20周年の締めはレッチリ! FUJI ROCK FESTIVAL '16 SPICEオリジナルフォト&レポート・3日目

レポート
音楽
2016.7.25
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

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FUJI ROCK FESTIVAL '16 2016.7.24 

GREEN STAGE ステレオフォニックス

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

フジロックと同じく今年デビュー20周年を迎えるステレオフォニックスが、実に15年ぶりにフジロックのステージに帰ってきた。オーディエンスが掲げたウェールズの旗がはためくGREEN STAGE。そこに彼らは、最新アルバム『キープ・ザ・ヴィレッジ・アライヴ』収録曲を軸に、歴代のアルバム曲たちをバランス良く配したセットリストを用意して現れた。

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

キャリアを重ね、間違いなくイギリスを代表するバンドとなっている彼ら。そのパフォーマンスと音はビシッとタイトに、さらにしっかりロックンロールしており、普遍的なメロディが乗るという構造は、とにかく痛快で、オーディエンスのツボをつきまくる。また、日本でも確固たるシーンが存在する王道ギターロックのお手本のようでもある。

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

ケリー・ジョーンズ(Vo&G)とリチャード・ジョーンズ(B)が美しいハーモニーを聴かせる「Mr and Mrs Smith」、ギターロックの楽しいところを凝縮したような「The Bartender And The Thief」。ケリーのアコギ弾き語りで始まった「Maybe Tomorrow」ではエンディングで大きなシンガロングを起こし、ラストに満を持して披露した「Dakota」ではイントロだけで大歓声が沸く。そうしたオーディエンスの反応から、自分たちがどれだけ日本で愛され、長らく待たれていたのかをバンド自身が強く感じ、この日のライブを存分に楽しんでいたように見えた。

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

すべての演奏を終えるとオーディエンスに向けて拍手を贈り、ステージを去りながら何度も振り返っていたケリー。そして振り返る度にオーディエンスの歓声を煽る、ちょっとしたコール&レスポンスのようなやりとりをして、ほのぼのとしたムードのなかステレオフォニックスのステージは終了した。

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

ステレオフォニックス 撮影=風間大洋

そして、フジロックの余韻も冷めやらぬ7月26日(火)には、渋谷TSUTAYA O-Eastでの単独公演を控えているステレオフォニックス。この日みせた完成度・満足度ともに高いステージを、さらに更新してみせるのか。ファンにとってはフジロックが終わってもまだワクワクは続きそうだ。

 

GREEN STAGE レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

いきなり何のひねりもないことを言います。20周年のフジロックの大トリ(深夜のアクトは除く)がレッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズで本当に良かったと思う。

3日目のヘッドライナーとして登場したレッチリ。フジロックで最大の会場・GREEN STAGEは開演の30分以上前からものすごい数のオーディエンスで埋め尽くされていた。過去最大動員かもしれないなんて話もある。つまり、それだけの人々が“フジロック”でレッチリを観たい”という気持ちで集結したということであり、それだけアニバーサリーのフジロックにレッチリが来てくれたという事実は特別だし、代えがたい価値がある。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

メンバー登場前から、何度も何度も歓声と手拍子が起こるGREEN STAGEに、まずはチャド・スミス(Dr)、フリー(B)、ジョシュ・クリングホッファー(G)の3人が登場し、セッションを開始する。持ち前のファンクネスとテクニックで強烈なグルーヴを放ち、場内をこれでもかとあたためまくった後、アンソニー・キーディス(Vo)が現れて最新作『The Getaway』からの「Goodbye Angels」をドロップ。場内はのっけから爆発的な盛り上がりをみせた。

日本でもおなじみの「Dani California」を届けた後、イントロで歓喜の声が上がったのは「Scar Tissue」。ジョシュとフリーが向かい合い優しく紡がれるサウンドにドラムとボーカルが乗った瞬間、この曲が収録されていたアルバム『Carifornication』のジャケットの夕景みたいなセンチメンタルな情景が、容易に脳裏に浮かぶ。時が経っても色褪せない力を持った楽曲と、リスナーそれぞれの中のレッチリが、共鳴し合う瞬間だ。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

『Carifornication』からは他にも「Parallel Universe」、「Otherside」、そして表題曲「Carifornication」と、実に4曲が披露され、その都度歓喜の叫び声がいたるところから上がっていた。思えばこの大ヒットアルバムがリリースされたのは、レッチリが伝説となった第一回のフジロックでヘッドライナーを飾った2年後だから、その当時はまだ存在しなかった曲たちだ。それが懐かしさすら覚えるくらいの不朽の名曲になるまでの間、もっといえば当時生まれてすらいなかったリスナーがフジロックに遊びに来たり、中学生だった男がこうしてレポを書くようになるまでの間、レッチリはずっとトップランナーであり続けたってことだ。その事実は改めて考えるととんでもない。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

同時に、最新モードのレッチリを体感できる楽曲として「The Getaway」、「Dark Necessities」といった、当然本邦初披露となる『The Getaway』からの曲たちがいくつもセットリストに組み込まれ、オルタナティヴ・ロックの流れとレッチリ節ともいうべきハネ感、アンソニーやフリーによる視覚面にも楽しいアクションといった各要素が気持ち良い落とし所で融合したパフォーマンスで、風格すら感じさせてくれた。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

安定感抜群の歌声とラップで迫るアンソニー、膝を妙に上げるお馴染みの歩き方でステージを往復しながら神業を見せるフリー、繊細な音色から火花が出るような鋭い音まで繰り出すジョシュ、会場後方にいてもズドンズドンと響いてくほどのビートを叩き出すチャド。若干、ーー音響やセッティングの問題か意図したものなのかは分からないがーー大音量でぶちかますような迫力こそ欠いたものの、やはり強烈な個がぶつかり合う彼らのアンサンブルは、いずれの時代の楽曲においても心と身体を踊らせてくれた。また、誰もがその美しいギターとメロディに心を奪われた「Under the Bridge」や、本編ラストに地鳴りのような完成に迎えられ、歌詞の最後<Waiting for>に<You>と付け足して喝采を浴びた「By the Way」など、こちらが聴きたい曲にしっかりと応えてくれるサービス精神も、来日を心待ちにしていた我々にはうれしい限りだ。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

心遣いはアンコールにも。チャドが1人で登場してバスドラムを鳴らしながらクラップさせたり止めたりして沸かせたかと思えば、なんとフリーは逆立ち歩きで登場したではないか。恐るべし。そこからライブでは世界初披露だという「Dreams of a Samurai」まで届けてくれた。そして締めくくりは……お待たせいたしました、きっと場内の95%くらいは聴きたかったであろう「Give it Away」! 縦横に揺さぶってくるレッチリの真骨頂が炸裂し、笑顔と歓喜に包まれながら1時間半のステージを終えた。

懐かしさも新しさもエンタテインメント性も提示できること、そして何より“みんなの存在”であること。その全てを兼ね備えた彼らにしか成し得ないライブだったし、それができるバンドなんて世界中を見渡してもそうそういない。

もう一度言います。僕は、20周年のフジロックの大トリがレッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズで本当に良かったと思う。


撮影=風間大洋 レポート・文=望木綾子(ステレオフォニックス)、風間大洋(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 撮影=風間大洋

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