舞台演出家のジョー・ヒル=ギビンズが自身の演出について語る NTLive×PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』コラボ企画オフィシャルレポート公開

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2023.8.9
NTLive × PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』トークイベントより

NTLive × PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』トークイベントより

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2023年7月23日(日)、ナショナル・シアター・ライブ(NTLive) × PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』コラボレーション企画 舞台演出家ジョー・ヒル=ギビンズ トークイベントが、東京・シネリーブル池袋にて開催された。この度、オフィシャル・レポート、そして公式サイトにて動画が公開されたので紹介する。

シネリーブル池袋にて開催中のNTLiveアンコール夏祭りに合わせ、初の海外ゲストとして、ロンドンからヒル=ギビンズを迎え実施されたこのトークイベントでは、各国で活躍を続けるヒル=ギビンズが思う、イギリスの演劇事情や、NTLiveから自身が受けた影響、そして『橋からの眺め』と自身の演出について、日本の観客を前に語った。

ジョー・ヒル=ギビンズ       (C)Marc Brenner

ジョー・ヒル=ギビンズ       (C)Marc Brenner

オフィシャルレポート

ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)アンコール夏祭り 舞台演出家ジョー・ヒル=ギビンズ トークイベント

パルコ・プロデュース『橋からの眺め』演出のため、イギリス・ロンドンから来日した気鋭の演出家ジョー・ヒル=ギビンズが、7月23日にシネ・リーブル池袋で開催の「ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)アンコール夏祭り」のトークイベントに登壇。司会進行はNTLive日本公開時のパンフレット編集を担う演劇ライターの兵藤あおみ、通訳は角田美知代。中盤からは『橋からの眺め』の翻訳を務める広田敦郎がゲストとして参加した。

まず、2019年に日本でも公開されたヒル=ギビンズ作、サイモン・ラッセル・ビール主演のシェイクスピア『リチャード二世』について兵藤から質問されると、演出意図について丁寧に語り始めた。なぜ舞台セットを窓も出入口もない牢獄にしたのか、なぜ衣裳を現代的でシンプルにしたのか……など、そのアイディアや理由を惜しまず詳細に説明。観客一人ひとりに目を合わせるように語り掛けるヒル=ギビンズの話に、『リチャード二世』を鑑賞した観客たちが感心して頷いている様子がうかがえた。2022年、『リーマン・トリロジー』(サム・メンデス演出)での演技で第75回トニー賞 演劇主演男優賞を受賞したサイモン・ラッセル・ビールとのコラボレーションについて話がおよぶと、「とにかく素晴らしい経験だった」とヒル=ギビンズ。斬新な演出にも理解を示し、すべてを受け入れてくれた「素晴らしい俳優で、素晴らしいカンパニーのリーダー(座長)」と絶賛した。つづけてプレビュー公演の際の失敗談も披露、観客の笑いを誘う。

日本での演出が初めてとなるアーサー・ミラー作『橋からの眺め』について話題が移り、翻訳家の広田も登壇。「アーサー・ミラーは、普通の人を主人公にした悲劇でも骨太の物語として描けることを示した劇作家。中でも『橋からの眺め』は普通の人の悲劇をさらに洗練して、これまでの表現を凝縮したような戯曲。シンプルで力強く、ものすごく一直線な悲劇」と翻訳しての印象を語る。「ジョーさんはマンチェスター大学で演劇を学び、その後、ロイヤルコート劇場でアシスタント・ディレクターとして働きながら文芸部にも所属して数多くの戯曲を読んでいた経験を持つ、戯曲を読む力を持った演出家。そのジョーさんが『橋からの眺め』をどう読んだのか、その魅力は?」と兵藤。するとヒル=ギビンズが「素晴らしい戯曲。アーサー・ミラーが書いた戯曲の中でも最高傑作だと思う。エディという男とその姪であるキャサリンを中心に描かれているが、エディがキャサリンに対して抱いている想いが複雑だと分かってくることで、家族という関係とロマンス(大人同士の性的な想い)が交わることによって生じる複雑な状況、あるいは混乱が露わになっていく」と印象を語った。

