総勢85組ものアーティストが神戸に集結、ロックンロールはいつだって右上がり!ーー『ロックンロールサーカス2025』2日目を振り返る

レポート
音楽
2025.3.11

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『ロックンロールサーカス2025』2025.1.12(SUN)神戸・三宮周辺

神戸にあるライブハウス、神戸VARIT.を中心としたサーキット型ライブイベント『ロックンロールサーカス2025』(以下、ロックンロールサーカス)が、1月11日(土)、12日(日)の2日間に渡って開催された。2019年の開催から今年で7回目の開催を迎え、“ロックンロールの年初め”として関西はもちろん、全国からロックンロール好きが集まる名物イベントとして人気を集めている。今年もSPICE編集部では本イベントの模様を2日間にわたってレポート。初日の模様については(初日記事)をチェックしてほしい。

レジェンドクラスから注目の若手まで、タフで”クセ強”(良い意味で)なアーティストが顔をそろえていた初日。2日目も負けじと、全国から個性ある面々が勢ぞろい。神戸の中心地にあるライブハウスやライブスペース6か所に、両日あわせて総勢85組ものアーティストが神戸の街に集っていると思うとかなり壮観だ。初日のレポートをすっ飛ばして、この記事を読んでくれている人のためにも、出演者を改めて総ざらいしたい。

イヌガヨ、ワタナベフラワー、THE BOHEMIANS、鶴、SCOOBIE DO、STANCEPUNKS、SA、ギターウルフ、Kensuke Sudo、THE BLACK DOLPHINS、ザ・サイクロンズ、(The)SEGARE KIDS、フー・ドゥー・ユー・ラブ、ADDICTION、hotspring、フーテン族、AKOGARE、ウルフルケイスケwith 空団地、IGUWANNAS、THE HillAndon、KING BROTHERS、THE DO DO DO‘S、Nevera、奏人心、モテギスミスバンド、もえ子、タバタヒナ、テトラポット、オータムス2、百回中百回、ザ・タペタムズ、ゆうやけしはす&すうらばあず、50/50’s、THE S.O.S、UNCLE JOHN、THE NUGGETS、ズボンズ、ガガガSP、YAPOOL、The Songbards、THE BAWDIES、The howlin’ dogs、THE NEATBEATS、セックスマシーン!!、水平線、ザ・キャプテンズ、THE PRIVATES、the Tiger、THE GROOVERS、the myeahns、KiNGONS、THE こうがんず、赤いくらげ、ムステインズ、ひょうへんクラブ、ネモトラボルタ、まなつ、騒音寺、The Amaretts、Mr.ワリコメッツ、Muddy Jackets、THE HOLDENS、wilberry、超右腕、寝たふりナッパーズ、Dirty Rogues、THE NAIVE BOYS、The Slumbers、the imitation hearts、B.I.B.S.、puggs、福、円盤少女、千年メモリーズ、虎の子ラミー、THE LET’S GO’S、THE PERRY、サテライト、蟹光船、ザ50回転ズ、Johnny Pandora、黒猫CHELSEA、忘れてモーテルズ、おとぼけビ~バ~、キノコホテル。これだけの面々が2日間に分けたとはいえ、一堂に揃うイベントは全国でもここだけ。年々、『ロックンロールサーカス』に出演したいと願い出るアーティストが増え続けているのも納得だ。

初日のレポートと同じく2日目も、主催者であるVARIT.店長・南出氏の「お好きなように観てください!」という言葉のままに、ワガママに好きなアーティストのステージを巡っていく。が、初日に20組以上のステージを渡り歩いたもんだから、足腰の疲れは少々残り気味……。なんせ、会場は神戸の街にぎゅっとコンパクトに集まっているものの、建物の3階にあったり、地下にあったりと階段の昇り降りが多い! 日頃の運動不足を猛省しつつ、2日目も最高のロックンロールを全力で楽しんでいきたい。

ロックンロールの年初め! VARIT.で新旧のロックンロールバンドが吠える

セックスマシーン!!

セックスマシーン!!

