「第2回アジア女性舞台芸術会議」森下スタジオで開催

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第2回アジア女性舞台芸術会議の様子

第2回アジア女性舞台芸術会議の様子

「アジア」を、「女」をキーワードに、舞台芸術によって社会に発信していく

 アジア女性舞台芸術会議実行委員会、通称「亜女会」。1980年代に如月小春、岸田理生の二人の劇作家が発足させた「アジア女性演劇会議」に想を得て、2012年に指輪ホテルの羊屋白玉、ニブロールの矢内原美邦の声がけで発足した。多種多様な民族・社会・言語・文化・歴史を持つ「アジア」を、「女」をキーワードに、舞台芸術によって社会に発信することを目指している。

 当初からマレーシア、シンガポール、ベトナムでの現地調査とアーティストとの交流を開始。2015年夏には「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」にて第1回会議を行った。そこではマレーシアの劇作家リャオ・プェイティン作『ファミリー』を題材にした滞在型ワークショップ、リーディング公演、美術作家ミンストレルと津南町を取材した『雪霜雲露霙霰雹(ゆきしもくもつゆみぞれあられひょう)』の発表、そして日本全国からワークショップに参加したメンバーとともに、滞在製作を経て、「アジア - 女性 - 舞台芸術」について語りあった。

 この年末、「第2回アジア女性舞台芸術会議」を開催する。

長谷川時雨研究会 特別プログラム

長谷川時雨 写真集『長谷川時雨―生誕一三〇年』(尾形明子・財団法人神奈川文学振興会編集、現代女性文化研究所発行)

長谷川時雨 写真集『長谷川時雨―生誕一三〇年』(尾形明子・財団法人神奈川文学振興会編集、現代女性文化研究所発行)

 この1年を通して月に一回のペースで戦前に活躍した作家で、近代最初の女性劇作家・長谷川時雨の研究会を開催してきた亜女会。時雨は「明治に一葉あり、昭和に時雨あり」(吉川英治)と評され、代表作に歌舞伎『さくら吹雪』『旧聞日本橋』『近代美人伝』などがある。昭和3年に文芸誌「女人藝術」を創刊し、女性作家たちに活躍の場を提供。廃刊後、新たにさまざまな女性がかかわる機関紙「輝ク」を創刊した。しかし終戦を待たずに亡くなった時雨の経歴、日本の女流文学に与えた影響や功績は今では語られることがほとんどなくなった。

 亜女会が時雨と出会ったのは、故・如月小春を通して。彼女が最後に取り組んでいた戯曲が、「輝ク」をタイトルに掲げた戯曲『カガヤク』だった。如月がなぜ時雨を題材にしたのか? 亜女会では研究会を通して、「輝ク」を読むことから始め、彼女の仕事と生きた時代を捉え直す作業を開始。今回は、1日目は時雨研究で知られ、「輝ク」の復刻を果たした日本近代文学研究者・尾形明子による特別講演を、2日目は通常の研究会を公開する“番外研究会”を開催する。

「時雨さんのもとからは、林芙美子、平塚雷鳥、森茉莉、円地文子、岡本かの子などいろいろな人が育っていきました。時雨さんは女性作家を応援することを始めた人なんですよ。「女人藝術」を出したころは、小林多喜二が殺されたり、ソビエトの影響で芸術家たちが左翼化していった。その流れで仲間も殺されたりしたために活動を終了しました。その後「輝ク」を発行し始めたのは二・二六事件もあったりしたきな臭い時代でした。そんな流れの中で逆に右翼化してしまい、海外慰問などもしていた。そのせいで戦後は有名になっていった人たちが彼女に関して口を噤んでしまったことで、本当に知られざる人になってしまったんです。小春さんは『カガヤク』の題名だけ書いて亡くなってしまったんですけど、そういう背景も含めて作品にしたかったんだと思う。小春さんのことも研究してみたいけれど、まずは時雨さん研究を引き継いで、広めてみたいんです。それにこのころの状況って今の時代にも遠い話ではありませんから」(羊屋)

