手ヅクリ家 ChibiRu(チビル)|こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第19回】
手ヅクリ家 ChibiRu(チビル)
ちょっと不思議な縁でパリにやってきて、フランス人に惹かれたことからパリに住むようになったアーティストのChibiRuさん。彼女のつくるものは人形から服からウェブサイトまで、あらゆるものに渡ります。とにもかくにも自分の手で作ってしまうその行動力が、彼女自身の人生も創造的でオリジナルにしているようです。
ChibiRuさんの作品
――パリに来られたキッカケを教えてください。
実はもともと、パリには全く興味がなく学生の頃に予定されていたパリでの研修旅行も欠席したほどでした。ところがその後、パリ旅行をすることになった際にフランス人の気質に心をわし掴みにされ、いつか必ずパリに住みたいと決心してフランス語を勉強するようになりました。
そして、日本でフランス人との交流ができるコミュニティーをネット上に作ることも始めました。ここで知り合った友人に紹介されたのが今のフランス人の夫です。彼とは4年間の遠距離恋愛の末、2008年に結婚、そして渡仏となりました。
ChibiRuさんの作品
――どのような制作活動をされているのですか?
昔から、欲しいものが見つからなかったり自分らしいものがなければ作っちゃおう、というたちで、何でも手作りしてしまうんです。木工や粘土細工をしたり、革細工をしたり、紙を漉いたり、布を織ったり、レースを編んだり、写真を撮ったり、作品になる形は多岐に渡ります。そして WEB サイトの制作も自分でやってしまうし、もちろん絵も描きます。なかでも得意なのは、テディベアやぬいぐるみ、あみぐるみ、子ども服の制作です。
ChibiRuさんの作品
作品を商品として売る用になったのは、娘の出産準備中に作ったクマのぬいぐるみを、当時代官山にあったテディベア専門店「Cuddly Brown」の関係者に気に入ってもらえて、作りはじめたのがはじまりです。洋服を作ったときの端布やコレクションしていたデッドストックの布、古着などを使って、型紙を使わずアドリブで制作していました。
ChibiRuさんの作品
ChibiRuさんの作品
――日本とフランス、両方の国で活動される上で、何か違いを感じられますか?
パリは「住みにくく、生きやすい」街だといつも思います。自分に素直に生きていることが、ごく当たり前のことなのです。自分が「アーティストである」と誇りを持っていれば、認めてもらえる場所だと感じます。けれども、社会活動となると話は別で、かなりシビアです。
特にフランス人はかなり現実的で質素、お財布のヒモも堅いので、いくら私の作品について「どれだけ時間を費やした」「どれだけいい素材を使っている」と説明しても、正直に「高いわね!」と感想をいって去って行かれることも多々あります。
ChibiRuさんのアトリエ
――今後の活動予定を教えてください。
現在メインの制作活動となっているのが「じみぐるみプロジェクト」です。この作品の特徴は、従来のあみぐるみにはないテクニックを駆使しながら、それぞれの動物の特徴をつかみ擬人化したキャラクターを展開してゆきます。
今後ひきつづき「じみぐるみ」で大和撫子のような、奥ゆかしく慎ましい美を表現し、日本とフランスに広めていきたいと思っています。また、じみぐるみの本が9月初旬に日本で販売されるのですが、この本のフランス語版を出版をしたいというのが目下の目標です(※)。
※:『—フランスから届いたかぎ針編みの動物たち— チビルのパリ・シックなあみぐるみ』(著者:ChibiRu 朝日新聞出版 96ページ 1,200円(税抜))その他、出版に合わせて日本でイベントが開催される予定です。詳細は以下HPにて。
著書「チビルのあみぐるみ」学研プラス刊、ドリームズ・カム・トゥルー「わすれものばんちょう」CDジャケット、ミュージッククリップ制作、著書「わすれもの—わすれものばんちょうチェックブック」ディーシーティーアンドカンパニー。2008 年 12 月パリに移住。人形制作のほか、イラスト、写真、WEB 制作、 講師などして暮らしている。
https://twitter.com/ChibiRu1993
https://instagram.com/chibiru1993/