初の2日間開催となる『ロックンロールサーカス』。饗宴の祝砲をあげるトップバッターは神戸出身のセックスマシーン!! 「朝イチからオレと一緒に! あんたの声で調子に乗るぜ!今日が良くなるぜ!」と、「サルでもわかるラブソング」から明朗快活、相思相愛なロックンロールを奏でていく。VARIT.特製の花道を飛び込み台にして豪快にフロアにダイブしつつ、「日本中を駆けずり回って、近くでも遠くでもあんたとライブすることを誓うぜ!」と、「頭の良くなるラブソング」で生粋のライブバンドぶりを見せつけてくれた。

水平線

水平線

今回のレポートにあたり、南出氏からは「お好きなように観てもらえたら」と言葉をもらっていたが、SNSで『ロックンロールサーカス』の情報が連日発信されるなか、気になるアーティストをいくつか事前にチェックしていた。そのうちのひとつが京都で活躍する4人組バンド・水平線だ。「ちゃんとロックンロールしてるんです!」の南出氏の言葉通り、「トーチソング」「ロールオヴァー」など、素朴だけど心に確かな軌跡を残すサウンドがとてもいい。普段なら出会う機会がないかもしれない、そんな新しいバンドとの出会いが見つかるのもサーキット型ライブイベントの良いところ。

ザ・キャプテンズ

ザ・キャプテンズ

失神者続出(!?)で、黄色い歓声を(少々無理矢理に)集めていたのがザ・キャプテンズ。「このバンドを、僕を選んでくれてありがとう!」と、「恋のピストル(BANBANBAN)」など純度100%のグループ・サウンドでロックンロール好きなお嬢さんたちを虜に。

THE PRIVATES

THE PRIVATES

ベテランを通り越して、もはや師匠クラス。THE PRIVATES、THE GROOVERSの登場には観客だけでなく、多くの出演者も驚いていた。THE PRIVATESは「(I Can't Get No) Satisfaction」など、ソリッドなサウンドと貫録あるプレイで圧倒。THE GROOVERSは存在感はもちろんのこと、「ここに出られてうれしい。若い子がノってるのは嬉しいね」と、初出演の『ロックンロールサーカス』にご満悦な様子も。

THE PRIVATES

THE PRIVATES

THE GROOVERS

THE GROOVERS

サーキット型ライブイベントにおいて、どの時間、どの会場に出演するかは演者にとっても観客にとっても重要な問題。それでもthe Tigerはレジェンドクラスに挟まれてのステージとなるも、相変わらずの渋みを効かせたプレイで観客を魅了。「火を消すな」からバンドの音を全身に憑依させ、気持ちよさそうに歌う姿に目が離せない。気軽に見ていると音の迫力に足元を掬われそうで、観ているこちらも気合いが入ってしまう。

the Tiger

the Tiger

入場規制連発!熱量が上昇し続けるRINKAITEN

今年から『ロックンロールサーカス』に新しく仲間入りしたRINKAITEN。小ぶりな会場ながら、全国各地で話題を集めるアーティストが出演していたこともあり、何度も入場規制がかかる人気の会場となっていた。トップバッターの東北出身・THEこうがんずは「昨日の続き、始めよう!」と「走れ!MM号」からショートチューンを立て続けに連発してフロアを盛り上げていく。バンド名がちょっぴりざわついたけど、「幸を願う」でTHEこうがんずらしい。めでたくて良かった。

赤いくらげでは「名無しちゃん」で白目をひん剝きながら、ヒリヒリしたサウンドとアンファンテリブルな歌唱で釘付けになったし、ムステインズでは「バナナベイベー」でギターがかき鳴らされるたびに歓声が沸き起こる瞬間に心奪われた。『ロックンロールサーカス』のバックドロップ幕を背負いながらステージに立つ、その気負いがビシバシと伝わってくるのもとてもいい。

M〇テ風のBGMで登場したひょうへんクラブは「(音が)止まっちゃったら次の会場行っちゃうんでしょ? 止まらないから聴いてください!」と「ダーティーワーク」など自由気ままでラブリーでクールなプレイで魅了。観客が楽しそうに身体を揺らしているのも素敵だけれど、音響や照明スタッフが誰よりもご機嫌に音に乗っかっているのも最高だ。

THE CASTLE、STARTING OVER、BLUEPORTも注目アーティストが続々!

