京都の小劇場[スペース・イサン]貸館事業終了へ
貸館事業終了の告知が掲載された[スペース・イサン]公式サイト。
[アトリエ劇研]に続き…京都の演劇シーンを支えた小屋が、また一つ消える。
岸田國士戯曲賞作家の鈴江俊郎などを排出した、京都の小劇場[スペース・イサン]が、今年12月で貸館業務を終了。実質的に劇場としてはクローズすることが、7月7日に劇場サイトで発表された。
[スペース・イサン]は、1995年に[スペース・イサン東福寺]の名前でオープン。人形劇の活動をしていたオーナー・松浦武男氏が、遺産を投じてスペースを購入したことから、この劇場名になったという。席数80席程度で気軽に借りられる空間のため、京都で活動する若手劇団たちのチャレンジ&育成の場として定着。2014年には「下鴨車窓」の田辺剛氏を劇場プロデューサーに迎え、再演支援プログラム「PLAY AGAIN」などの自主企画にも意欲的に取り組み始めていた。
[スペース・イサン]外観
プロデューサーの田辺氏に話をうかがったところ、今回の閉館は、6月27日にオーナーの方から申し出があったという。オーナーの松浦氏が高齢となり「自分で判断を付けられるうちに、劇場の去就を決めたい」というのが、その理由だった。12月以降は松浦氏の個人スタジオとなり、知人の範囲内での稽古場利用を想定しているそう。田辺氏はプロデューサーを辞し、イサンで取り組んで来た自主企画も、現時点では「継続予定のものはない」とのことだ。
[スペース・イサン]内観(客席側)
京都の小劇場といえば、昨年末にも老舗の小劇場[アトリエ劇研]が、やはりオーナーの意向により来年夏での閉館が報じられたばかり(その時のニュース記事はコチラ)。それぞれの劇場所在地が、京都市内の北エリアと南エリアに分かれていることから「北の劇研、南のイサン」と親しまれてきた小劇場が、ほぼ同時になくなるのは、京都の演劇界にとってはかなりの痛手だ。現在期待できる若手が続々と生まれている良い状況だけに、この勢いにブレーキがかけられることのないよう、この2劇場に匹敵する新しい空間が、できるだけ早く生まれることを望みたい。
住所:京都市東山区本町10丁目151-1
電話:075-531-4266
公式サイト:http://spaceisan.net/