オーストラ・マコンドー『影のない女』の見どころとは 寺中友将(KEYTALK)、清水みさと、山井祥子、朱里のオフィシャルインタビューが公開
生きるためのヒントも得られるはず。複数回見てほしい!
ーーさて、ふだんは集まることのないような組み合わせだとも思いますし、他の3人のうち誰かを挙げて、稽古などの中で「この人のここがすごい!」と思っているところを教えていただけますか?
清水:寺中さんと一緒のシーンは本当にたくさんあるんですけど、まず声がいいなって思います。
寺中:(声色を作って)ありがとうございます!
清水:ちょっといい声出してますね(笑)。「いい声だな」っていうのはすごく最初っから思ってたんですけど、舞台のセリフって抑揚をつけたり、いろんなやり方があるじゃないですか。でもそういうことじゃなくて、最初にこのままの声で本読みをされていた時に「メッチャ帝だ!」と思ったんですよ。やっぱり声ってすごく大事なんだなと思いました。演技経験があるとかないとかじゃないんだなっていうことを、すごく感じました。
朱里:乳母役の山井さんなんですけど、セリフの量がすごいんですよ! なのに一番早くセリフを入れてて、私もけっこう乳母さんと絡む場面があるんですけど、言われたことをスッとやられるんですよね。
山井:いや、そんな~!(照)
朱里:ホントにすごいなって思って。自分自身が、言われてすぐに把握できるタイプじゃないので、しっかりと言われたことをスッと脳内で整理して、動きの中で実際にやっていて、しかも面白いんですよ。年齢的には一番年下なんですけど、本当にすごいなって思いました。
山井:そんなふうに思ってくださってたんですね(笑)。
朱里:いや、本当にすごいなって思ってたから!
清水:本当にセリフがすごい量なんですよ。一番多くて。
山井:台本をいただいた時に、ちょっと泣いてたと思うんですよ。(全員・笑) こんな量を覚えたことがないし、どう計算しても覚えられる気がしなくて。だから、顔合わせの前に台本を渡していただいてたんですけど、どこまで覚えられるかなと思って、一応顔合わせの前にいただいた台本を全部覚えてみようと思ったんですね。
清水:あの長文をどうやって覚えたんですか?
清水みさと
山井:タリーズコーヒーで泣きながら黙読してました(笑)。前の人のセリフと関連させて、(泣き顔を作って)こう言ってるからこうでこうで…。
朱里:しかもふだんは使わないような言い方だから、スッと入ってこない部分もあるじゃないですか。
山井:それこそさっき、みさとさんがディズニーっておっしゃったんですけど、ディズニーの「眠れる森の美女」とかでも今は使わないような言葉づかいのキャラっているじゃないですか。そういうキャラがしゃべってるものとして覚えました。ディズニーキャラとかに変換して。
ーーネタもバッチリ頭に入る方なんですか?
山井:いや、それこそ昔、メチャクチャ長文をワー!ってしゃべるコントをやってたんですけど、8回に1回ぐらいは頭がパーン!ってなっちゃってて、本当に妖怪が私のところにも来てて。
ーー妖怪ネタ飛ばしが(笑)。
寺中:それは同じ妖怪ですね(笑)。
山井:そういうトラウマとかもあって怖かったから先に覚えたというのもありました。
寺中:あれはトラウマになりますからね。寒気がします(笑)。
清水:来ないといいね。塩を置いとこう(笑)。
寺中:僕は朱里さんがすごいと思ってます。今はシーンごとに分かれて稽古してるんですけど、最初はみんな一緒に、お互いを見ながらやることが多かったんですよ。その時演出の方から「ここはこうしてみないか」というのが毎回どんどん加わっていって、同じところを何回もやったりするんですけど、「変えよう」って言われて次にやると、雰囲気がガラッと変わるんですよ。その毎回毎回のアップデートがすごいなって思います。
山井:だんとのギャップがね。
寺中:確かに! ギャップはすごいですね。休憩中に朱里ちゃんがツボに入った時の笑い声がすごく素敵で。みんなそれにつられて笑っちゃうんですよ。
清水:ホントにつられて笑うよね!(笑)
寺中:役柄の雰囲気がまた全く違うから、そのギャップもすごくて。しかも、その役の中でもどんどん変わっていくのを見てて、そこがすごいなって思いましたね。あと、意識してるのか分からないですけど、気配を消したり存在感をデカくしたりするのが得意なんだろうなと思うんですよ。一回、電車でたまたま同じ車両になってたことがあって、僕は最初気づかなかったんですけど、気がついたらすぐ横にいたんですよ。ビックリしすぎて、後頭部をガン! ってぶつけちゃって(笑)。
寺中友将
山井:そんなことがあったんだ!(笑)
寺中:別に声をかけてくるとかじゃなくて、突然横に現れたんですよね。間の取り方がすげーなと思いました。
ーー本業はプロレスラーじゃなくて忍者かな、みたいな(笑)。
寺中:横に来た時に、圧みたいなものをガッ!と出したんでしょうね。
朱里:でも、褒められるってうれしいですね。ニコニコしちゃう(笑)。
寺中:俺も褒められたから。褒め合いましょう(頭を下げる)。
朱里:はい(頭を下げる)。
寺中:いい機会をありがとうございました。
ーーいえいえ(笑)。
山井:私はみさとさんのことを褒めますね。けっこういっぱい言えるんですけど……。
清水:ください!(笑)
山井:まず、声がすごくかわいいなと思います。さっき、みさとさんもおっしゃってたんですけど、妃様って、けっこう子供らしさみたいなものがあるんですよ。ご本人の感じがキャラクターにもぴったりだし、もちろん演じてらっしゃると思うんですけど、このふだんの美里さんの素敵な感じも生きてて。本当に何か……すごいかわいいですよね!
