ピアニストBudoが2025年の全国ツアーを発表 名曲の祭典、開幕!
年明けの『のだめカンタービレ・ニューイヤーガラ2025』でのラフマニノフ協奏曲第2番が好評、週末のリアル・トラウムのオーチャードガラには特別ゲストと、ますます注目が高まるピアニストのBudo。「厳選目で知るクラシック」チャンネルのスタート発表でお待たせしてしまっていた、『Budo Classic Winter Wonderland2024』のレポートをお届けするとともに、なんと待望の2025年の全国ツアーの詳細もお届けすることになった。
「新しいクラシックを探したい」と昨夏のサントリーホールで宣言して発表した『Budo Classic Winter Wonderland2024』であるが、ビルボードという会場の特性を使って、照明演出にこだわり、ヤマハの協力のもとにディスクラヴィアという自動演奏ピアノの機能を活用して、過去の自分との2台ピアノによる共演で、自分の演奏を拡張していく、クラシック界では異色の挑戦をした。本人のインタビューも交えながら、レポートを展開したい。
――ウィンターワンダーランドの構想はいつ頃からあったのでしょうか?
実はサントリー公演の演出を考えていく中で半年以上前から実は膨らんでいった構想だったんです。コンサートのプロデューサーと照明の演出を相談していくうちに、自分が想像していた照明演出がサントリーホールというクラシック音楽の専門ホールにおいてはいろいろとフィットしないことが段々と理解出来てきて。自分で普通のホールで普通のクラシック・コンサートしかやってこなかったじゃないですか。だから、ポップスで普通にされているピンスポットを自由自在に動かしたり、ムービングライトを音楽とシンクロナイズさせたりするようなことは、だんだんとサントリーホールのようなピアノの音質を最大限活かすために作られたホールには相応しくないという風に感じるようになって、そういう演出は別の場所で別の形で実現することにしたのです。それが、ビルボード横浜という会場で、『Budo Classic Winter Wonderland2024』という形に結実したというわけです。
――そんなに前から構想されていたということなんですね。
そうなんです。 自分の中では、クラシック音楽とポップスの間にあまり垣根がなくて、どうしてポップスのようにもっとエンターテイメントの要素を強くしたコンサートって、クラシック音楽の世界に存在しないんだろうってずっと不思議だったんです。
――なるほど。視覚的に楽しむクラシックを紹介していく、「目で知るクラシック」チャンネルの構想ともそこはつながっているんですね。
その通りです。僕自身がクラシックの中にあるエンターテイメントの要素にずっと惹かれ続けてきたので、自分のコンサートでももっとそういう要素を突き詰めていきたいとずっと思ってきたのです。サントリーホールでも「運命」でご覧いただいたように徐々に明るくなって、運命を切り開いていくイメージで音楽と一緒に照明を作ってみましたけど、もっとダイナミックかつドラマティックな照明をビルボードでトライしてみたかったんですよね。
そんな思いの詰まった『Budo Classic Winter Wonderland2024』は、照明が会場内を照らしている状況の中、BGMのようにヤマハのディスクラビアが自動演奏でバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」のプレリュード第1番を弾き始める。会場照明が次第に暗くなると、対照的にステージが明るくなって、自動演奏中のディスクラヴィアが浮かび上がる。開演前の日常の時間とコンサートがシームレスにつながっていくような、いつになくクールなイントロダクションだ。
そこへ客席中を通り抜けながら、Budoが登場し、会場は一気にテンションが上がる。手を振りながら、ステージへ向かうBudo。バッハのプレリュードが終わるころには、ステージで深々とお辞儀をしたあとにピアノの前にゆっくりと腰かけた。
