可愛いがひとまとまりになるともう無敵~『Ra*bits』インタビュー 『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Blessing Moment-
(左から)奥井那我人、熊谷魁人、大崎捺希、宮崎 湧
『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』(「あんステ」)の次回作は『Valkyrie』・『Ra*bits』の「返礼祭」だ。
芸術的な演出にこだわる格式高く情熱的なユニット『Valkyrie』(斎宮 宗 役:山崎大輝、影片みか 役:猪野広樹)と、ほわほわ可愛いが売りの初心者ユニット『Ra*bits』(仁兎なずな 役:大崎捺希、天満 光 役:奥井那我人、真白友也 役:宮崎 湧、紫之 創 役:熊谷魁人)が出演する。
「返礼祭」とは、アイドル育成学校である夢ノ咲学院における、3月に行われるホワイトデーイベントのシリーズ名称。卒業を間近に控えた高校3年生のメンバーや応援してくれているファンへの“返礼”のため、在校生が主体となってイベントを盛り上げるというストーリーだ。思い入れの強いエピソード投票があるとしたら「返礼祭」シリーズに入れるファンも多いのではないだろうか。
2025年10月から始まる公演を前に、『Ra*bits』4人にたくさんのエピソードを語ってもらった。
『Ra*bits』の名場面・日替わりシーンのネタはどこから?
ーー前作までの『あんステ』の感想や思い出を教えてください。
奥井:『Ra*bits』といえば、最初にパッと思い浮かぶのが日替わりシーンですね。たくさんやらせていただきました。公演期間が長いので、本当にいろいろなことにチャレンジしました。地方ネタを入れてみたり。一番記憶にあるのがシャチホコ!
熊谷:シャチホコやったね! 『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Night of Blossoming Stars~の名古屋公演だったかな?
宮崎:『Ra*bits』にとっても『Valkyrie』にとってもすごく大切でシリアスなお話。『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Memory of Marionette~では、かっちり組みあがった彼らの分岐点になるようなストーリーの中に、僕たちは日替わりネタというちょっと箸休めにもなるようなシーンを任せていただいていました。お客様に楽しんでいただけるよう僕たちなりに勝負していた日々でした。
熊谷:マグロ漁船に乗ったり、勝手に小道具を増やしてみたりもしましたね。
奥井:マグロ漁船のネタってどこから出てきたんだっけ?
熊谷:マグロの筆箱のようなものを持ってきて、それを投げて、みんなで釣りあげるっていうネタでした。
大崎:通称「マグ兄」ね。あの小道具はみんなでゲームセンターで取ったんじゃなかったっけ?
大崎捺希
奥井:あのマグロは今誰が持ってるの?
全員:……。
熊谷:誰かにあげてしまったような? 行方不明です。
宮崎:カオスなネタも増える一方、お客様からいただける拍手や笑顔が僕たちの心の支えでした。
熊谷:僕は『MoM』から参加で、それまでは櫻井圭登さんという素晴らしい役者さんが創くんを演じてくださっていました。完成されているメンバーの中に僕が急にお邪魔させていただくというのは非常に緊張しました。『あんスタ』・『あんステ』は多くの方から支持される人気作な上、創くんも人気があるキャラクターだったので、櫻井さんが作り上げてきた「創くん」を、自分の中でもしっかりと消化しながらも、提示できるものを作り、『Ra*bits』というメンバーにどう貢献できるかばかりをずっと考えていましたね。すごく緊張はしていましたが、出演者のみなさん、そしてに~ちゃんたちが「大丈夫だよ、一緒に頑張っていこう」みたいな感じで明るく迎えてくださったので、僕はそこに救われました。今思えば、『MoM』はとても良いスタートになったのかもしれません。
奥井:僕もそういう思いがあったな。右も左もわからない状態で『あんステフェスティバル』が初のお披露目の日! 奈落からステージにウィーンって上がる台に乗るとき、隣にいたに~ちゃん(大崎)の手をずっと握っていました。本当に震えが止まらなくて。
奥井那我人
宮崎:そうだったんだ!?
大崎:那我人とは『あんステフェスティバル』の前に別の作品で共演していて、そこで「次の『あんステ』に出るんです」って言われて、「そうかキミが光くんか!」なんて会話もしましたね。もう7年も前のことになるのか。月日が経つのは早いなぁ。
奥井:その時の緊張は言葉では表せないくらい。いろんな臓器が口から出そうで、息をするのも苦しかった。もしかしたら息の仕方を忘れていたのかも!