『ロックンロールサーカス』では出演者発表など、SNSを通じて情報を日々更新。1年を通じてイベントを盛り上げるなか、自己紹介ならぬ「他己紹介」として、バンドマンがオススメのアーティストを紹介する動画を多数アップ。推しが薦めるなら……と、気になるアーティストからステージを選ぶ人も多かったよう。

The Amaretts

The Amaretts

THE CASTLEのトップバッターは大阪発のThe Amaretts。「マージー・ビート改めケイハンビートスタイル」なんて自己紹介があったけれど、王道感のあるご機嫌なサウンドに自然と体が動き出すし、会場の外に出てみると道行く人が「どっかの店でめちゃ良いレコード流してるやん!」なんて声も聞こえたほど。

B.I.B.S.

B.I.B.S.

STARTING OVERでは初出演のTHE NAIVE BOYSが「1年前は客、今日は演る側! 楽しい日になりそうです」と、エネルギッシュなステージを披露。『ロックンロールサーカス』開催7年目にして、ライブキッズがバンドを組み、ロックンロールチャンプを目指すようになったのかと思うと感慨深いったらない。ほかにも、神戸発のB.I.B.S.は「”カッコイイ”に境界線はない。いっぱい良いの(バンド)あったでしょ?」と自らもイベントを満喫したと語りつつ、存在感を誇示する硬派なサウンドを鳴らす。

BLUEPORTでは、THE LET’S GO’Sが新体制一発目のライブを『ロックンロールサーカス』に選んだことでも注目を集めていた。新ドラマーは、昨年解散した『ロックンロールサーカス』ではおなじみだったTOMBOYSのドラマー・アメチスパークル。「ロックンロール止めないで」での存在感あるプレイなど、これからの彼女たちの活躍に期待が高まる。

CHICKEN GEORGEはワンマンライブ並みの盛り上がり!

ザ50回転ズ

ザ50回転ズ

CHICKEN GEORGEのトップバッターは今年もザ50回転ズ! スタートにぴったりな「ロックンロール・マジック」で、入場規制でパンパンのフロアを大いに揺さぶっていく。タイトなビートないつだって爽快でご機嫌!気持ちの良いスタートダッシュが決められると、今日一日どころか、今年一年良いことありそうで、誰もが満面の笑みを見せている。

Johnny Pandora

Johnny Pandora

Johnny Pandoraは3度目の出演でついに最大キャパの会場へ。「ROMANTIC WEEKENDER」でツイストしたり、フロアライブをしたりと観客を大いに巻き込んで盛り上げていく。「最高の流れを作って、KiNGONSまで繋げたい」とイベントへの思いを語りつつ、「ロックンロールの解釈は様々。ロックンロールはボーダーを無くして、国境も超えて楽しめる」とロックンロールの可能性に夢を託し、多彩な楽曲陣で楽しませてくれた。

黒猫CHELSEA

黒猫CHELSEA

黒猫CHELSEAとして、昨年から新体制で活動を再開した彼ら。復活後の初の神戸公演がVARIT.だったりとイベントの繋がりを感じるのもファンにとっては嬉しいところ。「今日は最高の日にしようぜ!」と、疾走感溢れる「ベリーゲリーギャング」「嘘とドイツ兵」、「キラーズ」といった新旧の楽曲をキレッキレのパフォーマンスで魅せていく。

忘れてモーテルズ

忘れてモーテルズ

忘れてモーテルズは『ロックンロールサーカス』に欠かせないアーティストのひとつで、今年も初日からトークコーナーに出演したりと引っ張りだこ。「今年も踊りまくろうぜ! アイラブユーだよ、この野郎!」と、無条件でワクワクしちゃうドカドカうるさいバンドサウンドで盛り上げていく。「働け!!ろくでなし」を聴くとビールが飲みたくなるし、「裸足の少年」でもらい泣きしそうになるし、この日も感情が大忙しだ。

