平成中村座 特別企画『四世片岡亀蔵を囲む会』が開催 勘九郎、七之助らゆかりの俳優陣が観客とともに偲ぶ

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11:05
(左より)中村七之助、中村勘九郎、中村鴈治郎、中村扇雀、中村芝翫、笹野高史

(左より)中村七之助、中村勘九郎、中村鴈治郎、中村扇雀、中村芝翫、笹野高史

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2026年10月1日(木)より上演している平成中村座『十月大歌舞伎』。この度、10月13日(火)に、平成中村座 特別企画『四世片岡亀蔵を囲む会』が開催され、その模様が公開された。

昨年11月、惜しまれつつ急逝した四世片岡亀蔵。時代物から世話物、新作までジャンルを問わず、敵役から老け役、滑稽味のある役など幅広い役柄をこなし、存在感のある確かな演技力によって、唯一無二の存在感を持つ俳優として活躍。多くの人々の記憶に残り、愛された俳優だった。

片岡亀蔵

片岡亀蔵

平成中村座では、平成12(2000)年の記念すべき第1回公演から出演、『隅田川続俤 法界坊』の番頭正八をはじめ、数々の作品に出演。これまでの浅草での平成中村座公演はもちろんのこと、日本全国、さらにニューヨーク、ヨーロッパでの海外公演にも出演。平成中村座において、欠かすことのできない存在だった。そんなゆかりの地、平成中村座にて、『四世片岡亀蔵を囲む会』が開催。片岡亀蔵のこれまでの軌跡を辿る特別映像と、ゆかりの俳優陣による座談会にて、片岡亀蔵を出演者、観客がともに偲ぶイベントとなった。

片岡亀蔵ほぼ等身大パネル『唐茄子屋 不思議国之旦那』吉原田んぼの蛙ゲゲコ=四世片岡亀蔵

片岡亀蔵ほぼ等身大パネル『唐茄子屋 不思議国之旦那』吉原田んぼの蛙ゲゲコ=四世片岡亀蔵

片岡亀蔵ほぼ等身大パネル

片岡亀蔵ほぼ等身大パネル

浅草・浅草寺境内裏の期間限定の芝居小屋、平成中村座。亀蔵がこれまで数多の観客を魅了してきた劇場の入り口前には、訪れた多くの人々が思わず顔をほころばせるお出迎えが。亀蔵演じる、『唐茄子屋~不思議国之若旦那』の蛙ゲゲコ、『隅田川続俤 法界坊』の番頭正八、『弁天娘女男白浪』の南郷力丸の“ほぼ等身大”パネル。亀蔵がここ「平成中村座」で熱演した思い出の役の数々に、集まった観客は温かい空気に包まれる。

特別映像

特別映像

場内では、片岡亀蔵を偲ぶ特別映像の上映が始まる。1965年12月歌舞伎座『忠臣蔵』での初舞台から、1969年11月の片岡亀蔵襲名、そして最後の歌舞伎座出演となった2025年の『野田版 研辰の討たれ』まで、足掛け50年間を振り返る、貴重な写真や映像の数々。さらに『法界坊』以降、コクーン歌舞伎でも亀蔵の数多くの当り役となった作品を手掛けた串田和美、からくり人形役が代名詞となった『野田版 研辰の討たれ』の野田秀樹、これまでとは違った新たな一面を見せた「歌舞伎NEXT」シリーズの演出いのうえひでのり、「ゾンビと言えば亀蔵」と十八世勘三郎に勧められたという『大江戸りびんぐでっと』や前回2022年の浅草での平成中村座『唐茄子屋~不思議国之若旦那』演出の宮藤官九郎という、亀蔵に絶対的な信頼を置いた数々の演出家から、その個性に溢れる演技と人柄を振り返るコメントが寄せられた。流される映像の数々では、映像の中の笑い声に併せて客席もどっと沸き、最後は亀蔵の在りし日の姿を思い出し、思わず涙ぐむ人たちも。笑いの中にもその姿を確かに感じることができる、片岡亀蔵を偲ぶにぴったりの映像上映となった。

続いては亀蔵と数々の舞台で共演してきた俳優陣による座談会。登壇者は、中村勘九郎、中村七之助、中村鴈治郎、中村扇雀、中村芝翫、笹野高史の面々。いずれも古典歌舞伎から平成中村座、コクーン歌舞伎といった多岐にわたる公演で共演する傍ら、私生活でも交流を深めてきた。亀蔵の遺品であるゾンビのアロハシャツで登場した勘九郎、ファッション好きの亀蔵を想いお洒落をしてきたという七之助、亀蔵との思い出が詰まったカラーシャツで登壇した笹野高史、映画マニアの亀蔵のために映画にまつわるTシャツで登壇した扇雀をはじめ、各人が亀蔵への思いを込めた衣裳で登場した登壇者。

