西川貴教×柿澤勇人、Wデューイが考えるロックとはーー『スクールオブロック』オフィシャル対談到着

インタビュー
舞台
2023.7.24
西川貴教、柿澤勇人 撮影=荒川 潤

西川貴教、柿澤勇人 撮影=荒川 潤

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ミュージカル『スクールオブロック』が8月17日(木)に東京建物Brillia HALLにて開幕、大阪公演は9月23日(土・祝)から10月1日(日)まで新歌舞伎座にて上演される。稽古真っ只中の西川貴教と柿澤勇人のオフィシャル対談が到着した。

本作は2003年に公開されたジャック・ブラック主演の映画『スクール・オブ・ロック』を原作にしたミュージカルで、『オペラ座の怪人』や『キャッツ』などで知られるアンドリュー・ロイド=ウェバーが音楽を手がけ、2015年にブロードウェイで初演された。

西川貴教、柿澤勇人(追加カット)

西川貴教、柿澤勇人(追加カット)

日本では2020年の公演中止を経て、今回が待望の初上演。

日本版翻訳・演出は鴻上尚史が手がける。

鳴かず飛ばずのロックギタリストのデューイがひょんなことから厳格な名門進学校の臨時教師になりすまし、破天荒な授業を行いながら、子供たち、そして大人たちを変えていく物語が描かれる作品で、デューイ・フィン役を西川貴教と柿澤勇人(Wキャスト)、名門校の校長ロザリー・マリンズ役を濱田めぐみ、デューイの親友ネッド・シュニーブリー役を梶裕貴と太田基裕(Wキャスト)、ネッドの恋人パティ・ディ・マルコ役をはいだしょうこと宮澤佐江(Wキャスト)が演じる。生徒役は1452名が参加したオーディションを経て、ビートチーム12名、コードチーム12名が選ばれた。

主人公デューイ・フィンをWキャストで演じる西川貴教と柿澤勇人に話を聞いた。

「え、これできんのかな?」「これ、毎日やるんですか?」

西川貴教、柿澤勇人(追加カット)

西川貴教、柿澤勇人(追加カット)

――稽古が始まっているそうですが、実際に動き出してどう感じていますか?

柿澤:まだ序盤ではありますが、子供たちの演奏の楽器パフォーマンスが素晴らしいです。でも芝居には慣れていないので、どう動く、とかいつ台詞を言う、みたいなことに関しては、最初まったく言うことを聞きませんでしたね(笑)。

西川:素直なので、台詞を言ってる人のほうを向いちゃうんですよ。それによって完全にお客様にお尻を向けている状態が普通にある(笑)。

柿澤:鴻上さんもすでに50回くらい本気で注意してます(笑)。

西川:舞台が学校なので、小道具としてホワイトボードがあるんですけど、鴻上さんがそれに大きく輪を二つ重ねて書いて、「こっちの輪が「冷静」、こっちの輪が「情熱」。この重なっているところに、いい芝居があるんだぞ」って説明していました(笑)。僕も聞いていて「なるほど」って勉強になりましたけどね。

柿澤:そうですね。そこは僕らにとっても再確認ができたり、新たに「そうなんだ」と思うところもたくさんあるので、非常に勉強になります。

――ミュージシャンの西川さんには、子供たちの楽器パフォーマンスはどう見えていますか?

西川:そこはもう、やはりものすごい数のオーディションを勝ち抜いたメンバーなので。つい「子供たち」みたいにくくってしまいがちなんですけど、もう全然、それぞれの個性があって素晴らしいです。

――お二人が演じるデューイという役は演じてみていかがですか?

柿澤:今は1シーンごとに稽古をしている段階ですが、先日みんなで初めて最初から最後までの本読みをやりまして。そしたら、もう……えぐかったですね(笑)。

西川:めまいがしました。

柿澤:「え、これできんのかな?」

西川:「これ、毎日やるんですか?」

――(笑)

西川:脚本を一人で読んでいるときは、ちょっと間(ま)を作ってもいいかもと思った場面とかもあったんですけど、あの本読みをして、そんなことしてたら一幕だけで120分かかると気付きました。これは一瞬で心を動かしていかないとだめだなって。