おとぼけビ〜バ〜

おとぼけビ〜バ〜

レジェンド級から若手まで幅広いアーティストが出演するなか、世界規模で活躍するおとぼけビ~バ~が満を持して出演。「あきまへんか」から切れ味抜群のレーザーみたいなショートチューンを連発していく。「とても美しい時間にしましょう」の言葉の通り、出演者は35分の持ち時間のなかで全力の姿を見せ、観客もそれを噛みしめるようにステージに見入る。ライブは生物、同じものは二度とない。それをまざまざと実感するステージだった。

THE NEATBEATS

THE NEATBEATS

CHICKEN GEORGEのトリは初日に続き、THE NEATBEATS。いつもならサウンドチェックの時間いっぱいにトークで盛り上げるところを、VARIT.で大トリを務めるKiNGONSのライブをたくさんの人に観てもらうため、移動時間を考慮し、時間を早めてライブを開始したという。それでもライブを手加減するなんてことはなくて、「HAMBURG TWIST」などロックンロールラバーの心にぶっ刺さる布陣で観客をとことん躍らせる。次から次に鳴らされる極上のギターサウンドにビート、そして抱腹絶倒のトーク。笑って踊って、濃厚な時間はあっという間に過ぎ去っていく。

『ロックンロールサーカス2025』大トリはKiNGONS!

KiNGONS

KiNGONS

ロックンロールバンドの猛者たちが集い、2日間にわたって繰り広げられた『ロックンロールサーカス2025』を締めくくるのはKiNGONS。いつものようにチャンピオンベルトを掲げながらの入場でフロアを沸かすと、さっそくキラーチューン「POP OF THE WORLD」からドライブ全開、フルスイングなパフォーマンスで突き進む4人。歌って、騒いで、踊って、笑って、泣いて、ロックンロールの楽しさを全部丸ごと詰め合わせにしたようなステージに、誰もが夢中になっている。

「ANYMORE」や「BYE BYE MY GIRL」と、とにかくみんなに楽しんでもらいたい、メンバーの思いがひしひしと伝わってきて、楽しいはずなのに、なぜだか妙に涙腺が刺激されてしまう。ライブ終盤、いつものように「GO CITY LET'S GO!!」で最高潮を更新し続ける4人。大トリという大舞台を気負うのではなく「86番目(THE NEAT BEATSの2回のライブ含む)、KiNGONSです!」と、あくまで自分たちのステージを全うしようとする4人。アンコールでは「半端な奴は来年消える! 『ロックンロールサーカス』を心から愛している人が出られるイベント。来年も再来年もトリを務めるつもり!」と、『ロックンロールサーカス』へ、神戸へ、集まってくれた観客へ、日々切磋琢磨しあう仲間のバンドマン、そして南出氏へ感謝の思いを伝える。最後に「自分の大好きなものをすぐ近くにおいて。2026年、『ロックンロールサーカス』で会いましょう!」と言葉を残し、イベントは終幕。

楽しかった2日間が終わり、このまま明日が来なけりゃいいのに……なんて思うけれど、THE NEATBEATSのMr.PANが『ロックンロールサーカス』に出るのは選りすぐりのロックンロールバンド。あなたの街に来たら、ライブに行ってあげて。気になるバンドがいたら南出にバンバン言っていこう! そうすれば来年の『ロックンロールサーカス』も成功するから!」と語っていた通り、2026年の『ロックンロールサーカス』はもう始まっている。

出演アーティストたちは今この瞬間も全国各地のライブハウスで音を鳴らし続けている。私たちも『ロックンロールサーカス』での出会いをキッカケにライブハウスに足を運ぶし、また新しい音楽に出会えるかもと思うと、ワクワクが止まらない。しかも終演後には南出氏が今後の『ロックンロールサーカス』の野望として、「いつか◯◯◯でやりたい!」と発言! (◯◯◯は今後の『ロックンロールサーカス』の展開をチェック!)今後についても期待しつつ、まずは、また来年も『ロックンロールサーカス』で会いましょう!

取材・文=黒田奈保子 撮影=オフィシャル写真(撮影:ハヤシマコ・おはな・坂元佑将・るか・ヤナギ・山田雅子・mari_・瑞希・ことは・松原弘樹・河戸直樹)

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