ZIN×汪定中DEWが日本で再共演、国境や言葉の壁を越えて称え合った『SIM CITY』レポート

レポート
音楽
2026.7.20
ZIN×汪定中DEW

ZIN×汪定中DEW

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SIM CITY
2026.6.22 下北沢ADRIFT

今年1月、台湾・Billboard Live TAIPEIで共演した台湾のシンガーソングライター、汪定中DEWと日本のシンガーソングライター、ZINが今度は日本でステージを共にした。6月22日(月)、東京・下北沢ADRIFTで開催されたイベント『SIM CITY』でのことだ。

共演をきっかけに意気投合した2人は6月17日にコラボシングル「White Dress」をリリースしたばかり。国境や言葉の壁を越えたコラボレーションの成果を、きっとステージでも見せてくれるに違いないと期待して、会場に足を運んだところ、「ZINスゴイ!」「My man」とお互いを称えあう2人の共演はライブならではと言える予想外の結末を迎え、フロアを沸かせたのだった。

ちなみに、さまざまなジャンルがクロスオーバーするライブイベントとして、定期的に開催されている『SIM CITY』。前掲2組にR&BバンドのHALLEYを迎えた今回は、国境や言葉の壁を越えるというテーマもあったようだ。


■HALLEY

HALLEY

HALLEY

この日、露払いを任されたのは、“Asian Soul from Tokyo”を掲げるHALLEY。

キーボード奏者を含む21年結成の、この3人組(+サポートのリズム隊)は、ラップも交えるムーディーな1曲目の「Breeze」から、R&Bをバックボーンにしながら、そのキャッチフレーズ通り、彼らならではと言えるソウルナンバーの数々を披露していった。

曲間を空けずに次の曲になだれ込む曲の繋げ方や、サポートのリズム隊も交え、フレーズを応酬しながら演奏の熱度を上げていく間奏のインタープレイからは、ジャムバンドを思わせる一面も窺える。「Tokeau」では西山心(Key)が奏でるプログレ的なシンセのフレーズも飛び出したが、バウンシーな「Can We Talk」はサイケな趣も。

HALLEY

HALLEY

「EPが9月4日に出ます。ツアーもやります。新曲やります!」とTeh(Vo)が言って、『Born with Love Pt. 1』と題したその最新EPから1曲目を飾る「Stronger」も披露した。ビタースウィートでエモーショナルなソウルナンバー。そういう曲に登山晴(Gt)が歪ませた音色でバリバリと鳴るギターリフを加え、ただムーディーなだけで終わらせないところも彼らの魅力と言えそうだ。

最後を飾ったのは、フロアから声が上がった「Don’t Mind」。観客のハンドクラップを誘ったディスコナンバーは、途中、激アツのファンクナンバーに変化。インタープレイとサビを繰り返しながら、どんどん白熱していった5人の演奏がダメ押しするようにライブバンドとしてのHALLEYのポテンシャルを印象づけたのだった。

HALLEY

HALLEY


■汪定中DEW

「みなさん、こんにちは。わたしはDEWです。Happy to be here. 日本大好き。初めて日本でPerformanceします。」

今回、初来日となる台湾のシンガーソングライター、汪定中DEWのパフォーマンスは、彼がエレピを弾きながら歌ったドリーミーなポップナンバー「Butterflies」からスタートした。空間系の音色を奏でながら、バッキングのみならず、エモーショナルなソロも閃かせるサポートギタリスト、JAYのギタープレイも聴き逃せない。

汪定中DEW

汪定中DEW

この日、DEWは全6曲を披露した。その内5曲が3月にリリースした最新アルバム『Airplane Mode』の収録曲だ。繊細な歌の世界を身上としながら、DEW自らアコギでリズムパートを弾いた「La La La」では、「Just say! La La La!  Everybody Say! La La La!」と積極的に観客にシンガロングを求め、フロアを一つにしてみせる。

