女流書道家と菅野祐悟らアーティストが異色のコラボ 『田中象雨×10ARTISTs展』オープニングイベントをレポート
日出郎、田中象雨、菅野祐悟、HIRONA(左から)
日本の伝統文化である「書道」を、音楽やお笑いライブとコラボした「ライブ書道」という斬新な切り口で現代社会へと発信する、女流書道家・田中象雨。そんな彼女の個展『田中象雨×10ARTISTs展』が、2016年8月28日(日)〜9月11日(日)まで開催されている。展覧会の舞台となるのは、東京カルチャーの発信地ともいえる、原宿のど真ん中、「スピンズ原宿店」だ。豪華ゲストを迎えて行われた、展覧会初日のオープニングパーティーの模様をレポートしたい。
展示風景
今回の展覧会では、田中象雨が多種多様な肩書きを持つ偉人たちにインタビューを敢行。その取材を通じて受け取ったイメージやパッションを、「書」の作品として表現するという、異色のコラボレーション企画となっている。参加している10人のアーティストたちは、以下の通り。
アシュリーイングラム(音楽プロデューサー)、安達雄貴(タップダンサー)、家入一真(事業家)、宇野亜喜良(イラストレーター)、菅野祐悟(劇伴作曲家)、小泉博康(美術監督)、2700ツネ(お笑い芸人)、日出郎(元祖オネエタレント)、HIRONA(ヒューマンビートボックサー)、武蔵(格闘家)。
日出郎(左)と田中象雨(右)
冒頭のトークライブには、元祖オネエタレントの日出郎が登壇した。キラキラとした青い衣装に身を包み、目元を強調したド派手なメイクで、ビジュアルからして圧倒的な存在感だ。そんな日出郎は、1980年代からテレビのバラエティ番組などで活躍していたとあって、もちろんトークのキレも抜群である。「ゲストで呼ばれている私が、なんで司会みたいなことやってんのよ!」とツッコミを入れつつも、自称口下手という田中をリードしながら、オーディエンスを爆笑の渦に。二人は今回のコラボ制作が初対面だったそうで、日出郎は「書道家さんということで、どんなおじいちゃんが来るのかと思ったけど、若い女の子だったからびっくり!」と、取材時のエピソードを語った。
日出郎をイメージして描かれた書「融通無得」
こちらは、日出郎をイメージして書かれた作品。「融通無碍」という四字熟語は、「周囲に捉われず、のびのびと自由であるさま」という意味で、まさに日出郎にぴったりの言葉となっている。
安達雄貴(左)
トークライブ中盤では、たまたま会場に駆けつけていた、安達雄貴とHIRONAも飛び入り参加することに。日出郎の無茶振りに応じてHIRONAがヒューマンビートボックスを披露し、会場は大盛り上がり。
HIRONA
菅野祐悟
トークライブ終了後は、劇伴作曲家の菅野祐悟が登場。有名映画やドラマ、アニメなどを中心に多くの劇伴を手がけている菅野だが、今回はピアノソロでのパフォーマンスとなる。2014年に放送されたNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』のメインテーマを演奏し、日出郎の辛口トークに沸いた会場を、一気にしっとりと叙情的なムードへと導いた。そんな菅野だが、今回の展覧会プロデューサーを務める菅野充と実の兄弟なのだそう! 意外な繋がりから、田中とのコラボレーションが実現したというから驚きだ。
菅野祐悟をイメージして書かれた「響」
こちらは、菅野をイメージして描かれた作品、「響」。この「響」をキーワードに、田中のライブペインティング×菅野の即興演奏という、コラボレーションパフォーマンスも披露された。
田中は、着物に裸足という出で立ちで、会場に用意された大きな画面と対峙する。このコラボでは、「響」というワード以外には打ち合わせや仕込みは皆無で、どれくらいの時間をかけて描くかということも具体的に定められていなかったようだ。しかしながら、田中は躊躇なく筆を走らせ、みるみるうちに画面を書で埋めていく。ものの5分ほどだろうか、あっという間に作品が完成した。
時には筆をグーの手で握り、力強く描く場面も
コラボの舞台を終え、額の汗をぬぐいながら「夢中でやらせていただきました!」と語る田中。菅野も、「(演奏と書が)ちょうどのタイミングで終わってよかったです」と笑顔を見せた。
『田中象雨×10ARTISTs展』開催中は、9月10日に家入一真、11日には初日に飛び入り参加した安達雄貴・HIRONAをゲストに迎えた特別イベントも開催される。今回の個展はクラウドファンディングも実施されているので、活動を応援したいという方は、ぜひCAMPFIREもチェックしてみては。
取材・文=まにょ
日時:2016年8月28日(日)〜9月11日(日)
時間:11:00〜21:00
会場:スピンズ原宿店店内(東京都渋谷区神宮前6-5-3 イベリアビルB1F)
入場料:無料
公式サイト:https://m.facebook.com/ShouUTanaka/