『ローグ・ワン』が生んだ「スター・ウォーズはどの順番で観る?」議論の新たな選択肢

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ストームトルーパー 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』 (C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ストームトルーパー 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』 (C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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スター・ウォーズをどの順番で見るか?議論にまたひとつの選択肢が生まれた

ジン・アーソ (C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ジン・アーソ (C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

スター・ウォーズ・シリーズほど、どの順番で見るべきなのか議論される作品は珍しい。シリーズの連番と公開順が異なるのがその理由であろうが、これだけ世界中を熱狂させているシリーズなので、初めて観る人もその感動をどうすれば一番深く味わえるのか、気になるところだろう。

なにせ、「初めて見た感動」を味わえるのは人生で一度きりだ。この一度の体験がシリーズにハマれるかどうか左右すると言ってもいい。それだけにどの順番で見るのかは、とても議論しがいのあるテーマだし、その順番によっても本シリーズの味わい方が違ってくる。

周知の通り、スター・ウォーズの記念すべき公開1作目は、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』だ。これにエピソード5と6が続き、オリジナルトリロジーとして公開され、その後過去編となるエピソード1から3が公開された。この変則的な公開順によって、シリーズを公開順に見るか、エピソードの時系列順に見るかの議論が生まれることになった。

筆者は、公開順に見るべき派だ。やはりエピソード4〜6のオリジナルトリロジーこそがスター・ウォーズの原点であると思うのだ。これが本シリーズの中心であり、最も血湧き肉躍るストーリーでもあるだろう。すでに40年近く前に制作された作品なので、古臭さを感じさせる面もあるが、物語の興奮度はやはりピカイチだ。

さて、そんな中主要キャラクター以外の人物たちを描くスピンオフ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(以下『ローグ・ワン』)が登場した。本作は記念すべき公開1作目の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(以下エピソード4)の10分前までを描く作品だ。エピソード4で描かれた帝国軍の究極兵器“デス・スター”破壊作戦で言及される、デス・スターの設計図を奪取した面々の活躍を描いている。

エピソード4を輝かせる要素に溢れた『ローグ・ワン』

(C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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この『ローグ・ワン』の登場により、シリーズをどの順番から見るかの議論にまたひとつオプションが加わった。少し変化球かもしれないが、本シリーズのエピソードではないこのスピンオフ作品からスター・ウォーズを観始めるのも悪くないかもしれない。なぜなら『ローグ・ワン』には、オリジナルの1作目=エピソード4を最高に輝かせる要素に溢れているからだ。

エピソード4の物語のクライマックスはデス・スター破壊のための戦いだが、この作戦はデス・スターの設計図を元に立案されている。この設計図を決死の戦いで奪い、レイア姫に届ける様を描いたのが『ローグ・ワン』なのだ。つまり『ローグ・ワン』の彼らがいなければ、エピソード4での反乱同盟軍の華々しい活躍はあり得なかったのだ。

実際に筆者は『ローグ・ワン』を観た後、すぐにエピソード4を観直してみた。初めて見た時も興奮したのだが、そこに深い感動が加わった。特にラストのデス・スター攻略戦でルークがリアクター目掛けてミサイルを発射した瞬間、単なる反乱同盟軍の勝利というだけでなく、『ローグ・ワン』メンバーの命がけの努力が報われた文脈が加わった。彼らの決死の戦いはここで、ようやく報われたのだ。

また、『ローグ・ワン』はデス・スターという究極兵器の恐ろしさを存分に見せつけている。なぜこれを破壊せねばならないのかの説得力がエピソード4よりも遥かに高い。『ローグ・ワン』ではデス・スターの威力を、破壊される星にいる人間の視点から見せている。また反乱同盟軍側にフォースの使い手がいないこともあって、ダースベイダーの力はまさに圧倒的で、フォースの力の凄まじさも見て取ることができる。

特別でない戦士たちの決死の戦い

ドニー・イェン演じるチアルート・イムウェ 棒きれでストームトルーパーをなぎ倒していく (C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ドニー・イェン演じるチアルート・イムウェ 棒きれでストームトルーパーをなぎ倒していく (C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

『ローグ・ワン』にはジェダイの騎士はいない。出て来るのはなんら特別な人間ではない(ドニー・イェン演じるチアルートは唯一超人的であるが、彼とてフォースは使えない)が、それも本シリーズとは違った彩りを作品に与えている。彼らにできることは、通信を接続するため必死にケーブルを繋いだり、設計図を手に取るため断崖絶壁をかろうじて登ったりといったことでしかない。そんな彼らが自分たちにできることを必死にやり遂げ、設計図をレイア姫に届けたのだ。その彼らの頑張りがなくては、エピソード4で反乱同盟軍が勝利することはなかった。エピソード4以降、ルーク・スカイウォーカーというヒーローが生まれた裏には名も無きヒーローたちの多くの犠牲があったのだ。

スピンオフである本作から、シリーズを見始めるのはいささかトリッキーであるとは思う。だが原点であるエピソード4を最高に楽しむためには、この選択肢はありではないないか。

初めて観る感動は、一度きりだ。その初めての体験である原点・エピソード4を最高に輝いたものとして堪能するために、敢えて『ローグ・ワン』から観れば、ひと味違ったスター・ウォーズ体験ができるだろう。

文=杉本穂高


『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は公開中。
 

作品情報
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
 
(C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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監督:ギャレス・エドワーズ
製作:キャスリーン・ケネディ
出演:フェリシティ・ジョーンズ/ディエゴ・ルナ/ベン・メンデルソーン/ドニー・イェン/チアン・ウェン/フォレスト・ウィテカー/マッツ・ミケルセン/アラン・テュディック
原題:ROGUE ONE A STAR WARS STORY
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

公式サイト:http://starwars.disney.co.jp/movie/r1.html

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