中村勘九郎

中村勘九郎

中村七之助

中村七之助

笹野高史

笹野高史

勘九郎が冒頭に「今、上演していた映像の中の亀蔵さんの芝居の声が奈落で聞こえました。もうこの声が聞こえないのが不思議な気持ちです」と語口を開くと、扇雀は「こんな会が開かれること自体が悲しい。それでも二郎ちゃん(亀蔵)のために、しんみりしない会にしたいです」とまっすぐな視線で語った。 進行役の吉崎典子から「一番印象に残った役」を聞かれると、七之助、笹野高史、勘九郎、芝翫が口をそろえたのは舞台上のパネルにもなった、『法界坊』の番頭正八。勘九郎は、「京都のお寺で行われた稽古でこの役は生まれました。亀蔵さんと僕は父(十八世中村勘三郎)と演出の串田和美さんから特に叱られていた。追い込まれた中で亀蔵さんが生み出したのが、この役でした」と当り役の意外な誕生秘話を語ると会場は大いに沸いた。一方で扇雀が挙げたのは、『唐茄子屋』の蛙ゲゲコ。一見おふざけ役に見えるこの役は「何度も苦労して、試行錯誤して作り上げてきた」と語り、七之助は「カエルは自分の目と着ぐるみの目、どっちで見ればいいですか」と亀蔵が真剣に演出の宮藤官九郎に聞いては困らせていたというエピソードを語ると、客席、登壇者は大爆笑に包まれた。

中村扇雀

中村扇雀

中村芝翫

中村芝翫

そのまま話は、亀蔵の真面目な一面について。扇雀は「自分が観た映画やその日起きたことについて、欠かさずメモを残していました」と語ると、芝翫は「後輩の面倒をよく見る人。息子・(中村)橋之助もよく面倒を見てもらっていた」とエピソードを披露。勘九郎は、「初めて歌舞伎に出演する俳優さんに、稽古場のことや化粧のことなど、事細かく教えているのが印象的」と語るなど、舞台上だけでなく舞台裏での温かい性格についても語った。 私生活について聞かれると鴈治郎は、「いいお店への嗅覚が鋭い人でした。地方巡業のおいしいお店などすぐに見つけてくれました」と語ると頷く一同。それに対して「でも結構方向音痴だったよね」と語り、会場は笑いに包まれた。

(左より)中村七之助、中村勘九郎

(左より)中村七之助、中村勘九郎

中村鴈治郎

中村鴈治郎

続いて「亀蔵を一言で表すと」という問い。勘九郎は「本当に“稀有”な人でした」と語り、鴈治郎は、「生き返ってきそうな人」と口にすると客席は温かい空気に。ゾンビ映画をこよなく愛し、『眠駱駝物語 らくだ』のらくだの馬太郎や『大江戸りびんぐでっど』など数々の演目でゾンビの演技を研究の末生み出した亀蔵のエピソードが次々に語られた。

笹野高史

笹野高史

最後に公私ともに亀蔵と交流が深かった笹野高史が「ほんとうに幸せな俳優、すごい俳優だったと改めて思います。いつか会えたら肩に手を置いて、お前はすごい俳優だったんだな、と声を掛けたい」と天を仰ぐと、客席からは温かく力強い拍手。最後は亀蔵が愛したジャズに見送られながら、亀蔵を偲ぶ会は閉会。開幕前にしとしとと降り続いた涙雨はすっかり止み、浅草の青空には美しく明るい、七色の虹がかかった。

(左より)中村七之助、中村勘九郎、中村鴈治郎、中村扇雀、中村芝翫、笹野高史

(左より)中村七之助、中村勘九郎、中村鴈治郎、中村扇雀、中村芝翫、笹野高史

なお、平成中村座『十月大歌舞伎』は10月25日(日)まで、浅草寺境内 本堂裏 仮設劇場にて上演。

公演情報

平成中村座『十月大歌舞伎』
 
■日程:2026年10月1日(木)~25日(日)
休演日:10月8日(木)、19日(月)
※10月13日(火)は第一部のみ
※10月23日(金)は第一部・第二部とも貸切
 
■会場:平成中村座
浅草寺境内 本堂裏 仮設劇場
 
【第一部】午前11時~
 
山口晃 作
寛徳山人 作

一、初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)
 
橋彦:中村橋之助
福彦:中村福之助
歌彦:中村歌之助
 
 
二、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居
 
戸無瀬:中村七之助
大星由良之助:中村勘九郎
大星力弥:中村歌之助
小浪:中村鶴松
お石:中村扇雀
加古川本蔵:中村鴈治郎
 
 
河竹黙阿弥 作
三、連獅子(れんじし)
狂言師右近後に親獅子の精:中村勘九郎
狂言師左近後に仔獅子の精:中村勘太郎
狂言師左近後に仔獅子の精:中村長三郎
法華の僧蓮念:市川男寅
浄土の僧遍念:澤村宗之助
 
 
【第二部】午後4時~
 
 
四世鶴屋南北 作
一、御存 鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)
 
 
幡随院長兵衛:中村芝翫
白井権八:中村勘太郎
二、助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)
花川戸助六:中村勘九郎
三浦屋揚巻:中村七之助
髭の意休:中村芝翫
くわんぺら門兵衛:中村橋之助
傾城浮橋:市川男寅
朝顔仙平:中村福之助
福山かつぎ:中村長三郎
傾城胡蝶:中村鶴松
三浦屋白玉:中村芝のぶ
揚巻付番頭新造巻絹:中村梅花
傾城八重衣:澤村宗之助
母満江:中村歌女之丞(1日~22日)/中村扇雀(23日~25日)
通人里暁:中村鴈治郎
白酒売新兵衛:中村扇雀(1日~22日)/片岡仁左衛門(23日~25日)
 

公演情報

平成中村座『十月大歌舞伎』特別企画『四世片岡亀蔵を囲む会』 ※終了
日程:2026年10月13日(火)
会場:平成中村座

四世片岡亀蔵を偲んで
一、特別映像
 
四世片岡亀蔵を囲んで
二、座談会
 
<座談会> 中村勘九郎、中村七之助、笹野高史、中村芝翫、中村扇雀、中村鴈治郎
進行:吉崎典子
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