その「La La La」にはソウルミュージックの影響が滲んでいたが、続く「飛行的姿態(In Flight)」はアコギの爪弾きも含め、フォーキーな味わいも。メランコリックな「747」ではラップも交えながら、感情をぐっと高ぶらせ、聴く者の胸に迫る歌声を披露した。

終盤は路上演奏で15か国40都市を巡ったという日本人ミュージシャン、Sora Satohを迎え、彼と共作した「Akirameyou」と『Airplane Mode』から「Parachute」の2曲を披露した。 ちなみにSoraが語ったところによると、DEWと繋がったきっかけは台湾で路上演奏している時に知り合った台湾人のフォトグラファーの紹介だったそうだ。

「諦めれば、気持ちは楽になるとわかっているのに諦めきれないという葛藤を歌っている」とSoraが語った「Akirameyou」は、お互いの歌にハーモニーを重ね合うDEWとSoraのデュエットに加え、JAYとSoraによるギターソロのリレーも聴きどころだった。

そして、DEWが再びピアノを弾きながら、3人で演奏したラストナンバー「Parachute」はバラードながらしっとりと終わらせず、最後、「Everybody! Singin’!」とDEWがシンガロングを求め、La La Laという観客の歌声とともにフロアをさらに一つにしてみせたのだった。


■ZIN

ZIN

ZIN

トリを務めたのはR&B/ソウルを軸に活動しているシンガーソングライター、ZINだ。

「若い芽は摘んでいきましょう(笑)」と独特の言い回しで、共演アーティストの熱演を称えると、ムーディーな「Contagious」から、ミラーボールが放つ眩い光の中、バンドの演奏が白熱していった「Complex」と繋げ、早速、フロアを揺らしていく。

ZIN

ZIN

「調子はどうですか? いい感じ? 月曜日からみんな調子いいですね。最高です!」

この日、ZINはギター、ベース、ドラムにトランペットを加えたバンドとともに新旧の全8曲を披露。彼のライブ初体験の筆者でもフロアの盛り上がりを見れば、人気曲ばかりのセットリストだということがわかる。

ファルセットを交えながら歌い上げる艶やかなZINのボーカルパフォーマンスが、もちろん一番の聴きどころには違いない。しかし、ソロを任されることが多いトランペットをはじめ、意外に音数が多いバンドの演奏も聴き逃せない。中でも「Distortion」や「Jumpin’」といったファンキーな曲で見せるZINとバンドが一つになっているからこその迫力は、バンドセットならではの醍醐味だろう。

ZIN

ZIN

その一方で、サンプリングも使ったアンビエントなサウンドが印象的だったバラードの「綻び」は、ZINの繊細な歌声がシンガーとしての存在感を際立たせていた。

「音楽は国境を越える。こうやって繋がれるのは音楽ならではないかと思います。海外のビートメイカーと曲を一緒に出したことはあるけど、シンガーと一緒にやるのは初めて。すごく好きな曲になったので、今日はせっかくだから一緒にやりましょうか」

最後は、DEWを迎え、彼と共作した「White Dress」を2人で歌う。1番はDEWが歌い、ZINがハーモニーを重ね、2番はZINの日本語のラップにDEWがハーモニーを重ねる。ハートウォーミングな曲の中で2人の個性が一つに溶け合っている。

最後の2人のハグも含め、この日一番のハイライトは、この「White Dress」――と思いきや、真のハイライトがその後待っていた。

観客のアンコールに応え、バンドとともにステージに戻って来たZINとDEWが急遽、Daniel Caesar & H.E.R.のグラミー最優秀R&Bパフォーマンス受賞曲「Best Part」をデュエットしたのだ。

「ほんとに何も考えてなかったからカバーでもいいですか?」(ZIN)

バンドメンバーたちと打ち合わせている様子を見るかぎり、アンコールの予定は本当になかったようだ。だからこそのサプライズに観客は大喜びしながら、2人のデュエットに酔いしれたのだった。


取材・文=山口智男
撮影=松永樹 @matsunagaitsuki

リリース情報

汪定中 DEW × ZIN 「White Dress」
2026年6月17日(水) 配信リリース
配信リンク:https://linkco.re/0Erttrp7

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