山井祥子
清水:ありがとうございます!
山井:私は乳母だからずっと妃を見守ってるんですけど、何かもう母性が芽生えちゃって。本当だったら乳母としてもっとかわいがりたいんですけど。(清水に)ごめんなさい、年上なのに(笑)。
清水:いえいえ、2個しか変わらないので(笑)。
山井:やっぱりこの「愛され力」みたいなのが、芝居にも、ふだんもあるっていうのはすごいなって思いました。
清水:うれしいです! ありがとうございます!
寺中:激しく同意です!
朱里:ホントに愛されキャラだよね!
清水:本当にうれしいです。褒められるのが大好きなので。ありがとうございます!
ーーでは、改めて今回の舞台の見どころをお1人ずつからいただけますか?
朱里:それぞれのキャラクターがいいなって思うので、そこは見てほしいですね。あと、それぞれの夫婦間の関係が、見てる方に共感というか、悩みの部分で何か感じるものがあると思うんですよ。自分の役としては、ちょっと誘惑されるみたいな場面もあるんですけど、そういう気持ちの流れって、現代にもあるんじゃないかなと感じたりしてます。見た人が何か引っかかって、何かを感じとってもらえたらなと思っていて……全てを見てほしいってなっちゃうんですけど(笑)、うん! 全部見てほしいです。
朱里
寺中:舞台の作りだとか、先ほどみさとさんがおっしゃってたようにアクリル板があってその下から強い光で照らしたりっていう演出が圧巻で、みんなワーッ! てなると思います。それと今回「影」というのも一つの大きなテーマで、その影をどう表現してるのかとか、そこにも大きな工夫があったりするので、そこにも注目してほしいです。それとプラス、ここまでみんなで話してきたように動きをたくさんつけてきているので、ただ目だけで見ても楽しめるものに必ずなっていくだろうなということを僕はもう実感しているので、そこを一つのポイントとして見ていただきたいなと思います。まさに僕らも今、繰り返し繰り返し、いろんなことを考えていろんなイメージを膨らませながら稽古していく中で、話の内容がどんどん入ってきてどんどん面白いものになっていく感覚があるんですね。それはきっと見てくれるお客さんに伝わると思うので、ぜひ一度じゃなく二度三度と。10回あるので、何度か見ていただけると、それこそ毎回違ったものが見えてくるんじゃないかと思います。できれば複数回見てほしいと思います。
清水:私もその舞台装置が素晴らしい点とか、同じようなことをすごく言いたいんですけど……あと、見ようと思った時に「ちょっと難しそう」とか思う方も少なからずいらっしゃると思うんですよ。「一言一句聞き流さないようにしないと、話が分かんないかも」って思う方もいらっしゃると思うんですけど、全然そんなことはないんですよ。動きだったり表現方法によっても伝わるものがすごくたくさんあると思うし、目に見えないものについては、今、私たちが稽古場で考えて想像して詰め込んでいるもの、感じるものもすごくたくさんあるだろうと確信していて。なので、「難しい」って思いながらじゃなくて、いったん解き放ってじゃないけど、信じて見ていただければすごく楽しめるのではないかなって思います。何回も見てほしいです。
山井:見に来てさえいただけたら、絶対に何かを感じたり勉強になったり、生きるためのヒントみたいなものも得られると思うので、年齢も性別も関係なく、どなたにも見ていただきたいですし、本当にユーモラスな部分もすごく多くあるので、意外と見やすいんじゃないかなって思います。普段、子供を産むことについてどうこうみたいな話って友達ともしづらいし、誰にも言えないで抱えてたりする人たちも多いと思うんですよね。誰でも、見たら人には言えなかったものに気づかされたり、「分かる分かる、その悩み」って思えたり、「私は1人だけこういうふうに考えてたんじゃないんだ!」思えたり、扱いづらいテーマだからこそ、励まされる人がいっぱいいるんじゃないかなと思います。
ーー舞台が楽しみですね。ありがとうございました!
なお、本公演は31日(月)まで上演。
公演情報
日程:2025年3月24日(月)~31日(月)
会場:吉祥寺シアター
訳:高橋英夫
上演台本・演出:倉本朋幸
主題歌:浜野謙太(在日ファンク)
出演者:
寺中友将(KEYTALK)
清水みさと
山井祥子(エレガント人生)
朱里(スターダム)
小林風花
オーストラ・マコンドー『影のない女』公式サイト
http://austramacondo.com/stage/
https://x.com/sinmacondo
https://www.instagram.com/austra__official/