『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』制作者インタビュー 女性向けゲームを制作する男性クリエイターの目線とは「テレビ番組的な感覚で楽しんでもらってもいい」

インタビュー
2016.7.23
『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』

『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』

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「アナタはオトコを見る目、ある?」――そんな、男女ともにドキリとするようなキャッチコピーで彩られたゲームアプリ『ダウト~嘘つきオトコは誰?~(以下、ダウト)』。本作は、プレイヤーがヒロインになりきり、ゲームに登場する10人の男性たちの言動の異変や所持品を通じて、彼らがダメ男である証拠を見つけ出していく新感覚の恋愛ドラマアプリだ。2015年9月の配信開始以来、着実にファンを増やし、現在では200万DLを超える人気タイトルとなっている。SPICEではこの『ダウト』を生み出した株式会社ボルテージの男性プロデューサー田中健太氏と菊池紘生氏の2名にインタビューを実施。従来の恋愛ドラマアプリからは一線を画した『ダウト』はどのように発想され、作られていったのか。制作秘話を紐解くと、男女問わず魅了してしまう本作の面白さの理由を掴むことができた。

 

――まず、この『ダウト』の企画自体はどのようにして生まれたのかをお聞き出来ればと思います。

田中健太(以下、田中):ボルテージは長く恋愛ドラマアプリを作って世に出してきました。ただ、世の中には恋愛ゲームを毛嫌いしていたり、「私には合わないな」と思っている人もまだいらっしゃると思うんです。この人たちに、どうにかしてボルテージのアプリを知ってもらいたいという思いがあったんですよ。そこで、最終的にはボルテージの恋愛ドラマアプリまで行きつけるような、橋渡し的なゲームを作れたらというのが『ダウト』を考案し始めたきっかけですね。なので、最初から『ダウト』のターゲットは弊社を支えてくださっているユーザーさんというよりは、弊社を知らない人たちを狙っていました。

田中健太氏

田中健太氏

――『ダウト』には、ボルテージさんのほかのゲームに比べるとかなり毛色が違う、ゲームや謎解きの要素が濃く入っているなという風に感じました。この「嘘をついている男を見抜く」というアイデアはどのように生まれたのでしょうか。

菊池紘生(以下、菊池):男女の関係のなかで生まれる面白いネタがないかとブレストして考えていく中で、その場にいた社員の女性に引っかかったのが、“浮気”や“ダメ男”といったマイナス要素の恋愛ネタだったんですよ。それらがすごくユーザーさんに引きがありそうだとわかって、深く掘っていった結果、「プレイヤーが男の嘘を暴くていく」というゲーム構造に至ったんです。社内で出た意見の一例だと、「浮気をFacebookで暴くのが楽しい」というような話があがりまして。

菊池紘生氏

菊池紘生氏

――怖いですね(笑)。

菊池:リアルな生活の場でもそういう経験があるというのを聞いて、それくらい女性にとって身近なものだったらゲームにしても多くの女性が楽しめるのではないかと思って。ゲーム内では『FindFriend』という架空のSNSを使って、ゲームに登場する男性の怪しいところを見つけていくことができるんですけど、その機能はそのFacebookの話をうけて追加したんです。

――『ダウト』に登場するSNSを操作していると、本物のSNSを見ているかのような感覚になります。あの操作性は意識して作られたんですか?

『FindFriend』ゲーム画面 (C) ボルテージ  

『FindFriend』ゲーム画面 (C) ボルテージ  

田中:そうですね。社内の女性社員から会議中に出た話では、彼女たちはFacebookですごくいろいろ探るらしいんですよ。友達の友達の友達まで見るとか。そういうところは、再現するにあたって入れていきたいなとは思っていました。かなりえげつないほど探っていくらしく……本当に男を信用していないんだなと思いますね(笑)。だったら、それをきちんとゲームにしようよとなりました。

――制作をしていく中で、女性不信になりそうですね。

田中:会議ではずっと女性スタッフから「どうやって嘘をつくの?」「隠し事したことないの?」って問い詰められます。

――それは辛いですね(笑)。『ダウト』は、どれくらいの期間をかけて出来上がったのでしょうか。

田中:おそらく1年ちょっとかかりましたね。企画は3~4か月で固まっていたんですけれど、そこから中身をこだわってシナリオを直していったりする段階で時間がかかりました。

