と、2時間くらい自分の意見をホワイトボードに書き出し、「僕は今、こう考えているけれど、どうかな?」と問いかけるみたいなことを…

搗宮:そんなことがあったという話をテルアキ副隊長から聞きました。

撮影:タナカシノブ

撮影:タナカシノブ

――“報連相”の連携がしっかりとできていますね(笑)。

蕨野:疑問に思うことを疑問で終わらせたくなくて。

搗宮:私も同じタイプなので分かります。

蕨野:自分で腑に落ちたというところまでいかないと、中途半端に作品に挑んでいることになります。それは絶対に避けたいこと。全力でやることは当たり前で、細部の至るところまで疑問に思い、作品をどう良くしていきたいかに重きを置かないとダメだと思っています。

搗宮:すごくよく分かります。

蕨野:姫奈ちゃんは地頭がいい。頭の回転が早いのでいろいろなことが万能にできる。監督からの急なオーダーにも瞬時に対応できちゃう人。できるが故の悩みもおそらくある気はしていますが、自分の限界を簡単に超える人です。

搗宮:めちゃくちゃ褒められてる!

蕨野:自分の限界を超える人と分かっているからこそ、疲れていたり、悩んでいるのを見かけたら、口に出して確認していました。きっと一人でもできるだろうけれど、「SKaRD」は5人で1つのチーム。誰かが気づいて、カバーしてバランスを取る必要がある。誰にどういう役割を与えればチームの色が出るのか、ヤスノブ(梶原楓演じるバンドウヤスノブ)をおちゃらけキャラにしたのも、そういう理由があるからです。

搗宮:考えがまとまらないままで演じたシーンの撮影時に「本当にこれでいいのか」というニュアンスの言葉をボソッと言われ、すごくハッとして。でも、自分ではどう改善したらいいのか分からなかったのですが、蕨野さんの言葉をきっかけにいろいろと話をすることで方法が見つかりました。結果、そのシーンは深みのあるものになりました。蕨野さんが私の悩みに気づき、蕨野さんのやり方で指摘し、解決に繋がるように動いてくれたこと。そういうところも含めて素晴らしい俳優さんだと思います。

蕨野:僕が撮影中にメンバーの名前を本名ではなくキャラクターの下の名前で呼び続けたことも、チームとしてという意識があったからです。って、僕、やっぱり面倒くさい人かな(笑)。

搗宮:大丈夫です。そこも含めて蕨野さんなんで(笑)

(c)円谷プロ(c)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

(c)円谷プロ(c)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

――テーマはコミュニケーションです。お二人が普段コミュニケーションをとるときに大事にしていることを教えてください。

搗宮:コミュニケーションの本質は言葉だと思っています。雰囲気で分かるなんて、私は無理だと思っています。人間に与えられた言葉を使い、うまくコミュニケーションを取ることは普段から心がけていること。自分が使う言葉も、他の人が使う言葉もすごく意識しています。

蕨野:便利なことに人間には口がついているので、言語を理解している者同士なら意思疎通ができます。人間同士なら目を見て言葉をかわせば相手の考えていることがわかります。でも、ウルトラマンブレーザーとゲントの間には共通言語がないからそれができない。どうすればいいのかと考えたときに思い浮かんだのは動物です。動物はしゃべらないのに、なぜか意思疎通ができています。喋らなくても通じるものがあるんですよね。それができるのかどうか、現場で試したこともあります。日常でふと思いついたことを現場で試してみるのは僕のコミュニケーション方法のひとつです。自分なりの正解を日常で欲しかったので、周りをすごくよく見ていました。見るというのは理解したいということ。チームもそうで、誰が何を考えているのかを見て理解し、話してより理解を深める。それが僕がコミュニケーションで意識していることです。

撮影:タナカシノブ

撮影:タナカシノブ

――ゲント隊長の口癖は「俺が行く。」です。お二人はチームで何かをするときに「俺が行く!」と引っ張るタイプなのか、後をついていくタイプなのか。

蕨野:僕は引っ張るタイプではありません。ゲント自身も決してチームを引っ張っているのではなく、与えられた隊長という任を全うしようとしているだけ。僕と酷似している部分があると感じています。

搗宮:私はコミュニティによって自分の役割を変えます。ルールがないとどこまでも突っ走れちゃうので、ゲント隊長と同じように与えられた場所はここだと明確にした上で動きたいです。コミュニティによって与えられる役割は違うけれど、どんな役割を与えられても全力でやるタイプだと思います。

取材・文・撮影=タナカシノブ

放送情報

『ウルトラマンブレーザー』

2023年7月8日(土)放送開始
毎週土曜日午前9:00~9:30
放送局:テレビ東京系6局ネット他
製作:円谷プロダクション・テレビ東京・電通
出演:蕨野友也搗宮姫奈梶原颯内藤好美伊藤祐樹加藤雅也ほか
メイン監督:田口清隆/メイン脚本:小柳啓伍/シリーズ構成:小柳啓伍・田口清隆
監督:辻本貴則・中川和博・越知靖・武居正能・宮崎龍太
脚本:継田淳・山崎太基・植竹須美男・足木淳一郎・中野貴雄・根元歳三

オープニング主題歌:きただにひろし「僕らのスペクトラ」
エンディングテーマ:MindaRyn「BLACK STAR」

番組公式サイト:https://ani.tv/ultraman_blazar/
作品公式サイト:https://m-78.jp/blazar/
作品公式Twitter: https://twitter.com/ultraman_series/

(c)円谷プロ(c)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京
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