国立劇場開場50周年記念事業(公演)ラインナップ発表!記者会見レポート

 
日本の伝統芸能の保存と振興を図ることを主な目的として、国立劇場(独立行政法人 日本芸術文化振興会)が東京・半蔵門の地に誕生してから、今年の11月でめでたく50周年を迎えることとなった。この間には、国立劇場に続いて国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場(大阪)、国立劇場おきなわ(沖縄)と、それぞれメインとなる専門分野を擁する劇場も次々に産声をあげ、日本の芸術その他の文化の向上に寄与し続けている。
 
これにともない、2016年9月から17年3月までの間に「国立劇場開場50周年記念事業」と銘打って、歌舞伎や文楽、舞踊をはじめ、邦楽、雅楽、声明、民俗芸能などの各ジャンルにおいて、第一線の俳優、舞踊家、演奏家による“これぞ50周年”という作品の上演が数々予定されている(概略については下部をご参照ください)。
 
4月26日、都内で同会の茂木七左衞門理事長、平林正吉理事、大和田文雄理事、水野英二理事らが出席し、ラインナップの発表記者会見が行われた。さきがけとなる公演は、9月3日から二部構成で行われる文楽公演(19日まで)。また、9月28日には祝賀公演「伝統の華 能・歌舞伎・文楽」を含めた「国立劇場開場50周年記念式典」も予定されており、能から観世清和ら、文楽から豊竹咲太夫、鶴澤清治、吉田和生、桐竹勘十郎ら、歌舞伎から松本幸四郎、中村梅玉らが出演し、記念すべき大きな節目を祝う。
 
【国立劇場開場50周年記念事業 ラインナップ】
 
【歌舞伎公演】(大劇場)
 
〇10/3~27 「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」第一部 大序~四段目
三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵』の全段を3か月にわたり上演。上演可能な場面を網羅した完全通し上演。まずは物語の発端となる「大序」から、判官の切腹をへて由良之助が討入を決意する「四段目」まで。出演:松本幸四郎(大星由良之助役)、中村梅玉(塩冶判官役)ほか
 
〇11/2~26(11/10は休演) 「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」第二部 道行旅路の花聟、五段目~七段目
続いて、塩冶浪士の早野勘平とその恋人おかるの悲劇、そして由良之助の苦衷を描いた「落人」から「七段目」まで。出演:尾上菊五郎(早野勘平役)、中村吉右衛門(大星由良之助役)ほか
 
〇12/2~26 「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」第三部 八段目~十一段目、花水橋引揚げ
締めくくりは、討入を陰で支えた人々のドラマと、赤穂義士が本懐を遂げるまでを描いた「八段目」から「十一段目」の花水橋引揚げまでの大団円。出演:松本幸四郎(加古川本蔵役)、中村梅玉(大星由良之助役)ほか
 
〇2017/1/3~27 「通し狂言 しらぬい譚」(仮題)
江戸時代のある御家騒動が主題の作品で、国立劇場では77年に河竹黙阿弥脚色『志らぬひ譚』を通し狂言で復活。今回、先行作を参照しつつ原作から新しい台本で40年ぶりに上演。お正月公演ならではの娯楽性豊かな舞台。出演:尾上菊五郎(鳥山豊後之助役)ほか
 
〇3/4~27 3月歌舞伎公演(内容未定)
 
【文楽公演】(小劇場)
 
〇9/3~19 第一部「通し狂言 一谷嫩軍記」初段、二段目
第二部「寿式三番叟」「通し狂言 一谷嫩軍記」三段目
源平合戦の一ノ谷の戦いを題材とした名作。初段から三段目「熊谷陣屋」までの通し上演は約45年ぶり。第二部には50周年を寿ぐ『寿式三番叟』も。出演:豊竹咲太夫、鶴澤寛治、鶴澤清治、吉田簑助ほか
 
〇12/3~19 第一部「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」大序~六段目
第二部「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」七段目~十一段目
「同一演目を歌舞伎と文楽で」というポリシーを重視してきた国立劇場。歌舞伎と同じく、『仮名手本忠臣蔵』を10年ぶりに通し上演。第一部では発端の大序から六段目、第二部では七段目から、98年以来となる十段目「天河屋」も含めて最後まで上演。出演:豊竹咲太夫、鶴澤寛治、鶴澤清治、吉田簑助ほか
 
〇2017/2/4~20 「近松作品と文楽名作選」
2月公演恒例の3部制で、近松門左衛門の不朽の名作とともに後世の作家が近松に影響を受けて生み出した作品を上演。出演:豊竹咲太夫、鶴澤寛治、鶴澤清治、吉田簑助ほか
 