柿澤:そうですね。

西川:なので「気持ちの動き」の大変さはある気がします。生徒も12人いるから、デューイは12人分心を動かさないといけない。そこは大変そうだなと思いますね。

柿澤:テンション的なところでも、デューイは登場からいきなりアクセルをベタ踏みでいく感じです。以前、ブロードウェイでこの作品のバックステージを紹介する動画を見たことがあるのですが、デューイ役の役者が「今ちょうど一幕が終わったんだよ」と言って、すんごい疲弊してたんですよ(笑)。その理由がやっとわかりました。だから今は楽しみっていうよりは不安です……(笑)。

西川:僕なんかより圧倒的に舞台経験のある柿澤くんが不安だって言うんですから。僕の心は言わずもがなでしょう!?

柿澤:(笑)

――子供たちと接する中でもらうエネルギーもありますか?

西川:もちろん。よく「没個性」と言ったりしますけど、このカンパニーにいるみんなはなおさらかもしれないですが、「こういう子供たちがいるのならまんざらでもないんじゃない? これからの日本」って思いますから。

柿澤:吸収もすごく早いですしね。最初の頃は、どこか遊びとか習いごとみたいな、自分の得意なことの延長線上でやっていたと思うんですが、稽古開始から2週間経って変わりつつあります。そういう成長はすごいと思うし、「いいなあ」とも思います。僕は子供の頃にピアノを習っていたんですけど、早々にやめてしまって。だからピアノを弾いている姿とかを見ると、「これが才能なんだ」って思いますね。すげーヤツばっかりです。

西川:ドラムの二人とかもすごくいいゴーストノート(ドラムテクニック)が入ってる。「なかなかいないな、こんな子」って思います。すごいですよ、本当に。

――鴻上尚史さんの演出は、受けていかがですか?

西川:僕は初めてご一緒するのですが、すごくいろいろな意見を吸い上げてくださる方で。作品が進んでいくと厳しいこともあるかもしれないですが、今は「なにがやりやすいか言ってください」と言ってくださいます。いつもそう?

柿澤:そうですね。鴻上さんは多分、僕たちの中から出てきたもののほうが正しいと思っているんだと思います。だから「これだ」って決めずに、自由度を高く、間口を広くしてくれて、僕らがいろいろトライしていく中で「これがいい」とかジャッジしてくださるんですよ。

デューイの「一生懸命さ」がロック

西川貴教、柿澤勇人

西川貴教、柿澤勇人

――デューイが子供たちにロックを教える作品ですが、この作品における「ロック」ってなんだと思われていますか?

柿澤:むずかしい。なんだろう……。今は正直、とにかく一生懸命、役を全うするしかないなって気持ちです。「子供たちにこういう影響を及ぼしたい」とか「こういうデューイ像があって、理想があって、こうしたい」みたいなこと以上に、やらなくちゃいけないことが多い。僕の場合は多分、一生懸命やって、汗だくになって、くたくたになって、終演したらなにもできねえ、みたいになって終わる気がします(笑)。

――その姿がもしかするとデューイかもしれないなと思いました。

西川:ね。

柿澤:だといいんですけどね。

西川:ロックって現代のミュージックシーンにおいてはちょっとノスタルジックなものというか。あんまりロックロックって言う時代じゃないよねってものになっている。でもやっぱり、抗ったりぶつかったりみたいなものはロックの象徴みたいなところがあって。僕がやっている『イナズマロックフェス』に、出てくださる方々はロックミュージシャンに限らず、アイドルもいれば、アニメをルーツにしたアーティストの方もいたり、本当にジャンルがごちゃまぜなんです。でも僕の中では、地方で開催するむちゃくちゃなイベントに出てくださるという時点で、信念を持って来てくださっている方々だと思う。そういう「想い」みたいなものが「ロック」だと思います。そういう意味では、さっきカッキーが言っていた、「一生懸命さ」ですよね。歳を重ねた僕が、大汗かいて、夢中になって、必死になる瞬間って、ぶっちゃけカッコ悪いし見せたくないなと思うけど、でもこのカンパニーでそういう時間が過ごせることは、やっぱり人生にとってすごくロックな瞬間なのかなと思う。カンパニーのみんなと一緒に、そういう作品にできたらいいなと思います。

取材・文=中川 實穂 撮影=荒川 潤

西川貴教、柿澤勇人(追加カット)

