公演間近、 THE ROB CARLTON 新作『lab.』稽古場レポート

レポート
舞台
2017.6.7
THE ROB CARLTON 14F『lab.』出演者たち。(前列左より)満腹満、近藤貴嗣 (後列左より)ボブ・マーサム、正木悠太、伊勢村圭太、古藤望、村角ダイチ ※角田行平はこの日稽古欠席 [撮影]吉永美和子

THE ROB CARLTON 14F『lab.』出演者たち。(前列左より)満腹満、近藤貴嗣 (後列左より)ボブ・マーサム、正木悠太、伊勢村圭太、古藤望、村角ダイチ ※角田行平はこの日稽古欠席 [撮影]吉永美和子


天才とナントカは紙一重な人々が巻き起こすコメディ、その結末はいかに?

セレブな世界を舞台に、どうでもいい会話や行動が繰り広げられるワンシチュエーション・コメディで、今関西では大きな注目を浴びている京都の劇団・THE ROB CARLTON(以下ROB)。彼らの新作『lab.』(ラボ)は、医学研究所で働く天才たち=ジーニアスが巻き起こす騒動を描いた物語となるそうだ。作・演出の村角太洋a.k.a.ボブ・マーサムの話を交えながら、その稽古の様子をレポートする。

参考記事→注目の劇団「THE ROB CARLTON」に直撃!

前回公演『THE WILSON FAMILY』より。ビルの爆破解体を請け負う家族たちの、熱くておかしな物語を展開した。 Photos by Toru Imanishi

前回公演『THE WILSON FAMILY』より。ビルの爆破解体を請け負う家族たちの、熱くておかしな物語を展開した。 Photos by Toru Imanishi

貴族やエリートビジネスマンなどの、特権階級的な人々が登場するコメディが多いROB。今回研究所を舞台にしたのは「ヒラヒラしてる人を出したかったから」…って、どういうこと?

マントみたいにヒラヒラした、非日常な服を着た人たちのコメディをやりたいと思ったのが、最初の動機です。だったら白衣かなあと思った時に、まず病院が浮かんだんですが、病院が舞台の話ってよくあるんですよね。それで研究所の話に行き着いたんですが、最近のROBは現代が舞台の芝居が続いたので、19世紀末のドイツの研究所の話にしました。あの時代はドイツが医学研究の最先端だったというのと、ミヒャエルとかエミールとか、ドイツ語の名前で呼びあいたかったんで(笑)」(村角)

和気あいあいとした雰囲気の稽古場。ちなみに近藤(左から2番目)と伊勢村(右から2番目)はNSCの先輩後輩のため、近藤が伊勢村の演技に対してキツいツッコミを入れたりも。 [撮影]吉永美和子

和気あいあいとした雰囲気の稽古場。ちなみに近藤(左から2番目)と伊勢村(右から2番目)はNSCの先輩後輩のため、近藤が伊勢村の演技に対してキツいツッコミを入れたりも。 [撮影]吉永美和子

この日は台本ができている所まで、通し稽古が行われた。オープニングで研究所内のジーニアスが交わす会話から、今ここでは世界を変えかねないほど重大な研究が進められていること、でも結果がなかなか出てこないこと、そのために彼らは世間から「ほらボ」という「それってドイツ語じゃなくて日本語だろう!」というツッコミが入りそうな言葉で揶揄されていること…などの背景が語られていく。そんな彼らのスポンサー候補となる資産家が、もうじきこの研究所を訪れるという所から、ジーニアスのてんやわんやの口火が切って落とされる。

彼らは常人離れした天才たちの上、普段研究しかしていないので、余所の人に対してトンチンカンな対応しかできないんです。その資産家と彼らのズレから何が起こるのかということと、彼らの研究が一体どうなるのかというのが、今回の見どころです」(村角)

演出中の村角太洋a.k.a.ボブ・マーサム。稽古中でもネクタイを締めているのがさすが“紳士”の劇団だ。 [撮影]吉永美和子

演出中の村角太洋a.k.a.ボブ・マーサム。稽古中でもネクタイを締めているのがさすが“紳士”の劇団だ。 [撮影]吉永美和子

接待を請け負う予定だった助手や所長が、突発的な出来事によって次々にドロップアウトし、研究所を訪れた資産家を前にまごつくジーニアス。彼らなりの考えで何とかもてなそうとするも、予想通り事態は思わぬ方向へ。登場人物たちの価値観や常識の食い違いが笑いの引き金となるのがROBのコメディの特徴だが、今回は「お前らおかしいだろ!」というツッコミ役的な存在がいるというのが、実は村角にとって一つの挑戦になるという。