――制作中に苦労したことや、想定外のトラブルなどはありましたか。

菊池:ゲームの内容面でいうと、主人公の女の子が今までの恋愛ドラマアプリとはちょっと異なっていて、男を疑わなきゃいけないしフラなきゃいけないんですよ。さらに、彼女はすごく理想が高くて並みの男には興味がないという設定で、それをリアルに描かなければいけないという点に苦労しました。またリアルに描きつつも、ユーザーさんが応援したくなるような、共感できるキャラクターにしなければいけないというのも通常とは勝手が違ったのでかなり苦労しましたね。

――『ダウト』には、特徴のある男性がたくさん出てきますが、彼らの設定や性格付けはどうやって生み出されていったのでしょうか。

田中:「こんな男とは結婚したくない」という案を出すブレストをずっとやりました(笑)。その中で、例えば「DVの男」などの案が出たら、それと相反するキャラクターはどういう人か、逆に似合いそうなのはどういった人物か、ということを考えながらビジュアルを作っていきました。

(C) ボルテージ  

(C) ボルテージ  

――ゲーム内では主人公にフられた後の男のストーリーや、それでも主人公と付き合おうとする様子が描かれますね。そのあたりも普通の恋愛ゲームではあまり見られない点だなと思っています。

菊池:ダメ男とはいえ愛らしいキャラにしたかったので、エンドではその人が何故そんなダメな人間になってしまったのかをしっかり描きました。ユーザーさんからはダメ男に対しても「これなら私も応援できる!」と言っていただけていて。逆に、男の人のダメな部分をもっと突き抜けさせて、ちょっとギャグテイストなエンドにしている場合もあります。その両軸でエンドのシナリオは作っていきました。結果、ダメなところを突き抜けさせて描いたダメ男エンドでも、意外とユーザーさんからは「このシナリオの続きをもっと見たい」と言っていただけて。制作者としてはうれしい話ですね。

――ゲーム内の本編以外に特徴的なものでいうと、男性との恋の駆け引きや、恋愛術などをクイズにした『アピールタイム』という要素がありますね。設問が秀逸で面白いなと思っています。数でいうとどれくらいの設問数があるのでしょうか。

菊池:数としては1,000弱ですね。イベントがある時に随時追加しているのと、この間オフィス編が導入されたときにも増やしました。

――どのようにして発案していくのでしょうか。やはり日々ネタ探しなどもされているんですか?

菊池:主に社内でブレストしてアイデア出しをしていきます。ネタ探しとしては女性誌を持ってきて「いまはこれが流行っているみたいだ」と社内で共有したりします。チームには女性のメンバーもいるので、『アピールタイム』の問題をつくる時には、ただ楽しいだけではなく、プレイした人がそれを話題にできるような女性の身になる設問になるよう意識しています。

――ボルテージさんはゲームタイトルの海外進出も多く行なっていますが、『ダウト』に関しても海外進出は考えてらっしゃるんでしょうか。

田中:はい。考えています。

――海外ではまた捉えられ方が違いそうですね。

田中:そうですね。ただ、グループインタビューのような形で、海外の方を呼んでアンケートを行なったのですが、おおむね受け入れられそうだという感触はあります。海外のすべてのゲームを見たわけではないですけど、『ダウト』のようなゲームはあまり海外にはないんじゃないかなと思っているので、どれだけ世界の人に受け入れられるか楽しみです。7月の頭にロサンゼルスで開催された『Anime Expo 2016』でも、ユーザーの方に体験していただき、非常に良い反応をいただくことができました。

――ちなみに、お二人が『ダウト』を作っていく中で恋愛観が変わったり、女性に対する見方が変わった、なんていうことはありますか?