「女人藝術」懇親会の様子 写真集『長谷川時雨―生誕一三〇年』(尾形明子・財団法人神奈川文学振興会編集、現代女性文化研究所発行)

「女人藝術」懇親会の様子 写真集『長谷川時雨―生誕一三〇年』(尾形明子・財団法人神奈川文学振興会編集、現代女性文化研究所発行)

ミーティング「女性と舞台批評」を語る会

 現代の日本の舞台芸術に対する批評や感想には、女性の視点が少ない、ひどい女性蔑視が批判されることも勇気ある女性への励ましもない、批評家も観客ももっと女性性・男性性について考えてほしいなどなどの問題を共有し、女性/男性をはじめとする性差やジェンダー、セクシュアリティをめぐるにぎやかな批評が日本で湧き上がるためには何が必要かを考える。

女性の視点が批評の場に欠けている気がしていました。また男性の批評が的外れだと思うことも時々ありました。それで、実際ほかの書き手の方々はどのように思っているのかまずは聞いてみたいと思ったのが開催のきっかけです」(前田愛実)

旅の途中で拾った声 ベトナム篇 Collecting Voices : Vietnam 2016

ベトナムでの風景

ベトナムでの風景

 2003年、羊屋白玉はマニラでのアジア女性演劇フェスティバルで作品を発表した。参加した女性演出家によるラウンドテーブルの冒頭、ベトナムの演出家が「ここでの内容が記録されるのなら、私は自分の考えを何も話せません」と発言。その時にベトナムには表現や発言の自由がないことを知った。以来、ベトナムや、ベトナムの芸術家に対する検閲、共産主義政治や普段の生活、そして女性たちのことがずっと気になっていたという。

 そして2016年9月、羊屋、おやつテーブルの前田愛実、映画監督の杉田協士は、12日間をかけて、南はホーチミン、メコンデルタのチャーヴィン、中部はフエ、ダナン、ホイアン、ミーソン、北はハノイとマイチャウとベトナムをめぐった。このプログラムでは、土地土地で出会った女性たちのインタビューと、映像と写真により取材旅行の報告を行う。旅の途中で拾い続けたベトナム女性たちの声でつづったパフォーマンスも披露。

発足以来シンガポールやマレーシア、タイと交流を続けています。私はベトナムに行ってきました。第1回会議を行った越後妻有は米どころでしたが、政府の方針で米を作れなかったり、若者が都会に流出したり。一方で農家にはお嫁の来手がないためにアジアの女性が嫁いでいて、町にはフィリピンパブがたくさんある。その越後妻有に嫁いできたアジアの女性のインタビューをしてささやかな作品にしてみたのがきっかけで、ベトナムに行き、インタビューをたくさんしてきました。「Collecting Voices」は声を集めるという意味ですが、これらをもとに作品の書き出しくらいは当日に発表したいと思っています。出演は、グェンティー・キム、日本名は結真理奈さん。ご両親はベトナム人で、ご本人は日本とベトナムを行き来している女性です。このプログラムでもベトナムの農村を調査している社会学者・岩井美佐紀さんがお話をしてくださいますし、懇親会ではベトナム料理も楽しんでください」(羊屋)

国際共同制作第1弾 日本×マレーシア『ファミリー』

 2015年の越後妻有での「第1回アジア女性舞台芸術会議」でリーディング公演を行ったマレーシアを代表する劇作家リャオ・プェイティンの代表作『ファミリー』を国際共同制作する。

 中国福建省に住む少女ヤン・タンネオは、父亡きあと、祖母、母、妹を養うために男の子のように働く。結婚してシンガポールに移住するが、人のいい夫が作った借金を返し、息子たちと娘を育てるために働き続ける。夫と息子たちが若くして死んだあと、タンネオは、息子の嫁たちや末娘とともに、菓子売りの屋台から出発して、孫、ひ孫の代には一大企業帝国を築き上げる。老いて死に瀕したタンネオの胸に去来する思いとは?