ほかにも、ドイツでの演出経験から得たこと、古典作品で現代の観客に語り掛けるにはどう演出するか、など話は尽きない。通訳を忘れるほど熱く語り、我に返って通訳の角田に詫びる一幕では、客席から笑いが起こる。また、イベント直後に上映された人気作品『フランケンシュタイン』(主演:ベネディクト・カンバーバッチ、ジョニー・リー・ミラー)の見どころも。ヒル=ギビンズとカンバーバッチはマンチェスター大学の同窓生、「友達のベネディクトが作品の中心となるモンスターを演じているのを(劇場で)観た時は嬉しかった」と微笑んだ。

40分ほどの短い時間ではあったが、全方位に気を配り、実直で丁寧、またユーモアに溢れているという人柄も伝わる濃密なトークイベントだった。

NTLive × PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』トークイベントより

NTLive × PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』トークイベントより

NTLiveでは、過去特に好評を得た名作を上映するアンコール夏祭りを、8/10(木)まで開催中。今後も、『ライフ・オブ・パイ』、『ベスト・オブ・エネミーズ』など、英国ナショナル・シアターが厳選した、世界で観られるべき傑作舞台の上映を予定している。

そして、ヒル=ギビンズの日本では初となる演出作品 PARCO PRODUCE 2023 『橋からの眺め』(出演:伊藤英明、坂井真紀、福地桃子、松島庄汰、和田正人、高橋克実)が、9月2日(土)から東京芸術劇場プレイハウスにて開幕する(福岡、広島、京都公演あり)。作家アーサー・ミラーの代表作とも言える『橋からの眺め』を、演劇とオペラの演出家として定評があり、コンセプチュアルな演出で、国際的にも高い評価を受けるヒル=ギビンズが、日本でどのような作品を誕生させるのか、期待しよう。

イベント情報

NTLive × PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』トークイベント ※終了
 
開催日:2023年7月23日(日)
場所:シネ・リーブル池袋
ゲスト:ジョー・ヒル=ギビンズ(舞台演出家)
司会進行:兵藤あおみ(演劇ライター)
 
ジョー・ヒル=ギビンズ https://www.joehillgibbins.com/

【本トークイベントの動画URL (ナショナル・シアター・ライブ 日本公式サイト) 】
https://www.ntlive.jp/events

公演情報

PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』
作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ジョー・ヒル=ギビンズ
出演:伊藤英明 坂井真紀 福地桃子 松島庄汰 和田正人 高橋克実
 
公式サイト https://stage.parco.jp/program/aviewfromthebridge
ハッシュタグ #橋からの眺め
 
企画・製作 株式会社パルコ
 
【東京公演】
日程:2023年9月2日(土)~24日(日)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
料金:(全席指定・税込)
S席 11,000円 A席 9,000円
U-18 3,000円[観劇時18歳以下対象] U-30 5,500円 [観劇時30歳以下対象]
※U-18・U-30:前売のみ、要身分証、当日引換(詳細はホームページでご確認ください)
※未就学児入場不可
に関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
(平日12:00~18:00※当面の間は月~金12:00~15:00までの営業となります)
公演に関するお問合せ パルコステージ 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
 
【北九州公演】
日程:2023年10月1日(日)
会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール
料金:10,000円
(全席指定・税込)U-25:5,000円(観劇時に25歳以下対象、当日座席指定券と交換、要年齢証明書提示)
※未就学児入場不可
お問合せ:ピクニックセンター
050-3539-8330(平日12:00~15:00)http://www.picnic-net.com/

【広島公演】
日程:2023年10月4日(水)
会場:JMSアステールプラザ 大ホール
料金:9,500円
(全席指定・税込)U-25:5,000円(観劇時に25歳以下対象、当日座席指定券と交換、要年齢証明書提示)
※未就学児入場不可
お問合せ:TSSイベント事務局082-253-1010(平日10:00~17:30)
キャンディープロモーション082-249-8334(平日11:00~17:00)
 
【京都公演】
日程:2023年10月14日(土)・15日(日)
会場:京都劇場
発売日:2023年9月9日(土)
料金:11,500円
(全席指定・税込)※未就学児入場不可
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~18:00)※日・祝は休み

上映情報

「NTLiveアンコール夏祭り」

上映日:8月10日(木)まで
『リア王』(イアン・マッケラン主演版) 8月10日(木)
『かもめ』 8月日9(水)
 
【NTLive 2023 最新作】
『ベスト・オブ・エネミーズ』 9月8(金)〜  TOHOシネマズ 日本橋ほか
 
日本公式HP : http://www.ntlive.jp
 
【NTLive お問い合わせ先】
カルチャヴィル合同会社 EMAIL: info@culture-ville.jp
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