来日直前! “現代最高のソプラノ”アンナ・ネトレプコに突撃インタビュー「とても楽しみです!」

インタビュー
クラシック
舞台
2017.9.20
アンナ・ネトレプコ (C)Vladimir Shirokov

アンナ・ネトレプコ (C)Vladimir Shirokov

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9月28日(木)、10月3日(火)、10月12日(木)の3日間に開催される『アンナ・ネトレプコ スペシャル・コンサートin JAPAN 2017』。昨年の開催と同じく、夫君のテノール、ユシフ・エイヴァゾフとの共演も話題になっている本公演だが、“現代最高のソプラノ”と呼び声高いネトレプコに来日前インタビューを敢行した。

――日本へ再び来るのは楽しみですか?

もちろん、とても楽しみです! 昨年も日本で素敵な時間を過ごしました。聴衆は私たちをとても暖かく迎えてくれ、街並みは綺麗ですし、何よりも食べ物がアメイジング!

――今回のアジアツアーはどのようなテーマでプログラム構成をされたのでしょう?

ユシフとは世界各国でデュエットしてきました。今回は私たちが大好きなイタリア・オペラの名曲と、2人の最新アルバム『ロマンツァ』に収録された曲とを新たに組み合わせて皆様にお届けしたいと思います。

――初めて日本に来たのは2004年、小澤征爾音楽塾での『ラ・ボエーム』ミミ役でしたし、その頃はほかにモーツァルトの諸役を歌っていましたね。あれから10数年、ロッシーニからドニゼッティやヴェルディの軽めの役を経て、今やヴェルディやプッチーニのドラマティックなレパートリーを歌う豊麗な声です。これは自身、周到にレパートリーを選び、声を育んでいったのでしょうか?

どちらかというと、レパートリーが私を選んだのかもしれません。私は軽めの役から徐々に卒業し、声が豊かになったし、声量も大きくなったので他の役も歌えるのではないかと感じるようになりました。その過程を経てドラマティックな役が合うようになったのではないかしら。

――そんな歌手としての努力や苦労、そして達成した喜びはかけがえのないものでしょうね。

歌手としての成功は常に最後に歌った公演で評価されます。毎晩、ベストを尽くさなくてはなりません。それはとても難しく苦労も多いけれど、音楽に身を委ね、舞台上の同僚たちと分かち合えることは最大の喜びをもたらしてくれます。

――レパートリーの話を続けますね。昨年の来日公演から今日までの間に、ついにワーグナー『ローエングリン』でエルザ役を歌われました。しかもティーレマン指揮ドレスデン・シュターツカペレというこれ以上ない環境で。これはDVDにもなりましたし、日本のファンにも大変話題になりましたが、歌ってみてどうでしたか? ぜひ感想を。

オペラの中でもワーグナーは歌い手にとって一番重いレパートリーなので、不安はありました。体力だけではなく精神的にも大きな挑戦です。ストーリーは複雑であり、象徴的な歌詞を理解し、それを暗譜するのも難しいです。でも指揮者ティーレマンとローエングリン役を歌った親友のピョートル・ベチャワが大きな支えとなりました。マエストロは私たちが得意とするベルカントのようにアプローチするよう提案し、それが大役を成し遂げる突破口になったとも思います。

――これからもワーグナーの他の役を歌いますか? 仰るようにイタリアやロシアのオペラとは全然違う世界ですよね。もちろん言葉も発声も。

今のところ予定に入っていませんが、スケジュールなんてすぐに変わります。私はワーグナーが大好きなので、また新たな役に挑戦する機会を待ち望んでいます。

――ネトレプコさんは若い頃、歌手だったら誰に憧れ、目指していましたか?

