【一期一会の良い酔いを】2025年7〜8月におすすめのお酒イベント

湿度や温度が高くなるとモノの香りを感じやすくなると、科学的に証明されているらしい。ということは、梅雨を通り抜けて夏へと向かっていくこのシーズンは、いつもよりもさらに、酒の持つふくよかな香りを敏感に楽しめる季節……なのかもしれない。というわけで本記事でご紹介するのは、鋭敏になった嗅覚を携えて訪れたい、7月〜8月に開催されるお酒のイベント3件だ。先に言ってしまうと、いずれもビールフェスではなく、ウイスキーや日本酒といった「しっぽり」系のお酒のイベントである。それでは早速、各会場の雰囲気や注目ポイントなどを見ていこう。

札幌で、琥珀色の一日を。
『北海道 WHISKY&SPIRITS FEST 2025』
グランドメルキュール札幌大通公園 7月27日（日）

特筆すべきは、入場時にオリジナルミネラルウォーターが配られるだけでなく、会場内に水飲み場を完備している点だ。実はお酒のイベントで水が飲み放題というのは、意外と少ないものである。グダグダにならずしっかりと飲み比べをしてほしい、美味しく飲んでほしいという主催側の意志を感じさせる、酒飲みたちに寄り添った親切設計であると言えるだろう。

なお、本イベントを記念して製作されるオリジナルボトル3種は、事前に申込が必要だそうなのでその点はご注意を。

【主催者からのメッセージ】

予期せぬコロナ禍を経てもなお、イベントが継続できていることに、お客様、御出展者様に心から感謝しております。私たち実行委員会は小さな団体ですが、ともに主催となってくれているHBC、協賛、後援の各社、会場を提供してくださっているグランドメルキュール札幌大通公園はじめ、実に多くの方々のお力添えで、会場に集う方々にご満足いただける一日を提供することができています。
当日の会場は3階と2階の2フロアです。無料、有料の試飲・試食が用意されています。ボトル販売をされる出展者もいらっしゃいます。有料のマスタークラスのほかに、どなたでも参加いただける無料のオープンセミナーもお楽しみいただけます。2階では軽食の販売もございます。11：00にご入場後は17：00まで出入り自由です（入場証としてリストバンドをご着用いただきます）。ご入場の方限定で、入り口においてオリジナルストラップ付北海道のミネラルウォーターを差し上げます。会場には水飲み場をたくさんご用意しています。
北海道の夏の始まりを、終日会場でお楽しみいただけるよう、実行委員会一同、心を込めて皆さんをおもてなしいたしますので、ぜひ「北海道 WHISKY & SPIRITS FEST 2025」にご参加ください！

利いて聴いて、日本酒と作り手の物語にひたる。
『YOMOYAMA NAGANO』
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋 7月16日（水）ほか、秋にかけて全国で開催

続いては、長野県の銘酒を試飲しながら作り手と語らうイベント『YOMOYAMA NAGANO』をご紹介しよう。イベント名になっている「四方山（よもやま）」は、四方を山に抱かれた長野の土地と、日本酒にまつわるあれやこれやの「よもやま話」の二つの意味を持っている。元々は『長野酒メッセ』という名前で知られていた大人気イベントが、2023年に生まれ変わったものらしい。今年2025年には全国4会場での開催が決定しており、東京（5月に開催済み）に続き、このあと名古屋（7月16日）、福岡（8月20日）、長野（9月25日）での開催が控えている。

長野県は、およそ80の酒蔵を有する日本有数の酒の楽園である（酒蔵数は新潟県に次ぐ全国2位）。自然の恵み×たゆまぬ人の営みの結晶である「長野の酒」を、多くの人に知ってもらい、魅力を語り合ってほしい……『YOMOYAMA NAGANO』には、主催である長野県酒造組合のそんな想いが込められている。イベントの軸となっているのは “対話” というキーワード。コロナ禍を経て「集まり、語り合う」ことの意味を改めて問い直したうえで生まれたイベントだけあって、人と人を繋ぐ対話の場であろうという意志に貫かれている。各ブースで迎える作り手たちがみんな語り合う気満々というのは、なかなか自分からは声を掛けられないというシャイなゲストにとって嬉しいポイントではないだろうか。

過去開催時の写真を見ると、どの写真でも、喋ったり笑ったりしている人の数が圧倒的に多いような。一般ゲストと飲食店・酒販店のゲストで入場に時間差がつけられているのも、語り合いを前提とした試みだと感じる（長野会場のみ区別なし）。そこにはタダの試飲、ただのPRという殺伐とした空気はなく、酒を介して目の前の相手に少しだけ心を開くような、しっぽりした空気があるのだろう。

ちなみに本イベントでは、試飲用にプラカップが用意されているものの、myおちょこの持参が推奨されている。そう聞くと俄然張り切ってしまうのが酒好きというもの。愛用のおちょこを用意して……もしくは新調するのも楽しそう。それもまた、よもやま話の一つのきっかけになるかもしれない。