西川貴教、柿澤勇人(追加カット)

SPICEでは西川貴教、柿澤勇人の両名に個別インタビューも掲載。はイープラス他プレイガイドにて一般発売中。

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公演情報

ミュージカル『スクールオブロック』
 
<東京公演>
日程:2023年8月17日(木)~9月18日(月・祝)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
主催:ホリプロ/フジテレビジョン/TOKYO FM/キョードーファクトリー
企画制作:ホリプロ
 
 
<料金>
S席:平日13,500円/土日祝14,500円
A席:平日9,500円/土日祝10,500円
B席:平日4,500円/土日祝5,500円
(全席指定・税込)
Yシート:2,000円 ※20歳以下対象・当日引換券・要証明書・4月20日より枚数限定販売
※未就学児入場不可
※本公演のは主催者の同意のない有償譲渡が禁止されています。
※車椅子でご来場のお客様は、車椅子スペースに限りがございますので、事前にホリプロセンターまでご連絡ください。
※やむを得えない事情により、出演者並びにスケジュールが変更になる可能性がございます。予めご了承ください。
※公演中止の場合を除き、払い戻し、他公演へのお振替はいたしかねます。ご了承のうえ、お申込みください。
 
■アフタートークイベント
【対象日程】
8月23日(水)17:45
登壇者:西川貴教/太田基裕
8月26日(土)17:45
登壇者:柿澤勇人/梶 裕貴
8月31日(木)17:45
登壇者:濱田めぐみ/はいだしょうこ/宮澤佐江
※登壇者は急遽変更になる場合もございます。
 
<大阪公演>
日程:2023年9月23日(土・祝)~10月1日(日)
会場:新歌舞伎座
主催:関西テレビ放送 新歌舞伎座 サンライズプロモーション大阪
ミュージカル『スクールオブロック』|公演情報|新歌舞伎座 (shinkabukiza.co.jp
TEL:新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222(10:00~16:00)
 
<キャスト>
デューイ・フィン役:西川貴教/柿澤勇人(Wキャスト)
ロザリー・マリンズ役:濱田めぐみ
ネッド・シュニーブリー役:梶 裕貴/太田基裕(Wキャスト)
パティ・ディ・マルコ役:はいだしょうこ※/宮澤佐江(Wキャスト)
阿部 裕、神田恭兵、栗山絵美、多岐川装子、俵 和也、丹宗立峰、ダンドイ舞莉花、中西勝之、西野 誠、湊 陽奈、安福 毅 (五十音順)
スウィング:AYAKA、森内翔大
※はいだしょうこ:ロザリー・マリンズ役カバー
 
《チーム・ビート*》
大久保実生(トミカ)、加藤悠愛(ソフィー)、木村律花(ショネル)、熊田たまき(ローレンス)、後藤日向(ザック)、佐藤 凌(ビリー)、シーセンきあら(マーシー)、中川陽葵(サマー)、三宅音寧(ケイティ) 村井道奏(フレディ)、宮島伊智(ジェイムズ)、屋鋪琥三郎(メイソン)
 
《チーム・コード*》
小川実之助(ローレンス)、桑原広佳(マーシー)、飛田理彩子(ケイティ)、中込佑協(メイソン)、中嶋モモ(フレディ)、平岡幹基(ジェイムズ)、前田武蔵(ビリー)、真木奏音(ソフィー)、三上さくら(トミカ)、三宅音太朗(ザック)、宮﨑南帆(ショネル)、山崎 杏(サマー)
*五十音順
 
<スタッフ>
音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本:ジュリアン・フェロウズ
歌詞:グレン・スレイター
日本版演出・上演台本:鴻上尚史
訳詞:高橋亜子
音楽監督:前嶋康明
振付:川崎悦子
美術:松井るみ
照明:中川隆一
音響:山本浩一
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
歌唱指導:山口正義
歌唱指導補:堂ノ脇恭子
演出補:豊田めぐみ
演出助手:元吉庸泰
舞台監督:北條 孝
 
ホリプロステージ公式公演ページ=https://horipro-stage.jp/stage/sor2023/
公式HP=http://sormusicaljp.com/
公式Twitter=https://twitter.com/sormusicaljapan #ミュージカルスクールオブロック
公式Instagram=https://www.instagram.com/sormusicaljapan/
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