ミュージカル「ラ・マンチャの男」 松本幸四郎、森繁超えに驚き「もう笑うより仕方がない」
「ラ・マンチャの男」
ミュージカル「ラ・マンチャの男」が帝劇に帰ってきた!
スペインの国民的小説「ドン・キホーテ」を原作としたミュージカル「ラ・マンチャの男」が10月4日(日)から3年ぶりに帝国劇場で上演される。1969年に日本で初演された本作は、翌70年にはブロードウェイからの招待を受けて現地の役者たちとともに全編英語で上演、今回の帝劇初日で1236回目の上演となる。
初日の幕があがる数時間前、同劇場にて囲み会見が行われ、初演から今日まで主人公のセルバンテス/ドン・キホーテ役を務めてきた松本幸四郎、アルドンザ役初挑戦の霧矢大夢、サンチョ役の駒田一が姿を現した。
本作の上演が始まったのが46年前、と話を振られた幸四郎は、「帝劇が来年で50年。帝劇とほぼ同じ年数を歩んできたんだなあ。その年月で何回最高の舞台ができたかな、と、そんなことを考えながらこの日を迎えました」と感無量の表情。ところが、帝劇ミュージカルでの単独座長として最高齢記録となる故・森繁久彌の72歳を超えたと知らされると「ああ、そうですか…ええっ!?」と素で驚き、「もう笑うより仕方がないですね」とコメント。「森繁さんには『あんたと友達でよかったよ。あんた、本当の役者だよ』と言っていただきました」と当時を懐かしそうに振り返っていた。
また、初演のころについて質問が及ぶと、「26歳でしたね。初演のころは(興行が)厳しくて。当時のミュージカルは綺麗で歌って踊って…っていう作品が多い中、この作品はそうではなくて。でも、菊田一夫先生が『そのまま続けてくれよ。日本にミュージカルが根付くまで続けてくれよ』とおっしゃって。まるで「見果てぬ夢」というテーマのようでした。そんな亡き菊田先生の顔とか、亡き父・松本白鸚の顔や母親の顔が浮かびますね」と回想していた。
一方、本作初出演となる霧矢は、「毎日が緊張との闘い。自分らしく闘いたい」と意気込むも、「今こうして幸四郎さんと話していたり、お芝居で対峙していると、ふと、松本幸四郎さんとお芝居している“夢”を見ているような気持ちになる」と本音が。すると「(その夢は)いい意味で?」と幸四郎がちゃめっ気たっぷりにツッコミ。「いい意味です!」と慌てて返す霧矢だった。
「ラ・マンチャの男」
そして、20年サンチョ役を務めてきた駒田は、役そのままに幸四郎を「旦那」と呼びつつ、「昔は言えなかったことが年々言えるようになったり、できるようになってきた。以前は旦那に触ることすらできなかったが、今はこう触ることもできて!」と幸四郎の肩にラフに手を置くと、幸四郎から「エンジニア!エンジニア!」と、先日キャスト発表になったばかりの「ミス・サイゴン」をネタにされ、「やめてくださいよー!」と照れていた。
「ラ・マンチャの男」
「役者というのは、苦しみを勇気に、悲しみを希望に変えるのがお仕事。それができなくなったときが役者を引退するときだと思う」「芝居は生き物ですから、役者が一生懸命頑張ってもそれですばらしいものができる訳ではない。役者、お客様も含め、そのときの時間、空間すべてが作用してくる。だから難しいんです」会見の中で、自分自身に、そしてすべての演劇人へメッセージを送るかのように語る幸四郎。
そんな幸四郎が「俳優、女優だからやるのではなく、人間だからこそどうしてもお客様にお見せしたいお芝居」と語る「ラ・マンチャの男」。ぜひその意味を帝国劇場で感じてほしい。
「ラ・マンチャの男」
日時:2015年10月4日(日)~27日(火)
会場:帝国劇場
脚本:デール・ワッサーマン
出演:松本幸四郎、霧矢大夢、駒田一、ラフルアー宮澤エマ、石鍋多加史、荒井洸子、祖父江進、宮川浩、上條恒彦 ほか
公式サイト:http://www.tohostage.com/lamancha/