田中:SNSはやらないでおこうと思いました(笑)。

菊池:僕も写真とか上げないようにしています(笑)。

――なるほど(笑)。では、田中さん、菊池さんのゲーム観についてお聞きしたいのですが、ゲームクリエイターになろうと思ったきっかけはなんでしょうか。例えば、このゲームに影響を受けた、というものがあれば。

田中:僕は中途採用でボルテージに入社したんですけど、前はテレビ業界だったんですよ。元々エンターテインメントや人を喜ばせることが大好きだったんです。転職するにあたって、次はなにで人を喜ばせようかなと考えたときに、いま人が持っているもので一番身近なもので喜ばせられたらなと思いました。それで、このスマートフォンゲームの業界に入ったんです。

菊池:僕はもともとゲームよりは漫画が好きで、少女漫画を小さい頃によく読んでいました。物語として面白いなと思っていたんです。それをゲームにできるというのがすごく楽しそうだなと思って、ボルテージに入りました。

――田中さんがテレビ業界から来られたという話を伺って気付きましたが、確かに『ダウト』にはバラエティ番組のような目線がありますよね。例えば『ロンドンハーツ』のような。そういうことを踏まえると、このゲームの面白さがストンと腑に落ちます。いわゆる「ゲーマー脳」ではないところで作られていますよね。

田中:普段恋愛ドラマアプリをやっていない人に向けて作っていたので、とにかく人の嘘を暴くっていう快感だけを味わってもらうことを目指していました。なので、極論ゲームとして捉えずに、テレビ番組的な感覚で楽しんでもらってもいいんですよね。

――ちなみにですが……お二人は嘘を見破るのが得意だったり、嘘を見破られた経験はありますか?

田中:得意だと思っています。違和感を大事にしているので。「あれ? ちょっと違うな」とは思うんですけれど、「それ間違っているでしょ!」と言ったことはないです。後が怖いので(笑)。

菊池:僕は、見破られがちだと思います。なので、開き直ってというか、オーバーにリアクションした方が逆に許してくれるかな?と最近は思っています。まぁ許してもらえないですけれど(笑)。

――お二人にとっての理想の女性像はありますか?

田中:怒ってくれる人ですかね。間違っていることは「間違ってるよ」って言ってくれる人はいいなって思うので、『ダウト』のヒロインももしかしたらそういう人間なのかも。ビンタされるのは嫌ですけど(笑)。自分を持っている凛とした人はいいなと思いますね。

菊池:僕は恋愛ドラマアプリを作っているからかもしれませんが、人を愛せる人がいいですね。ちゃんと人を信頼して、怒るときは怒って、という愛情表現ができる人がいいなと思います。みんなに愛を振りまける人は素敵だなと。

――今後『ダウト』を使って、“こんなことやりたい”と思っていることがあれば教えていただきたいのですが。

菊池:新しいダメ男や、こんな男とは結婚したくない!っていうキャラクターをもっと出していきたいと思っています。

――前向きなのか後ろ向きなのかわからないコメントですね(笑)。では最後に、『ダウト』に限らず、ボルテージでやっていきたいことはありますか?

田中:外で人と会ったときに、男女関係なく『ダウト』を知っていると言ってくださることが多くて。元から男女にめがけたゲームを作りたいというわけではないのですが、男女の区別なく自然とみんなが知っていくゲームをもう1本、2本、3本と作っていきたいです。

菊池:僕も本当に同じ気持ちです。『ダウト』のような謎解きがあるものでもいいですし、そうでなくてもいろんな人が話題にしてくれるゲームを作っていきたいです。なので、常に女性が何を考えているかは追っていきたいなと思っています。

田中:僕の夢としては、電車の中でみんながやってくれるゲームを作りたくて。いまでいうと『ツムツム』や『パズル&ドラゴンズ』などのようなものですね。恋愛アプリのように、ストーリーを読みながらプレイするゲームは電車のなかで行うのはなかなか難しくはあるんですが、それでもみんなやってくれるくらいのものを作れたら「勝ったな」と思えるんじゃないかなと。


 

取材=加東岳史 文=岡本麻由

 

製品情報
ダウト~嘘つきオトコは誰?~
 

ジャンル:恋愛ドラマアプリ
価格      :基本プレイ無料(アイテム課金制)
推奨環境:iOS7.1~ / Android4.0~

iOS:https://itunes.apple.com/jp/app/id953940121
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.voltage.g.doubt&hl=ja
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