HINONABEがあなたと作り上げた新たな季節 ソールドアウトの代官山UNITワンマン『Garden』のオフィシャルレポートが到着
HINONABE
HINONABE ONEMAN LIVE 2026『Garden』
2026.6.12 代官⼭UNIT
千葉発4人組バンド・HINONABEが代官山UNITでワンマンライブ『Garden』を開催した。
繊細な心の機微を描いた楽曲と力強いライブパフォーマンスを武器に、ライブハウスシーンからフェスシーンにまで活躍を広げ始めている彼ら。リスナーは増加していき、自身最大規模となった今回のワンマンライブもソールド公演となった。有志のファンからは祝い花も届いていた。
そして曲名にもなっており、このライブが行われた“6月12日”という日付は大きな意味があり、彼らがこれからも前に進んでいく決意を感じる日となった。その様子を伝えていく。
深みのある低音が印象的なSEで緊張感が高まる中、メンバーが順番に登場すると、大きな歓声と拍手が贈られる。そして磯敢太(Vo/Gt)が「本日はHINONABEワンマン「Garden」に来てくださりありがとうございます。よろしくお願いします」と挨拶すると、ピンスポットの下で「眠れない夜」を弾き語る。<また、部屋に逃げて落ち着く夜>という歌詞は、今日ここUNITが、あなたにとってそういう部屋のような場所であることを心から願うように聴こえた。そんな一節を終えると、佐藤ケンゾウ(Dr/Cho)の「ワン、ツー!」を合図に明快なロックサウンドが鳴り響く。早速「ようこそ!」と迎えるように菊地楓(Gt/Cho)と松岡優之介(Ba/Cho)もお立ち台を使って演奏。フロアもクラップを持って反応を返し、さらにそこに磯も「ありがとう!」「よろしく!」と伝え、心が結束していく会場。
「6月12日、大事な日に来てくれてありがとう!」と伝えると、独自のダークでミステリアスなグルーヴが渦巻き始める。佐藤や菊地のクラップの煽りもあってテンションが上がりながら「裸体」へ。ヒリヒリするメロディに蝕まれていくフロアは、サビで爆発するように飛び跳ねながらハンズアップ。その後も磯のリズミカルなボーカルや轟音と静寂のメリハリのついたサウンドで完全に支配すると、「喰う、喰われる」でも容赦なく4人の演奏が襲い掛かる。楽しみながらも「このままではやられる!」という焦燥感に駆られるように高く挙げた手を前後に振るフロア。ドーパミンという言葉を軽々しく使う世の中になっているが、もっと奥の本能を引き出すように激しく体内を駆け巡る音がHINONABEにはあった。「Need more Sleep」では、佐藤のビートがシャープさを増し、菊地と松岡のコーラスも効果的で、その結果、熱くなった皮膚に冷ややかな針が刺さる感覚がある。赤の照明も相まって、テンポはそんなに早くなくても、血生臭い音となり、それが強い衝動性を生んでいた。
ここでMCに入り磯は感謝を伝える。体調も気遣いつつ「3回目のワンマンもソールドできたことは本当に嬉しいことです。これだけHINONABEが好きな人が集まった最高な夜になると思うので、最後まで気をつけて楽しんでください」と伝え「熱体夜」へ。先ほどのダークな色彩とは違うクリアさが出つつ、哀愁もあるサウンドが広がる。屋内ということを忘れる解放感もあるが、イコール爽やかな青空だけでもないという、この絶妙な空景色や温度を丁寧に描いているところに彼ららしさを感じる。その余韻を引き継ぐように「ころもがえ」へ。現時点で彼らの最新ナンバーのこの曲は、よりその音の厚さや薄さ、強さと柔らかさを繊細にコントロールして空間を掌握し、そこに磯の紡ぐ歌詞と力強く真っ直ぐなボーカルが加わると、圧倒的なスケールとなって響き渡る。それは“春の風に包まれるよう”というよくある春歌の表現を超えて、全員が一体となって春の風になった感覚で体重を失っていた。その結果、春のぬるい温度だけがUNITに残っていた。そこから「レスポール」の重く短く切った音やざらついた音でじっくり時間を進めると、スムーズに繋いだ同期のイントロから「Space Out」へ。「ころもがえ」の流れからか、大きな孤独の集まりであるお客さん1人1人が1つの大きな塊となって、よく見えないながらも未来に進んでいるようで、そこにはたしかな拍動、生命力があった。
