SCREAM OUT FEST2017開催記念対談「ラウドな夜」TRIPLE VISION吉川氏、ライター荒金氏、SPICE編集長秤谷が近年のラウドミュージックを語る!

特集
音楽
2017.4.26

秤谷:無責任に言います。絶対無くして欲しくないんですよね。ラウドのフェスってなかなかないんでね。

荒金:特に若い人たちの心をとらえるような、この類のフェスってあまりないんですよね。

吉川:まあ、実際に集客面だったり、ビジネス的なことを考えるときついんだと思うんですけど。

秤谷:期待するのは酷なのかもしれないですけれど。

吉川:そこは期待もあるだろうなと思いつつ、若いバンドが目標にしてるっていう話を聞くとなかなか止められない。

秤谷:そうだと思いますよ。

荒金:希望の星ですよね。

秤谷:CrossfaithがHER NAME IN BLOODがFear, and Loathing in Las Vegasが出てたSCREAM OUTに出たいはあるでしょうね。

荒金:Crystal Lakeもそうでしょうね。

吉川:もちろん続けては行きたいけど、役割としてはどうなのかなって思ったりもします。最近でいうとぶっちゃけCDとか売れないじゃないですか。

秤谷:そうですね。

吉川:CDのプロモーションという意味ではしんどいと思うんで、なので今回この対談でも聞いてみたかった一つのことが「外から見たらどうなんだろう」ということ。自分たちは自分たちの思いでやってるけれど、外から見たときに、どういう風に見えてるのか、ここってやんないのっていう話とか、ここってどうなってるのっていう話はね。

秤谷:僕や、特に荒金さんみたいにシーン見てる人が外からね。

吉川:面白いなと思ったんですよね。むしろそれを参考に次頑張ろうって思ったんですよ。

秤谷:ということで荒金さんがTRIPLEVISIONも含めて、ラウドを仕掛けている人たちに思う事ってあるんですか。

荒金:やっぱり愛情がないとなかなかできないとおもうんですよ。パンクはハイスタが仕掛けたエアジャムがあったり、メロコアというものがちゃんとカルチャーとして根付いているんですよね。そういう意味でいうと、ラウドはカルチャーまでは根付いていない気がして。だからこういうSCREAM OUT FESTみたいなフェスは、すごく重要な位置を占めていると思います。こういうカルチャーが根付かせるためには10代、20代の若い人たちが興奮できるイベントがなきゃダメだと思うので。そういう子たちにかっこいいバンドを見せられる場所っていうのは、ほんと少ないと思うので、すごく貴重だと思いますね。

吉川:すごくジレンマがあるんですよね。国内バンドだけを出演させちゃえば、チケ代安くできるんで、キッズも来やすくなると思うし、ぶっちゃけ金銭面でもすごく楽ではある。ちょっと話がそれますが、例えばアメリカだったら、中高生くらいの子ども達が夏休みに、地元に回って来たWarped Tourとか行って、お父さんお母さんに車で会場まで送ってきてもらって、30ドルくらい握りしめて、買って、お気に入りのバンドのライブ見て、お小遣いでバンドTシャツ買ってバンドを応援するような文化がしっかりある。キッズたちがバンT着て「俺たちこのバンド好きなんだ」っていう言ってる姿をみると未来を感じるし、日本でもそういう状況が作れたらなと思いますよね。

秤谷:全然何も考えないでやっていいんだったら、Warped Tourの日本版みたいなフェスツアーちゃんとやりたいですよね。どっかスポンサーになってくれるんだったら、ラウドでそういうバカっぽいお祭ツアーもう一度ちゃんとやりたいなって思っちゃうんですけど。

吉川:何年か前にレッドブルさんが、九州仙台か何箇所かだけならやりましたね。トラックで。

荒金:MEANINGとか。

吉川:何年か前にMEANINGさんとレッドブルさんがトラックツアーやってましたよね。HER NAME IN BLOODを出させてもらったりしたんですけど、色々難しさも感じつつ。でもやっぱりこういうのは続けないとっていうのもあるんで、まずは少しづつでも頑張ってその一端を担いたいです。SiMのDEAD POP FESTiVALとか、その他いろんなバンドがそういうキッズがお小遣い握りしめてきてくれるような素敵なフェスを作り始めてくれていて、すごく期待してますし、僕らもそうしていくにはどうすればいいか考えてます。

秤谷:僕が一個思うのは、憂いている人がいないようにすればいいんじゃないですか。なんか、「ラウドちょっと落ち目だよね」って言うのみんなでやめません?「全然落ちてねえけど!むしろ今こそ熱いけど!聴いてないの?ださ!」見たいな人だらけだったら、状況変わるんじゃないかな。なんでかっていうと、落ちてきそうだから、乗らないっていう人が増えるわけじゃないですか。じゃあ、フェスにしたってライブにしたって、プロモーションを生業にしてる人だって、終わってねえよっていう人間がいっぱいいれば、終わらないんじゃないかと改めて思いました。アーティストも、レーベルも、ライブハウスも、メディアもみんなが「終わってねえよ」って。僕も悲観的になっているわけじゃないけど、ちょっとさみしくなって来るのかなってどこかで思っちゃうじゃないですか。それはよくないなって思います。

荒金:わかります。洋楽のCDが売れないから、やらないじゃダメなんですよ。

吉川:うわ、プレッシャーかけられてる(笑)。

一同:(笑)。

荒金:でもほんとそうなんですよね。送り手側の責任。

秤谷:それはある。

荒金:現場にいる人たちが熱量を持って薦めていかないと。

秤谷:意地はるって大事っすよね。

吉川:レーベルが言うと身もふたもないですけど、結局ラウドシーンをCD市場とと紐付けちゃうとパッケージとしてのCDがちょっと傾いてきてるんで、しんどいと思うんですよね。ストリーミングや配信に早く足場を切り替えて、そっちを軸に考えるというような時がき来ちゃっていると思う、だから僕らも、レーベルレーベルと言っていますが、あんまりCDにこだわりすぎないようにしてもいいんじゃないかなって気はしてますけどね。最近はほぼTシャツ屋ですからね(笑)。

秤谷:さっき、Spotifyの話をしてましたけれど、逆にSpotifyが来たらチャンスだと思うんですよね。それが例えば、日本のキッズ達が憧れているアーティストのプレイリストみたいなのが盛んになって、誰々ががいいと言っているからこれを聞いて見たみたいな、メディアや皆が求めてる「ルーツ論」みたいなことがわかりやすくなってくる。

荒金:SiMがレコメンドしてるからSkindred聞いて見たりとか。

秤谷:ライブとかやればそういうことになるじゃないですか。それがプレイリストでも起きる。それこそさっき、HEY-SMITHのインタビューして来たんですけど、猪狩君がパンテラ好きみたいな話になってて、じゃあ彼がパンテラを、プレイリストにいれてる人がいたら、「俗悪」聴いてるキッズたちが増えるかもしれない。

荒金:ヘイスミが好きなら、パンテラ聴いてみようという流れができるのはいいことですよね。

秤谷:そうなんです。

荒金:絶対に繋げなきゃいけないんですよ。

吉川:今は影響力のある人たちが、レコメンドする場所が少ないのかな?

秤谷:だと思いますね。

吉川:一時期、twitterとmixiとかスタートした時に、「自分の聴いてるのこれ」とか「ナウプレ」とか流して、今この人こんなの聴いてるんだみたいなのが、影響があった時期があったんと思うんで、プレイリストがあって広げていければ、CDというフォーマットのマーケット自体は小さくなっていくかもしれないですけれど、バンドという意味ではそこが広がっていきますから。

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