ーー『Ra*bits』のアドリブリーダーは?
(奥井と熊谷が、さっと宮崎を指差す)
宮崎:いやいや、これは今に始まったことではなく! 最初の最初は、さきほども名前が上がった櫻井圭登くんです。彼が初演より生み出してきた呪いを受け継いだだけで。
ーー「呪い」!?(笑)。
宮崎:やはり『Ra*bits』の武器は「かわいさ」ですが、『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Judge of Knights~の時、おこがましいと思いつつも『Ra*bits』のライバルは『Knights』だとして、「絶対にあの存在に、あの脅威に飲み込まれてはならぬ!」という熱量からいろいろ日替わりを考えてきていて、そこから今に至るという歴史です。魁人もこの色を受け入れてくれつつ、新しくてより『Ra*bits』のかわいさや個性的なアドリブを生み出してくれていると思います。僕一人だと予期せぬところに行ってしまって着地点がわからず路頭にさまよってしまう時があるので。魁人はそういう軌道修正がうまくて、この4人に合った『Ra*bits』色をスポイトで垂らしてくれるので、本当に来てくれてよかったなと思っています。
宮崎 湧
ふたりとも『Valkyrie』をやるために生まれてきましたというくらいの圧倒的な存在感
ーーご自身が演じるキャラクターの好ましいと思うところ、自分と似てると思うところを教えてください。
熊谷:創くんは英智先輩、凛月先輩と同じ紅茶部に入っています。僕も昔から紅茶派なので少し重なるところがあり、うれしい一致だなぁと思ったことがあります。
奥井:実は光くんと結びつくところが多すぎて、彼と出会ったのは運命なんじゃないかなと思っています。僕は身体を動かすのも大好きで、走るのも大好きです。短距離ではなく長距離走が得意なのですが、体力も無限にあります。今回の公演でも舞台上で跳ねまくって走り続けます!
宮崎:友也くんに出会った当初と今では、印象が全然違っています。最初はすごく頑張り屋さんというイメージが一番に来ていたんですが、今は騎士のイメージが強くて。笑顔の下にある覚悟や、自分の痛みを飲み込んで人を守ることができる器になってきているという印象です。かわいらしい笑顔を武器に、何か守りたいものがしっかりある。そんなところが男らしくなったというか好ましくて尊敬している部分です。友也くんと似ているところは、仲間への想いや絆を戦う糧に、それを表現しようとするところですかね。
大崎:周りから「可愛い!」って言われるけど、それに寄りかかりたくない気持ちもあるというところはリンクしているんじゃないかなと思います。でもこの3人や『あんスタ』と出会って、人生が変わったというところもある。なずなの声優である米内(佑希)さんと食事に行ったりもするんですが、米内さんがもう「なずな」そのもので、いつも僕を弟のように気にかけてくださっています。みんなを見ている目線の優しさや強さ、守ってあげるだけではない、そういうなずなの優しさに憧れますし、そういう人になりたいです。彼に対しては憧れや尊敬が強いですね。
ーー今回は『Valkyrie』との共演です。皆さんから見るおふたりについてお聞かせください。
奥井:クオリティーが「すごい」のレベルを超えていると思います。語彙力がなくなるくらいにすごい。ふたりとも『Valkyrie』をやるために生まれてきましたというくらい。圧倒的な存在感、世界観を持っている人たちです。
熊谷:大輝くんはアーティストとしても活動されていて、本当にキャラクターにリンクして見える時があります! ライブシーンに対してもお芝居に対しても目指すクオリティーも全部体現されている。芸術だよね。まさに「美」! 猪野くんも、みかのかわいらしい「えぇ~?」って声も笑顔も本当に上手いから、自然に「本物がいる」って言葉が出ちゃう。なつくん(大崎)から見たおふたりはどうです? 僕らよりもおふたりに近い関係性にいるじゃないですか。
熊谷魁人
大崎:大輝は同い年なんだよね。すごくしっかりしていて、斎宮 宗役は大輝以外にいないなって思わせる説得力がある。猪野くんにも見せたい世界観というものがあるので、このふたりが合わさるとより軸がブレなくて安定するというか。改めて見ると、『Ra*bits』のかわいらしさと『Valkyrie』の見せたいものが掛け合わさると面白いよなーって思う。今回も共演が楽しみです。