【主催者からのメッセージ】

YOMOYAMA NAGANOは、山々に囲まれた長野の自然の恵みと、そこから生まれる日本酒を通じて、人と人が語り合う場を目指しています。清らかな水、寒暖差のある気候、丁寧に育てられた酒米──自然と向き合う蔵人たちの仕事には、この土地ならではの風土が深く息づいています。
このイベントでは、ただ日本酒を楽しむだけではなく、蔵元や蔵人との対話を通じて、その背景にある物語や哲学にふれていただきたいと考えています。一杯の酒に込められた土地の記憶や人の想いを知ることで、味わいがより深くなる──そんな体験ができる場をつくります。
長野の自然が育んだ酒を酌み交わしながら、地域の魅力と未来を語り合う。「飲む」だけで終わらない、心に残る出会いと対話のひとときをお届けしたいと思っています。

マニアもビギナーもにっこりの、香り高きお得感！
『リカマンウイスキーメッセ in KYOTO 2025』
みやこめっせ第3展示場（京都） 8月23日（土）

3つめは『リカマンウイスキーメッセ in KYOTO 2025』だ。リカマンこと株式会社リカーマウンテンが主催する、関西最大級のウイスキーの祭典である。以前に同社が主催するワインフェスタもご紹介したことがあるが、さすがお酒のことならなんでもお任せの総合商社・リカマン。こちらのウイスキーメッセも心が踊り出すような規模、そしてお得感である。

会場のみやこめっせには国内外のブランドらが150以上のブースを並べ、無料試飲はもちろんのこと、希少なウイスキーの有料試飲、セミナー、チャリティーオークション、クイズ大会など盛りだくさんの企画が来場者を待ちうけている。まさにメッセ（見本市）の名に相応しい、ウイスキーの大展示会である。

は3時間半ずつの二部制で販売されており、タフなウイスキー愛好家のための二部通し券（ちょっとお得！）も存在する。そして注目すべきは、各部100名限定のVIP券である。税込50,000円という決して安くはない選択肢だが、この切符を手に入れると、会場内のVIP専用ラウンジを利用することができるので、まず足が疲れない。そして……山崎25年をはじめとする各種プレミアムウイスキーの試飲を楽しむことができる！ 気になってAmazonで山崎25年の価格をチェックしてみたところ、1,099,990円（2025年6月時点）という衝撃価格だった。ご参考までに。さらに20,000円相当のお土産のボトルや、会場内で使える1,000円分のフードまでもらえるとのこと。価格の話ばかりで恐縮だが、やっぱりお得感がハンパじゃないのである。今年で7回目を迎える本イベントだが、VIP券は毎回完売という人気商品のため、狙うならば早い段階から公式ホームページをチェックしておく必要がありそうだ。
※残念ながらイープラスでの取扱いは一般の入場のみ

事前に申し込みをしておけば、展示ホールから別室へ移動して、有料のウイスキーセミナーを受講することも可能。テイスティングを交えつつ、各蒸留所のブレンダーや責任者から味わい方のコツ、はたまたココだけの裏話など（？）を聞くことができるチャンスだ。そのほかのチャリーティーオークションやクイズ大会については詳細な資料が無いため突っ込んでご紹介できないのが悔しいが、来場者を巻き込んでの盛り上がりを見せることが予想される。

本イベントは集まるメーカーの数も多く、用意された企画も幅広い。ウイスキーマニアにとって大興奮の場であると同時に、これからウイスキーのことを知り、嗜んでいきたいな〜と漠然と考えている入門者層にとっても、入りやすい入口だと言えるだろう。

【主催者からのメッセージ】

7回目の開催を迎える「リカマン ウイスキーメッセ in KYOTO」は、国内外の様々なブランドや蒸溜所、インポーターが一堂に会する関西最大級のウイスキーイベントです。

会場には約150ものブースが出展し、希少な限定ボトルから新進気鋭の蒸溜所の意欲作まで、幅広いラインナップのウイスキーやスピリッツをご試飲いただけます（一部有料試飲あり）。
毎年大好評のVIPエリアは今年も設置！VIPをお持ちの方だけが入場できる専用エリアでくつろぎながらウイスキーメッセを楽しめます。VIP限定特典として、ジャパニーズウイスキー最高峰「山崎25年」や「竹鶴25年(1部限定)」、「山崎 2020エディション3種(2部限定）」といった入手困難な希少ウイスキーを無料試飲いただけます（お1人様1杯10ml限定）。さらに、VIPの方にはお土産として【ブルックラディ MICRO-PROVENANCE #0892Y’sCASK】を1人1本プレゼント！各部100名様限定で、定員に達し次第販売終了となるVIPはお早めにお買い求めください。

他にも、蒸溜所の担当者やアンバサダーによるウイスキーセミナー（別途必要）や、ブラインドテイスティング、チャリティーオークションなど、お客様参加型のイベントも盛りだくさん。

毎年リピーターも多く、ウイスキー初心者から熱心な愛好家まで、誰もが楽しめるイベントとなっています。ぜひご来場ください！

各イベントのはイープラスにて販売中

以上、2025年7月〜8月に開催されるお酒のイベントのなかから、気になる3つをピックアップしてみた。どこにいても暑くてジメジメするのなら、いっそ自分から賑わいに飛び込んでみるのも一興なのではないだろうか。こざっぱりしたシャツでも羽織り、未知の銘柄との出会いを求めてお出かけしてみては。それでは、乾杯！

文＝小杉 美香、写真＝オフィシャル提供