「非常に暑いです。汗拭かせてください……」と磯が言い、感謝を言う時間は少しほっこり。ただそこから「戦争の歌を」と言って始めた「争いの場」で、また引き締まった雰囲気に。赤の照明を横から浴びる磯の姿はどこか血だらけの兵士のよう。そこから放たれる歌はちゃんと説得力があり、2004年生まれの若い彼らの歌を聴きに老若男女がこれだけ集まり、世代を超えて愛される理由を感じた。続く退廃的・倦怠感もまとった「腐臭」からの「おやすみ」は、そんな世界にくたびれた心に優しく布団を掛けるよう。そして閉じた瞼の隙間に、菊地のギターと佐藤のシンバルの音を起点にじっくりと漏れて届いてくる優しくも強烈な光。「さよならきらきら」だ。この曲が体に入ってくるたびに、心に抱えた何かが今だけは天に昇華されていく。それと同時に体の輪郭を失っていき、今度は聴いている自身も光源になっていく感覚に。HINONABEのライブは、この空間との一体化に大きな価値を感じさせる。そこからの「Bagel」は、いろんな日々を乗り越えてライブの一部となったあなたに、祝福の鐘を鳴らすようだったし、一点の曇りもない気持ち良さだけがあった。照明も一段と明るくなったが、そこから見えるメンバーもフロアも良い顔すぎ。
MCに入り、1stアルバムのリリース決定と初の東名阪ワンマンツアーの開催を伝えると大歓声。菊地もアルバムは「めっちゃ頑張った」とのことなので、続報を期待しよう。そしてそのアルバムから新曲を初披露。彼らの色はありつつ、背中を押してくれるような楽曲で、フロアのポジティブなクラップの音も似合う。ライブで全員で大きな勇気を作るような力強いナンバーだった。
その新曲を終えると、ラストスパートに入った磯のテンションは無邪気にアップ!より高い位置でクラップを求め「まだまだ楽しめますか!あなた達と今日いたこの時間を忘れぬように、思い出に残せるようやっていきたいと思います!」と「おさがり」「陽のように」の最高に青く、そして春や梅雨を超えて、一足早く夏の始まりを感じるような爽快で雄大な2曲を重ねた。フロアも合唱したり、太陽のように手を広げ、ステージの4人に負けないレベルで自由に心を燃やして、笑顔を見せる。4人もコンタクトを取るなどライブ感を出しながら、楽しそうに音色を響かせ、磯は胸に力強く手を当てて歌っていた。
そして最後のMCへ。「「6月12日(火)、庭」という曲もある中で、この日にワンマンができるのは、いろんな人達、そしてあなた達のおかげなので、いつもありがとうございます」と磯は感謝を述べる。この楽曲について、決意を持って話し、フロアからも温かな拍手や声が届けられる中で始まった「6月12日(火)、庭」はステージとファンを感動的な空気が包む、間違いなくこのライブのハイライトのひとつとなった。
そして最後は、ありったけのお礼の気持ちを込めて「Zaoriku」を響かせた。その愛は、この魔法でも描けないような曲と「俺たちが1人でいる時に側にいてくれた、あなた達が消えないように!以上、HINONABEでした!何度でも言うよ!ありがとう!」という言葉で、1人1人の心に間違いなく届いたのであった。
その後のアンコールも記念撮影も本当に予定になかった。きっとそれも作品を大事にするHINONABEのこだわりだろう。しかし、それを超える愛の空間に応えて「眠れない夜」を再度演奏し、2026年6月12日は終わった。6月13日以降の日常はまた眠れない日を過ごしているかもしれないが、この日、一体となって春の風や光や愛となったあなた達が優しく生きて、また何度でもHINONABEに会いに来ることを願っている。
文=遊津場
撮影=Takahiro Moriyama、吉岡來美
セットリスト
2026.6.12 代官⼭UNIT
2.裸体
3.喰う、喰われる
4.Need more Sleep
5.熱体夜
6.ころもがえ
7.レスポール
8.Space Out
9.争いの場
10.腐臭
11.おやすみ
12.さよならきらきら
13.Bagel
14.新曲
15.おさがり
16.陽のように
17.6月12日(火)、庭
18.Zaoriku
[ENCORE]
19.眠れない夜
ツアー情報
2026.11.15(日) 大阪 / ANIMA
2026.11.23(月祝) 名古屋 / ell. FITS ALL
2026.12.04(金) 東京 / shibuya WWWX
オールスタンディング ¥4,000+¥1Drink
◾️最速先行(抽選):6月28日(日)23:59まで受付中
https://eplus.jp/hinonabe/