今までは、集団内の特殊な事情に割と全員が乗っかるという流れだったんですけど、今回は違和感を唱える外部の人が出てくるのが、ROBには珍しいことだと思います。しかもジーニアス側は全員ゲスト俳優で、ツッコミを入れるのは劇団員(村角ダイチ&満腹満)。つまりROBのメンバーの方が、外部の人に振り回されるという構図なんです」(村角)

今回は“ツッコミ役”だというTHE ROB CARLTON劇団員の村角ダイチ(左)。彼がゲストたちにどう翻弄されるのか? [撮影]吉永美和子

今回は“ツッコミ役”だというTHE ROB CARLTON劇団員の村角ダイチ(左)。彼がゲストたちにどう翻弄されるのか? [撮影]吉永美和子

ちなみに今回の客演でROB初参加となるのは、お笑いコンビ・ビーフケーキの近藤貴嗣とダンサーの正木悠太。近藤は声の抑揚の巧みさ、正木は尋常ならぬ目力で、どちらも強い印象と笑いを生み出していく。

近藤さんは芸人だけど、芝居にベクトルが向いてる人なんです。やはり芸人さんは笑いに強さがあると思うので、新たな風としてお呼びしました。正木君は、私が客演した男肉(du Soleil)で共演した時に、芝居の質感が珍しいなと。ダンサーだから動きが面白いのは当然ですが、立ってるだけでも若干ヤバい所があるんです」(村角)

登場人物はドイツ人の設定だが、正木のみ日本人の役。ここでは日本の技を活かしてあることを…? [撮影]吉永美和子

登場人物はドイツ人の設定だが、正木のみ日本人の役。ここでは日本の技を活かしてあることを…? [撮影]吉永美和子

支援の話がピンチとなり、ここから彼らが天才的な頭脳を駆使してどう巻き返すか…というところで、タイミング良く(?)この先の脚本が未完のため芝居はストップ。村角いわく、今後ブラッシュアップしていきたいのが「全体のテンポと、振り切れ具合のさじ加減」だという。

まだみんな台本を離せない段階なので、どうしても会話が停滞してしまっているのですが、離れたらテンポが出て来ると思います。かといって演技が振り切れすぎたら、ジーニアスがサイコパスに見えかねないんですよ(笑)。彼らのズレた部分がバランス良く笑えるようにできれば、面白い芝居になると思います

客人をもてなすべく、(そうは見えないけど)いろいろと試行錯誤しているジーニアス。果たして彼らの行き着く先は? [撮影]吉永美和子

客人をもてなすべく、(そうは見えないけど)いろいろと試行錯誤しているジーニアス。果たして彼らの行き着く先は? [撮影]吉永美和子

完成した舞台の予想図を「今までで一番、どうでもいいことの羅列が続くコメディになると思います」と語ってくれた村角。今回は出演者全員がほぼ同年代ということもあり、各自のベストな口調や立ち位置を真剣に、でも時に男子校のようなはしゃぎぶりで探っている姿が印象に残った。本番では、天才たちが自分たちの頭脳を生かせずにあたふたする姿を笑うと共に、この先でどのような逆転劇を見せるのか(あるいは見せないのか)を、心から楽しみにしたい。

THE ROB CARLTON 14F『lab.』公演チラシ

THE ROB CARLTON 14F『lab.』公演チラシ

公演情報

THE ROB CARLTON 14F『lab.』
 
■日時:2017年6月15日(木)~19日(月) 13:00~/18:00~ ※15日=19:30~、16日=14:00~/19:30~、19日=14:00~
■会場:HEP HALL
■料金:一般=前売3,500円、当日4,000円 学生=各1,500円引
※オリジナルチケットへの名前入れサービスあり。詳細は公式サイトでご確認を。
 
■作・演出:村角太洋
■出演:THE ROB CARLTON(村角ダイチ/満腹満/ボブ・マーサム)、伊勢村圭太、古藤望(マゴノテ)、近藤貴嗣(ビーフケーキ)、角田行平(男肉 du Soleil)、正木悠太

■公式サイト:http://www.rob-carlton.jp/nextstage.html

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