 『ファミリー』は、シンガポールの演出家オン・ケンセンの委嘱で1996年に生まれ、マレーシア、シンガポールでは今も再演を繰り返す名作。女性がキャリアを築き、家族をつくるにはどのような価値観が必要であるのか。多文化や多様性を尊重して生きるとは、どういうことなのか。現在の日本人にとっても、リアルな問いを投げかける。

 また、12月2日(金)18:30~21:30には、お茶の水女子大学で関連企画「女性の「家族」帝国?―リャオ・プェイティン作『ファミリー』を読む会」も行われる。

公開会議「アジア」における女たちの動き・営み・パフォーマンス

 マレーシアの劇作家リャオ・プェイティンとの共同制作『ファミリー』のアフタートークと、シンガポール、マレーシア、ベトナムにおける調査報告をもとに、「アジア」における女たちの動き・営み・パフォーマンス」という視点から、東南アジア3国と日本における女性たちの生の諸相、諸問題とその芸術表象について語り合う。

イベント情報
第2回アジア女性舞台芸術会議
■日程:12月2日(金)~18日(日)
■会場:森下スタジオ

 
長谷川時雨研究会 特別プログラム
■日時:2016年12月3日(土)15:00・12月4日(日)15:00
■会場:Sスタジオ
■内容:3日/講演会「長谷川時雨とその時代」、4日/長谷川時雨研究会 番外編
■講師:尾形明子
■参加費:各回500円
■申込みフォーム:http://awpacollective.org/shigureworkshop/

 
ミーティング「女性と舞台批評」を語る会
■日時:2016年12月9日(金)19:00~21:00
■会場:Sスタジオ
■参加費:無料
■申込みフォーム:http://awpacollective.org/critic/
旅の途中で拾った声 ベトナム篇 Collecting Voices : Vietnam 2016
■日時:2016年12月10日(土)14:00~17:00
■会場:Sスタジオ
■ゲスト:岩井美佐紀(神田外語大学)、Nguyen Thien Kim(グエンティー・キム)
■参加費:一般1,000円 ※懇親会あり
■申込みフォーム: http://awpacollective.org/voicesvietnam2016/

 
国際共同制作第1弾 日本×マレーシア『ファミリー』
■日時:12月16日(金)19:00、17日(土)13:00/19:00、18日(日)13:00
■会場:Cスタジオ
■料金:一般3,500円、25歳以下(当日年齢確認証提示)2,000円 ※当日は各500円増 ※未就学児入場不可。
■原作:リャオ・プェイティン(マレーシア)
■翻訳:常田景子
■脚色・演出:高井浩子(東京タンバリン)
■振付:矢内原美邦
■出演:西山水木、川田希、清水さと、永井秀樹(青年団)、森啓一朗(東京タンバリン)
■申込みフォーム:  http://awpacollective.org/family/
※17日(土)夜終演後にマレーシア、シンガポール訪問の報告会あり

 
公開会議「アジア」における女たちの動き・営み・パフォーマンス
■日時:12月18日(日)1530~18:00 
■会場:Sスタジオ
■モデレーター:エグリントンみか
■ゲスト:リャオ・プェイティン(マレーシア)
■料金:一般500円(当日受付にて支払い) ※第2回会議のいずれかのプログラムにご参加された方は無料。
■報告:アジア女性舞台芸術会議実行委員会メンバー
■申込みフォーム: http://awpacollective.org/meeting2016/
■すべての問合せ:アジア女性舞台芸術会議実行委員会
Tel.090-9157-2012、メール info@awpacollective.org
アジア女性舞台藝術会議実行委員会公式サイト http://awpacollective.org/
 

 

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