ーー今作の公演決定を聞いた時の感想をお願いします。
熊谷:「ついに来たか!」ですね。おふたり(大崎、宮崎)は僕らよりも長く演じているわけだから、何年もかけて「返礼祭」はより思い入れも強そう。
宮崎:いや、同じ想いだと思うよ。とうとうこの季節が来たか、と思っています。『Ra*bits』にとってもなずなにとっても友也くんにとっても、そしてファンの皆様にとっても待望であり大切なお話。大切に演じていきたいなと思いました。
奥井:卒業と始まりの物語で、心の内に秘めている葛藤や想いは全員が主役になれるようなお話のイメージがある。全員にスポットが当たるし、本気のお芝居を見せたいなと思いました。
大崎:夢ノ咲学院を卒業したくないなぁ。でも終わりがあるからこそ美しいと思います。湧くんや圭登くんに怒られて泣いたこともあったし、入ってきたばかりの那我人は気を遣ってくれたり、魁人は真面目だけどノリもよくていろんな無茶振りにも乗ってくれて。たくさん動画も撮ったよね。楽屋でふざけるのもすごく楽しくて。そんなみんなのことが一番に浮かびました。「僕たち」が演じる意味というか、今までプライベートな場面でもたくさん作品について話し合ってきたこと、日々積み重ねてきたことを存分に発揮して、たくさんの感情を出して作品を作れたらいいなと思いました。
(左から)奥井那我人、熊谷魁人、大崎捺希、宮崎 湧
4人になると誰にも負けない無敵の可愛さに♪
ーー自撮りや動画の話も出ましたが、『Ra*bits』は毎公演楽しそうな自撮りのSNS投稿をされていましたね。
宮崎:周りのユニットたちがみんな個性豊かな人たちばかりなので、僕らはいつも必死でした。4人みんなで撮ることが多かったよね。『Ra*bits』の可愛さをお借りして、僕たちの心もすごくわくわくさせてもらった日々でした。
熊谷:お正月の鏡餅みたいなイメージで、4人くっついてかわいい感じの写真を撮ったよね。「新年のご挨拶」って正座したりも!
宮崎:いろんなシチュエーションを撮って、時にはスタッフさんに相談しながら、SNSに載せさせていただいておりました。
奥井:あざとくいきましょう! 可愛い代表ですし。
大崎:可愛いは正義!
大崎捺希
奥井:そう! 僕らってね、個々それぞれがめちゃめちゃ可愛いんですよ。そして、この可愛いがひとまとまりになるともう無敵です! どんなユニットにも、どんなキャラクターたちにも負けません!
ーー4人でおひとつの答えで、「ナンバーワン仲良しエピソード」をお願いします。
熊谷:たくさんあるからなぁ。
大崎:うーん、迷うね。
宮崎:そうだ、『MoM』の大阪公演だったかな。ゲームセンターに行ったときに人気ゲームのぬいぐるみを見て「これいいな」とポロっと言ったことがあって。それを僕がいない間にみんなが大量の資金を投じて取ってきて、誕生日当日に楽屋でお祝いサプライズをしてくれたのがすごく嬉しかったです。嬉しかったんですけど、めちゃめちゃでかくて邪魔で。
大崎・奥井・熊谷:(笑)。
宮崎:荷物になりそうなでっかいぬいぐるみとかフィギュアとかさ。地方公演だったのに!
奥井:違うキャラクターのぬいぐるみはすごく喜んでくれたのに、なつくん(大崎)があげた(人気ゲームの主人公キャラクター)プレゼントの方はわかりやすくあまり喜んでなかったもんね(笑)。
奥井那我人
大崎:僕のプレゼントは霞んでたよねぇ?
宮崎:あはは!
熊谷:思い出はたくさんあるな。ホテルの部屋で集まってアイスやめちゃめちゃ辛いカップラーメン食べたりもしたよね。
宮崎:4人ではプライベートな時間も一緒に過ごすことが多くて。地方公演だと本当にず~っと一緒にいますよね。なんか「青春してる!」って感じがする。
大崎:京都の名物のお土産を買っていったら、誰1人食べてくれなかったこともあったな。
宮崎:抹茶味だったっけ? 癖の強い味だったのはちょっと覚えてる(笑)。まとまらなくなってきちゃったので、僕らのエピソードはたくさんある! ということで。
ーー『あんスタ!!』愛を語ってください。
熊谷:トップバッターいただいていいですか?
大崎・宮崎・奥井:どうぞどうぞ。
熊谷:7月15日——毎年創くんのお誕生日をお祝いしているのですが、創くんも紅茶部、僕も紅茶が好きということで、今年はちょっと良いお店でアフタヌーンティーをしました! 水色のお皿に美味しくてかわいらしいお菓子やお料理が載っていて、SNSにも載せましたがすごく素敵な一日でした。推しカラー!
