麿赤兒が会見、 新国立劇場で大駱駝艦・天賦典式『罪と罰』を上演

レポート
舞台
2018.1.26
大駱駝艦主宰 麿赤兒

大駱駝艦主宰 麿赤兒

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2018年3月17日(土)、18日(日)、新国立劇場2017/2018シーズン ダンス公演 新国立劇場開場20周年記念「舞踏の今 その2」として、大駱駝艦・天賦典式による新作『罪と罰』が上演される。それに先立ち1月24日(水)午後、大駱駝艦主宰で振鋳・演出・美術を手がける麿赤兒と大原永子新国立劇場舞踊芸術監督が出席し会見が行われた。

最初に大原監督が話した。英国を中心に現役で踊っていた頃、海外で友人等から聞いた舞踏の評判を紹介しながら「新国立劇場開場20周年の公演において素晴らしい舞踏の公演を上演できることを光栄に思っております。新制作で麿先生のイマジネーションや人生哲学が密に入っていて興味ある作品だと思っております」と期待を述べた。

麿は開口一番「縁あってといいますか、長い闘いと革命の末、国立劇場という牙城を乗っ取ったぞ!というくらいの気分でいい作品を創ろうと思っています」と気勢を上げる。続いて「師匠の土方巽に国立劇場でやるぞ!と言ったら、どんな顔をするかと思いますけれど、時代の流れ、人の流れが変わっていくんだなと思っています」とアングラ小劇場演劇の代表格である唐十郎の劇団「状況劇場」の看板役者を経て舞踏のオリジンの流れを汲みながら独自の世界を築き上げてきた来し方を思ったのか遠い目に。

昨年(2017年)創立45周年を迎えた大駱駝艦の様式である天賦典式とは「この世に生まれ入ったことこそ大いなる才能とす」という意味(大駱駝艦Web Siteより)。忘れ去られた「身振り・手振り」を採集し国内外で活発に公演している。「舞踏も含めて、もうちょっと大きなパースペクティヴでやってみようと。ダンスの範疇なのか、演劇の範疇なのか、どちらかといえば舞踏の範疇になるであろうということで舞踏には救われているんですけれどね」と由来を説く。

公演名からは大原監督が「ドストエフスキーかな?」と思ったと少し触れたように19世紀ロシア文学の巨匠ドストエフスキー(1821-1881年)の同題長編小説を想起する。青春時代にドストエフスキーに影響を受けているそうで、『罪と罰』のストーリーが絡むかとの問いに「その辺もあると思いますよ。僕がラスコリーニコフ(主人公で殺人を犯した青年)をやるとして、100年後に一体どういう贖罪をしてこんな長生きしているのだろう、といったカラクリみたいなものも含めてね」と関係を示唆し「妄想が膨らんで」いるという。

出演は麿を含め男性12名、女性8名の計20名。新機軸はクラシック音楽だけを用いること。ドストエフスキーの生きた時代と重なるムソルグスキーの「禿山の一夜」等を聴き漁っているそうで、そういった楽曲の「いいところだけをコラージュして使う」。そして「うちの舞踏、天賦典式は明るくなりすぎてね。真っ黒けに暗くしてやろうという意地悪い気持ちでいましてね。灰色のなかに囚人たちがゾロゾロゾロゾロ歩いているような陰々滅々たる舞台を創ってやろうかなと思いますが、どうも外れますね。耐えられなくなっちゃって(笑)。この辺で遊んじゃおうと」と話すだけに、どのようなステージになるのか興味が尽きない。

初登場となる新国立劇場中劇場の舞台空間をどう使うか、舞台美術をどう考えているのかとの問いに「盆(回り舞台)があるので、精いっぱい盆を使わしてもらって延々とグルグル回して、皆の目を回してやろうと(笑)。舞台転換に使われていますが装置として活かして使いたい」と意欲まんまんで、新国立劇場ならではの舞台が生まれそうな予感がする。

大駱駝艦の長きにわたる歴史において創作上の変化があったかという質問に対し「いい音楽があって、体を置いておけば何とかなる。変な技術を持ってくると密度が取れてしまうという思いがありまして。基本的な姿勢は変わりません」ときっぱり答えた。いっぽうでカンパニーを続ける理由を「1人なのは寂しいってだけ。疑似家族みたいなもの」と明かす。近年、東京・吉祥寺のスタジオ「壺中天」で公演を行い艦員に創作を奨励する。「創っていく過程も僕との会話も面白いと思う。若いヤツが悩んでいるのを見ているのは楽しいですね。独立した連中もいっぱいいますし、ヨーロッパとかで活躍している。彼らとまた一杯飲むのは至福の時間です」。最後にそう目を細めて語る御大こそパワフルで感性が若々しいと感じさせた。

大駱駝艦主宰 麿赤兒と新国立劇場舞踊芸術監督 大原永子

大駱駝艦主宰 麿赤兒と新国立劇場舞踊芸術監督 大原永子

取材・文・撮影:高橋森彦

公演情報
大駱駝艦・天賦典式『罪と罰』

■日時:2018年3月17日(土)14:00、18日(日)14:00
会場:新国立劇場中劇場
振鋳・演出・美術:麿 赤兒
鋳態(出演):
麿 赤兒
村松卓矢 田村一行 松田篤史 塩谷智司 湯山大一郎 若羽幸平 小田直哉 阿目虎南
金 能弘 坂詰健太 荒井啓汰
我妻恵美子 高桑晶子 鉾久奈緒美 藤本梓 梁 鐘譽 伊藤おらん 齋門由奈 谷口舞
■公式サイト:http://www.nntt.jac.go.jp/dance/performance/33_009656.html

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