再びディスクラヴィアがプレリュードの自動演奏を始めたかと思うと、今度はBudo自身がグノーの「アヴェマリア」の旋律を弾き始める。ディスクラヴィアとBudoの共演がスタートしたのだ。しかもMCで明かされたのは、ディスクラヴィアに記録されていた演奏データは、一ヵ月半前のBudo自身の演奏データであり、テンポはもちろんタッチや強弱まですべてディスクラヴィアがBudoと化して弾いていたというのだ。他にも、この季節ならではの選曲でチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」の中から「ロシアの踊り(トレパーク)」の2台ピアノヴァージョンも2人のBudoが演奏。
その一方で、ソロ曲では、フィギュアスケートで人気の曲・ラフマニノフの「鐘」やチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」第1楽章をオーケストラ・パートも含めてソロピアノに集約し、ソロであるにもかかわらず、重層的で技巧的な音楽が軽やかに奏でられることに驚かされる。
後半戦では、コンサートの目玉となった、ラヴェルの「ボレロ」を披露した。自ら2台ピアノ用に編曲し、ディスクラヴィアを使ってもう一人の自分と共演するという試み。即興的かつパーカッシブの演奏法も駆使して、オーケストラのような広がりのある音楽が生み出し、Budoは観客を興奮の坩堝に巻き込んだ。そして、サントリーホールで初披露したベートーヴェン/リストの「運命」をさらに進化させた上に、音楽に寄り添ってドラマを作るこだわりの照明演出も展開し、まさにワンダーランドと呼ぶに相応しい、エンターテイメントなクラシック・コンサートを見せてくれた。昨年武蔵境のスイングホールで初めて見たBudoのコンサートからわずか1年半で、Budoのコンサート・スタイルがここまで進化するとは想像できなかった。クラシックのピアノ音楽を楽しく魅せて聴かせてくれることをさらに追求し続けた成果がそこにあった。
そして、怒涛の2024年を経てアーティストとして一回り大きくなったBudoが、ついに2025年の全国ツアーを発表した。発表された演奏予定曲目には、Budoチャンネルで1400万再生した人気曲ベートーヴェン作曲の「月光」第3楽章を筆頭に、リスト「ラ・カンパネラ」、ベートーヴェン/リスト編曲「運命」第1楽章などが彼の十八番が並ぶ一方、新曲としてモーツァルト/クリントヴォルト「怒りの日(「レクイエム」から)」、ビゼー/ホロヴィッツ編曲「カルメン」変奏曲が加えられている。特にビゼーは、没後150年、「カルメン」初演150年のアニヴァ―サリーイヤーであり、誰もが知っている曲でも2025年らしい話題性のある楽曲をピックアップしているようだ。『Budo Classic ALL TIME BEST 2025』と銘うち、改めてBudo本来の「名作曲家による名曲群」を徹底して演奏するスタイルへと原点回帰している。時代を超越した名曲の祭典が、夏に開幕する!
取材・文=神山薫
公演情報
6/28(土) 13:00開演 札幌コンサートホールKitara小ホール (北海道)
7/4(金) 19:00開演 住友生命いずみホール (大阪府)
7/6(日) 14:30開演 福岡市美術館ミュージアムホール (福岡県)
7/12(土) 14:00開演 名取市文化会館 中ホール (宮城県)
7/21(月・祝) 14:00開演 リリオ・コンサートホール(知立) (愛知県)
7/26(土) 14:00開演 早島町町民総合会館 ゆるびの舎 文化ホール (岡山県)
8/8(金) 19:00開演 サントリーホール 大ホール (東京都)
ベートーヴェン:「月光」第3楽章
リスト:「ラ・カンパネラ」
ベートーヴェン/リスト:「運命」第1楽章
モーツァルト/クリントヴォルト:「怒りの日(「レクイエム」から)」
ビゼー/ホロヴィッツ:「カルメン」 他
先行:5,500円 一般:6,000円
※未就学児のご入場はご遠慮願います。
最速先行受付(抽選制):2/15(土)12:00 ~ 2/24(月・祝)23:59
第1次オフィシャル先行(先着順):3/1(土)12:00 ~ 3/9(日)23:59
第2次オフィシャル先行(先着順):3/15(土)12:00 ~ 3/23(日)23:59
一般発売:5/3(土・祝)10:00 ~
主催:ライブエグザム
岡山公演共催:テレビせとうち