数多くの素晴らしい歌手の歌声を聞き、多くを学んできました。頭にパッと思い浮かんだのはレナータ・テバルディです。本当に素晴らしい歌手です。

――オペラの役に入りこみ、それを理解し、自分のものにして声で表現する……そのプロセスの中、どういうところを重点に勉強し、トレーニングするのでしょう? 特に若い歌手や学生たちのためにぜひ。

役作りを始めるときは先ずその役について勉強します。原作を読むのはもちろん、時代背景を調べたり、色々と研究します。次に音楽がその役について何を物語るか問いかけます。そしてもちろん、私自身の経験もその役に重なります…それが一番役に入り込みやすい方法かもしれません。若い方には何事にも一生懸命取り組み、音楽に敬意を表し、その“ジャーニー”を楽しむようにとアドバイスしたいですね!

――オペラで一番好きな役は?

一番好きな役を選ぶことはできません! どうしても選ばなくてはならないのであれば、それはその時に歌っている役ですね。

――ご主人のエイヴァゾフさんについても聞かなくては!

私たちは一緒に歌うのが大好きです。彼はとても素晴らしい“楽器”を持ち合わせているし、私たちの声にはお互いの良さを引き出す力があります。その自然と惹かれる力が私たちの出会いであり、その現象は特に愛のデュエットに現れます!

――オフの時はどんなことを? インスタグラムなどを見ていると、色んな所で色んなことを楽しんでいるように見受けられます。

この人生が大好き! どんなに忙しくても全ての瞬間を楽しむことを大切にしています。歌っていないときは家族や友人たちと過ごし、滞在している街を散策し、家で料理したり、ただただ日の光に当たるとか。その私たちの冒険をインスタに記録しているんです。

ユシフ・エイヴァゾフ (テノール)、アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)  (C)Vladimir Shirokov

ユシフ・エイヴァゾフ (テノール)、アンナ・ネトレプコ(ソプラノ) (C)Vladimir Shirokov

公演情報
アンナ・ネトレプコ スペシャル・コンサート in JAPAN 2017

■9月28日(木)
東京オペラシティ コンサートホール(東京都)
■10月3日(火)
東京オペラシティ コンサートホール (東京都)
■10月12日(木)
ザ・シンフォニーホール (大阪府)

<プログラム> 
ヴェルディ:オペラ「ナブッコ」序曲 
ヴェルディ:オペラ「マクベス」から 勝利の日に~来たれ、急いで (ネトレプコ) 
プッチーニ:オペラ「ラ・ボエーム」から 冷たい手を (エイヴァゾフ) 
プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」から 間奏曲 
ヴェルディ:オペラ「ドン・カルロ」から 二重唱「われらの胸に友情を」(エイヴァゾフ/アジゾフ) 
ヴェルディ:オペラ「アイーダ」から 勝ちて帰れ (ネトレプコ) 
ヴェルディ:オペラ「オテロ」から 無慈悲な神の命ずるままに (アジゾフ) 
ヴェルディ:オペラ「仮面舞踏会」から 第2幕への序奏~私は君の傍らに(ネトレプコ/エイヴァゾフ) 
*** 
プッチーニ:オペラ「トゥーランドット」から 北京の人々よ~この宮殿の中で(ネトレプコ/エイヴァゾフ/アジゾフ) 
マスカーニ:オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」から 間奏曲 
ジョルダーノ:オペラ「アンドレア・シェニエ」から ある日、青空を眺めて (エイヴァゾフ) 
ドヴォルザーク:オペラ「ルサルカ」から 月に寄せる歌 (ネトレプコ) 
レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」から 唇は語らずとも (ネトレプコ/エイヴァゾフ) 
ヴェルディ:オペラ「ルイザ・ミラー」から 穏やかな夜には (エイヴァゾフ) 
ヴェルディ:オペラ「椿姫」から 前奏曲 
ヴェルディ:オペラ「イル・トロヴァトーレ」から 静かな夜に・・・嫉妬と愛と屈辱の炎が(ネトレプコ/エイヴァゾフ/アジゾフ)

 

 

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