《連載》もっと文楽!~文楽技芸員インタビュー~ Vol. 11 鶴澤清介(文楽三味線弾き)

インタビュー
舞台
2025.1.21


「技芸員への3つの質問」

【その1】入門したての頃の忘れられないエピソード
 
初めて一人で盆に乗ったのが、『一谷嫩軍記』弥陀六内の段。長らく上演されていない段で、道八師匠が作曲してくれました。ところが、初日に盆が回って弾き出したら糸巻きがくるくると返ってしまって。普通は三味線を置いて糸をくくっている時、太夫さんが素語りするのですが、太夫も止まってしまったんです。しかたないから全部合わせて一からやり直しました。まだ舞台に人形さんが出ていなかったのが幸いしましたが、弥陀六を遣うために袖に控えていた先代の(吉田)玉男師匠からは終わった後に「お前はえらいやっちゃな」と言われました。若い時はほかにも糸を切ったり皮を破ったり、山のように失敗しましたね。

【その2】初代国立劇場の思い出と、二代目の劇場に期待・妄想すること

正月の朝日座での初舞台後、2月の東京公演は僕は休んだので、4月末〜5月の東京公演で「蝶の道行」(『契情倭荘子』)に出してもらったのが、初めての国立劇場。それ以来、あの劇場がずっとあるもんやと思っていました。国立劇場自体は勿論、麹町、隼町界隈に何十年も通っていてあの辺りにお馴染みがあるから、できるだけ早いこと、あそこで毎日勤めて、あそこら辺で過ごせるようになりたいんです。

【その3】オフの過ごし方

若い時はよく旅行に行っていました。名水巡りをしたり、先達というのにしてもらってお四国さんをしたり。ただ、戸籍年齢は正直で、ソフトは15歳でもハードのほうがそれなりだから、少し前まで本ばっかり読んでいたけれどこの頃はそれも大義になってきて。YouTubeにお能も文楽も義太夫もあるから、そういう動画をしょっちゅう見ています。


取材・文=高橋彩子(演劇・舞踊ライター)

公演情報

『令和7年2月文楽公演』
日程
2025年2月8日(土)~2025年2月26日(水)
会場
きゅりあん大ホール(8日~16日)/文京シビックホール大ホール(20日~26日)
 
開演時間
第一部 午前11時開演(午後2時10分終演予定)
第二部 午後3時開演(午後5時10分終演予定)
第三部 午後6時開演(午後9時終演予定)
 
※開場時間は、開演30分前の予定です。
※各部、休憩がございます。
※字幕アプリがご利用いただけます。
 
17日(月)~19日(水)は公演なし

吉田和生文化功労者顕彰記念
通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)

第一部 (午前11時開演)
小松原の段
太宰館の段
妹山背山の段
 
第二部 (午後3時開演)
猿沢池の段
鹿殺しの段
掛乞の段
万歳の段
芝六忠義の段
 
第三部 (午後6時開演)
杉酒屋の段
道行恋苧環
鱶七上使の段
姫戻りの段
金殿の段
 
 
主催=独立行政法人日本芸術文化振興会
共催=公益財団法人品川文化振興事業団〈きゅりあん公演〉
文京シビックホール(公益財団法人文京アカデミー)〈文京シビックホール公演〉
文京シビックホール25周年記念公演〈文京シビックホール公演〉
 
 

公演情報

義太夫節演奏会
『御所桜堀川夜討』

弁慶上使の段
浄瑠璃 竹本碩太夫
三味線 鶴澤清介
 
大阪
日程 2025年3月21日(金)
会場 国立文楽劇場小ホール
 
東京
日程 2025年3月24日(月)
会場 日本橋社会教育会館ホール
 
開演13:30
 
発売 2月12日(水)10:00~
 
問合せ:株式会社コテンゴテン 峯田(ミネタ)
電話 070-8428-8515 メール office@coten-goten.com 
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