【舞踊公演】
 
〇9/10 道成寺と日本舞踊(大劇場)
道成寺に伝わる伝説を基にした能楽『道成寺』や歌舞伎『京鹿子娘道成寺』をはじめ、そこから派生した「道成寺もの」の新旧さまざまを、中堅・若手舞踊家を中心に上演。
 
〇11/26~27 舞の会―京阪の座敷舞―(小劇場)
微妙な人の心、四季折々の幽玄なる情景を繊細な技法で描き出す上方の舞。京阪を代表する四流を中心に、『珠取海女』『ゆき』など座敷舞の代表曲、賑やかな『へらへら踊』などを上演。出演:井上八千代、楳茂都梅咲弥、山村友五郎、吉村輝章ほか
 
〇3/25~26 舞踊名作鑑賞会(小劇場)
人間国宝をはじめ現在の日本舞踊会を代表する舞踊家が集い、古典の演目から近年の作品まで、衣裳付と素踊りとを織り交ぜて上演。出演:西川扇藏ほか
 
【邦楽公演】(小劇場)
 
〇10/8~10 邦楽鑑賞会(一)
義太夫節、常磐津節、清元節、新内節、一中節、河東節などの演目を、人間国宝をはじめ代表的な演奏家により上演。出演:豊竹咲太夫、竹本駒之助、常磐津英寿、清元梅吉、新内仲三郎、鶴賀若狭掾、宇治紫文、山彦千子ほか
 
〇1/14~15 邦楽鑑賞会(二)
長唄と三曲を中心に、人間国宝をはじめ第一線の演奏家により上演。出演:東音 宮田哲男、堅田喜三久、米川文子、山勢松韻、富山清琴ほか
 
【雅楽公演】
 
〇11/12 創造する雅楽―これからの千年に捧ぐ―(小劇場)
芝祐靖作曲の創作作品である『招杜羅紫苑』『雉門松濤楽』を、それぞれ伶楽舎、十二音会が上演。
 
〇2/25 舞楽(大劇場)
“雅楽の華”とも称される舞楽を、国の重要無形文化財でもある宮内庁式部職楽部の出演により上演。
 
【声明公演】(大劇場)
 
〇10/29 声明 比叡山と高野山
現在の日本の二大声明といわれる天台宗と真言宗の声明を上演。出演:高野山真言宗総本山金剛峯寺、天台宗総本山比叡山延暦寺 法儀音律研究部
 
【民俗芸能公演】(小劇場)
 
〇1/21~22 壬生狂言/早池峰神楽/淡路人形芝居
第1回でも上演された「壬生狂言」、ユネスコ無形文化遺産でもある「早池峰神楽」、民俗芸能における人形芝居の最高峰「淡路人形芝居」独自の『賤ヶ嶽七本槍』。
 
【琉球芸能公演】(小劇場)
 
〇3/4~5 組踊「執心鐘入」と琉球舞踊
首里王府の冊封使歓待のため創作された「組踊」の名作で、組踊版道成寺と称される『執心鐘入』ほか。
 
【特別企画公演】(大劇場)
 
〇9/24~25 日本の太鼓
藤舎呂英作曲による新曲で開幕のほか、全国各地で受け継がれる太鼓芸能を日替りで上演。出演:藤舎呂英連中、林英哲ほか
現時点ではまだ全貌が明らかでない部分もあるが、出演者はもちろん、各ジャンルにおける極付の作品、あるいは珍しい作品など、質量ともにハイレベルの公演となることは間違いなさそうだ。公演以外にも、三井記念美術館での特別展「日本の伝統芸能展」(11月26日~16年1月28日)や伝統芸能情報館での「国立劇場50年の歩み展(仮題)」(9月3日~11月27日、12月2日~17年3月27日の前期・後期)、国立劇場恒例の「公演記録鑑賞会」(16年4月~17年3月にかけて毎月第2金曜日、申込制)、多彩な講師による伝統芸能サロン「国立劇場の50年を振り返る(仮題)」なども予定されている。
 
ファンならずとも注目のラインナップに、盛りだくさんの関連イベント。20年のオリンピックに向け、外国語での解説を充実させるなど、国内にとどまらず海外の人々にもより伝統芸能への理解を深めてもらうため「DISCOVER」シリーズにも力を入れる方針だ。
 
【取材・文・撮影/内河 文】
演劇キック - 観劇予報
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