奥井:僕も光くんのお誕生日にホールケーキでお祝いしたなー! 「光くん おめでとう!」って書いて。姉も『あんスタ!!』が好きで一緒に楽しんでいます。1000ピースのパズルを一緒にやったり。
熊谷:1000ピース!? 何時間くらいかかるの?
奥井:8時間くらい? パズル得意だから楽しかった♪
宮崎:部屋を模様替えしたのですが、宮崎お手製の友也くん祭壇は健在です。誕生日はそこに祈りを捧げながら、オムライスを作りました。この祭壇のこだわりは、変態仮面(※日々樹 渉のこと)がちょっといい角度で覗いているというところです。常に監視されているというね。
宮崎 湧
大崎:『あんスタ!!』、『あんステ』がなければ今はなく、出演させていただいてから初めての経験がたくさんありました。駅の中に広告が出たり、いろいろなメディアに出させていただく機会も増えて。こんなに長く演じさせていただいている作品もなかなかないので感謝しかないです。だからこそ責任と誇りをもって演じさせていただきますし、たくさんなずなのことを考えて、これからも彼と『Ra*bits』を愛していきたいです。
ーー意気込みと、ファンの皆様に向けて一言をお願いします。
奥井:「返礼祭」は卒業生への感謝を送るということがテーマとなっています。に~ちゃんたちが卒業してしまうのは光くんからしたらとても寂しいことですが、しっかり送り出したいと思います。今回の公演でも僕らがやってきたもの全てに魂を込めて、愛をたくさん注いで、笑顔いっぱい元気いっぱいの僕らをみなさまに見せたいと思っています!
宮崎:今作のテーマは「卒業」と「始まり」になると思いますが、そのテーマって誰もが経験があることだと思います。送り出す側の葛藤や、想い、寂しさ。それらをより人間らしく人間くさく、『Ra*bits』のドラマをしっかり作り上げてお届けできたらいいなと思います。また、日々の喧騒を頑張って生き抜いているお客様への祝福になるように精いっぱい、またいちから友也くんや『Ra*bits』と向き合って参りますので、劇場でお待ちしています。
熊谷:この「返礼祭」がファンの方にも僕たちにとっても、とてもとても大切な作品になることは間違いないです。お芝居では笑って泣いて、ライブシーンでは全力で応援していただいて。多くの人たちの思い出に残る作品にできるように、僕らは努力して、多くの想いをお届けします。この『Ra*bits』の成長と可愛さを全力で浴びていただけたらと思います。ぜひ応援よろしくお願いします。
熊谷魁人
大崎:『あんステ』、『Ra*bits』、そして役者個々を、それぞれ応援していてよかったなと思ってもらえるような集大成の作品にしたいです。生きているとつらいことも悲しいこともたくさんあると思うけど、この日この公演を見ている時は世界に没入して、心を動かしてもらえるような素敵な作品にするので、楽しみに待っていてもらえればとてもうれしいです。
ーーありがとうございました。
個性の強い人気キャラクターが多い作品の中で、どうやってお客さんに喜んでもらえるか、どうやって『Ra*bits』の色を見せるかを毎回苦労しながらも編み出してきたという。4人それぞれが『あんステ』というコンテンツそのものを楽しんでいる様子もあり、そんな彼らの愛が公演にどんな影響を与えるのかがとても楽しみだ。
(左から)奥井那我人、熊谷魁人、大崎捺希、宮崎 湧
ヘアメイク:村田樹 三輪千夏
スタイリスト:MASAYA(PLY)
取材・文:松本裕美 撮影:奥野 倫
公演情報
(C)2021 Happy Elements K.K/あんステ製作委員会
【兵庫】2025年11月14日(金)~11月23日(日・祝)AiiA 2.5 Theater Kobe
原作 『あんさんぶるスターズ!』(Happy Elements株式会社)
脚本・作詞 浅井さやか(One on One)
演出・振付 後藤健流
斎宮 宗:山崎大輝
影片みか:猪野広樹
仁兎なずな:大崎捺希
天満 光:奥井那我人
真白友也:宮崎湧
紫之 創:熊谷魁人
兼次要那 高橋陸人 竹迫祐貴 内藤将大 中川月碧 藤田倖羽
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A席9,500円(税込/全席指定)※兵庫公演のみ
※詳細は公式HPをご確認ください。