ザハーロワ&レーピンが贈る『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』今秋開催

レポート
クラシック
舞台
2017.6.13
(左から)ワディム・レーピン、スヴェトラーナ・ザハーロワ、デニス・ロヂキン

(左から)ワディム・レーピン、スヴェトラーナ・ザハーロワ、デニス・ロヂキン

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夢の共演”ふたたび!

世界的なヴァイオリニストであるワディム・レーピンが2014年に出身地のノヴォシビルスクで始めた『トランス=シベリア芸術祭』は芸術を“旅”と考え、シベリア横断という名を冠している。昨年初の日本公演を行い、レーピンと彼の妻で当代随一のプリマバレリーナであるスヴェトラーナ・ザハーロワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)が“夢の共演”を果たしたのは記憶に新しい。その感動冷めやらぬなか2017年9月~10月に来日し、東京・Bunkamuraオーチャードホール他で公演が行われる。6月5日(月)、ロシア大使館で行われた記者会見には、レーピン、ザハーロワ、デニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)らが出席した。

記者会見の様子

記者会見の様子

日本への熱い想い

ワディム・レーピン(ヴァイオリン)

ワディム・レーピン(ヴァイオリン)

レーピンは初来日から30年になる親日家で「このような芸術祭は、観客の皆さんだけでなく感動を提供する側のアーティストも重要な役割を果たします」と語る。ザハーロワも「小さな記念日があります」と話し、20年前の初来日時に帰国するとき、ふたたび日本に戻ってこられることを願ってコインを投げた思い出を振り返った。そして「歓迎し、待ってくれ、愛してくださる皆さんがいることに心が温かくなります」と日本のファンに対して感謝を口にする。

デニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)

デニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)

ロヂキンはこのほど“バレエ界のアカデミー賞”と称されるブノワ賞を受賞したばかり。「5年前に初めて日本に来ました。それも小さな記念日でしょうか(笑)」とレーピン、ザハーロワの後を受けてユーモアたっぷりに話し、世界中のスターが訪れる日本の観客の目が肥えていると指摘したうえで「日本は世界において最もロシア・バレエが好きな国だと思います」と所見を述べた。

美神ザハーロワからのがこめられた『アモーレ』

今回の大きな話題は日本初演となるザハーロワのプロデュース・主演による『アモーレ』だ。『アモーレ』とはイタリア語で“愛”という意味。「1幕の3つのバレエで構成されています。その3つの作品のあいだに見えない糸、アモーレと呼ばれる糸が存在します」とザハーロワが説明するように『フランチェスカ・ダ・リミニ』(振付:ユーリー・ポソホフ)、『レイン・ビフォア・イット・フォールズ』(振付:パトリック・ド・バナ)、『ストロークス・スルー・ザ・テイル』(振付:マルグリート・ドンロン)が上演される。

「百聞は一見に如かず、私たちが舞台から何を伝えようとしているのかは実際にご覧いただいたほうが早いと思います」とザハーロワは話すが、セルフプロデュース公演を行うに際し「自由にできます。大きな愛をこめてやっています」とほほえむ。美神が世界的に注目される3人の振付家と組み、チャイコフスキーやモーツァルトの名曲とともに紡ぐ“愛”の物語に期待したい。

スヴェトラーナ・ザハーロワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)

スヴェトラーナ・ザハーロワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)

ザハーロワ&レーピンの特別なつながりを感じられる『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers

レーピンが演奏しザハーロワが踊って共演するのが昨年に続いて上演される『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』。「私たちふたりが一緒に舞台にいるときに特別なつながり・感情がある気がします」そうザハーロワが明かすように両者だからこそ生まれる化学反応を味わえるひとときだ。

ドラマティックな『瀕死の白鳥』や超絶技巧の応酬が爽快でコミカルさもある『レ・リュタン』など珠玉の作品群をつないだ舞台だが、「常に更新しています。毎回初めての作品のように見ていただくことが可能です」とザハーロワが強調するように、昨年に比べても上演・演奏予定作品に一部変化がみられ、新鮮さを保つように工夫していることがうかがわれる。

「ロシアン・シーズン」の目玉公演!

トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』は、日本とロシアにおける国際文化プロジェクト「ロシアン・シーズン」の一環として行われるもので、その記者会見も同日行われた。ロシアのオリガ・ゴロジェツ副首相も登壇し、日本とロシアの文化交流の意義を語っている。

レーピンも『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』の記者会見時に「ユニークで興味深く注目に値する企画」と評し「ロシアン・シーズン」に参加できる喜びを話したが、 ロシア芸術界が誇る至宝といえるザハーロワ&レーピンによる『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』は、そのなかでも目玉であり、大きな話題となるのは間違いない。

(写真中央)オリガ・ゴロジェツ副首相

(写真中央)オリガ・ゴロジェツ副首相

​取材・文=高橋森彦 撮影=髙村直希

公演情報
トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017

東京公演
【日時】
9月26日(火)19:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ『アモーレ』)
9月27日(水)19:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ『アモーレ』)
9月29日(金)19:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ&ワディム・レーピン『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』)
【会場】
Bunkamuraオーチャードホール

Bunkamura『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』公式ページ
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/17_trans_siberian.html

 
 

前橋公演
【日時】
10月1日(日)18:00(スヴェトラーナ・ザハーロワ&ワディム・レーピン『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』)
【会場】
昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)大ホール


昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』公式ページ
http://www.maebashi-cc.or.jp/maebashishibun/ticket/2510.html
 
 
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