能楽稽古や芸名の秘密、発声法の謎まで……「能の歩き方」第6回はシテ方観世流・谷本健吾氏と狂言方大蔵流・茂山逸平氏による『能×狂言 四方山ばなし Part.2』
第一線で活躍する観世流能楽師によるユニット「三人の会」(谷本健吾、坂口貴信、川口晃平)のメンバーが交代でさまざまなジャンルのゲストを迎え、能をはじめとする日本の文化の魅力に多面的に迫っていくトークセッション企画『能の歩き方』。第6回目は、今年5月に開催し大好評を博した回の続編として、シテ方観世流・谷本健吾氏と狂言方大蔵流・茂山逸平氏による『能×狂言 四方山ばなし Part.2』を届ける。
夏目漱石や白洲正子、さらにはドナルド・キーンといった著名人も夢中になったのが、能・狂言の稽古だ。舞台を観るだけではなく、自分で謡ったり舞ったりすることで、その魅力がぐっと身近に。「どうやって入門するの?」「先生はどうやって見つければいいの?」という素朴な疑問から始まり、稽古の進め方や発表会の裏話まで。プロを目指す“玄人稽古”の厳しさと、趣味として親しまれてきた“素人稽古”の楽しさの違いについても、現役の能楽師ならではの視点で語られる。
さらに、能楽師の芸名の秘密も。日本の伝統芸能には、芸とともに名前を受け継ぐ文化がある。歌舞伎の「名跡襲名」はその代表例だが、能楽の世界では少し事情が異なる。基本的には一人ひとりが自分の名前で舞台に立つのが大前提。とはいえ、さまざまな理由で「芸名」をつけることも。能楽師にとっての「名前」とは何なのかーー名前にまつわるエピソードをはじめ普段はなかなか聞けない芸名の裏話を語る。
また、伝統芸能でありながら、実は意外に自由度の高い能・狂言の装束(舞台衣装)デザイン。古典的な文様から現代的なアプローチまで、果たして“どこまで自由にデザインしていいのか?!”――そんな疑問に実際のデザインを見せながら答える。制作現場ならではのハプニングエピソードも必聴だ。
加えて注目は「声」。能・狂言の発声法の謎に迫る。能と狂言の発声は、同じ詞章でも節回しが違うとまったく印象が変わる。そんな能・狂言の謡を大解剖。能と狂言、同じ詞章(歌詞)でも、節(うたい方)が違うだけで印象は激変。実際に比較しながらその違いを体感することができる。時代もののドラマでもお馴染み、お祝いの席でよく歌われる能「高砂」。狂言の会などでは「高砂」の代わりに「猿聟」が謡われる。そんなおめでたい謡を来場者と一緒に体験する。
能楽師だからこそ知る舞台裏の話から、実際の体験まで、充実した内容で届ける90分。『能×狂言 四方山ばなし Part.2』は、2025年9月17日(水)歌舞伎座3階花篭ホールにて開催。
公演情報
◆参加費:3,000円(全席自由)
◆会場:歌舞伎座3階 花篭ホール
谷本健吾(シテ方観世流能楽師)、茂山逸平(狂言方大蔵流能楽師)
ナビゲーター・阿部知代(フジテレビ)