NIGHTMARE咲人 劇団四季『サウンド・オブ・ミュージック』を観る

インタビュー
2015.10.14
NIGHTMARE/咲人

NIGHTMARE/咲人

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NIGHTMAREのギタリスト/ソングライターであり、また、旅行記を執筆するなど感性豊かな表現者として知られる咲人(さきと)が、劇団四季のミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』を初鑑賞。第二次大戦中にナチス占領下にあるオーストリアで、歌うことで人々を励まし続けたトラップファミリー合唱団を描いた本作は1959年に初演され、1965年に公開された映画でも大ヒット。「ドレミの歌」、「エーデルワイス」など誰もが知っている曲が次々と歌われるミュージカルとして、国や世代を超え人々に愛され続ける不朽の名作だ。今作がミュージカル初体験で、「このストーリーも映画も知らなかった」という咲人が『サウンド・オブ・ミュージック』の超音楽的鑑賞術を語る。


――いま観終わったばかりですけど『サウンド・オブ・ミュージック』、いかがでしたか?

「素晴らしかったですね。凄かった。演劇は何度か観たことがあるんですが、本格的なミュージカルを観るのは今回が初めてで。しかも劇団四季といえば大メジャーじゃないですか。格が違うなと思いました。前に観たのがアングラ演劇だったので、余計に。メジャーリーグと草野球みたいな感じで、どっちにも良さはあるんだけど、メジャーならではの凄さに圧倒されましたね」

――どんなところに一番凄さを感じました?

「修道院のシスターたちが大勢で歌うときの声の音圧! たぶんこれ、映画から入ってたらここまで興味は湧かなかったかも。最初に舞台で観たからこそ、ここまで引き込まれた気がする。昔の映画って、どんなに名作といわれるものでも現代のコンテンツに慣れた身としては、なかなか観るのは辛い部分もあるんですよ。このミュージカルは最初から修道院のシスターたちの歌に圧倒され、引き込まれていったから。そこは、映画を先に観るよりよかったのかもしれない」

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

――それぐらい咲人さんは、今作の幕開けから心を鷲掴みにされていた、と。

「そうそう。最初にシスターたちが歌うシーンがあるじゃないですか? あの歌を間近で聴いたとき“あ! ちゃんと一人ひとり歌ってるんだ”とまず思って。しかも、それぞれパート分けしてあって、この人は主旋律、この人は低いパートを歌ってるんだなというのが分かるんですよ。そこで“おぉー!”と思って。そんなところから始まったから、物語のなかで歌が聴こえてくるたびに、ずっと鳥肌ものでしたよ」

――咲人さんは今作がミュージカル初体験ということですが。ミュージカルというものに対して、これまでどのようなイメージを抱いてましたか?

「ディズニー映画みたいなイメージ。セリフが歌になっている、みたいな。今回、観るまではそう思ってましたけど、この作品は冒頭から歌に圧倒されてすんなり入り込めました。言葉だけだと伝えられない感情の部分。それを歌の歌詞、曲調、曲のバックで使ってる楽器の音で表現するから、より感情を伝えやすくなる。それが、ミュージカルという表現の素晴らしさなんだなというのが分かりました」

――なるほど。物語には没頭できました?

「没頭しつつも、同じステージに立つ人間としては、その後ろで何が行なわれているのかが気になっちゃうんですよ。演者がいて、歌いだしたとき。このオケの音を出すタイミング、そのきっかけはどこにあるんだろうとか。暗転してセットチェンジしてるときとか、めっちゃ観察してたもんね(笑)、俺。“あー、いまあのソファーが上手にはけた。あのソファーに紐ついてたかな?”とか」

――そんな細かいところまで(笑)。

「しかも、それがほぼ無音で滞りなく行なわれてるのを見て“プロの現場だな”と思ってました。あと、演者の視線。ほとんど下を向かないんですよね。トラップ家の子供たちが階段を上がっていくシーンがあったでしょ? あのとき全然足下見ないんですよ。あれ見て“子供たちもプロだな”と思った。すごい稽古を積んでるんだろうなって。そういうところまですべて“生”でやってるからこそ、分かるんですよね。そういう生のよさ。元々音楽っていうものは、こうやって生で聴いてた訳じゃないですか?」

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

――ええ。遥か昔は。

「それを、いつでも聴けるようにということでパッケージングしたのがレコードでありCDであり。ウチらもそうだけど“音楽はパッケージになってて当たり前”という世代からすると、CDを買ってからライブに行くという順番が当たり前だと思うんです。でも、本来はそれが逆なのかもしれないですよね」

――ライブを見て、よかったからCDを買うというのが本来の順番かもしれないですね。

「そう。だから俺はこの後、このミュージカルのサントラを探すんだけど(微笑)。CDが売れなくなって、ライブがどんどん音楽ビジネスの現場になりつつあるという話は何年か前からいわれてるけど。ある意味、これは健全というか。あるべき姿に音楽が戻ってるともいえるよね。そういうことをこのミュージカルを観て、肌で感じました」

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

「パッケージにはなかなか込められない、リアルタイムならではの素晴らしさを感じました」

――すごい。つまり、音楽の原点がミュージカルにはあったということですね。

「そう。あと、このミュージカルを観て思ったのは、音って空気の振動じゃないですか? なんでみんなが(歌うときに)ハイトーンを使いたがるのか、サビで高い音域にいきたがるのか。その理屈がちょっと垣間みれた気がした。修道院の院長はすっごい高いファルセットで歌ってたけど、やっぱり高い音域で歌うとめちゃくちゃ響いてくるし」

――歌が鼓膜をダイレクトに振動させるような迫力で届いてきましたからね。

「そう。あれ凄かったでしょ? あれはね、たとえ歌の内容を知らなくても、人の感情の琴線に触れるというか。人って圧倒されると自然と涙が出ちゃったり、感動したりするじゃないですか。パッケージにはなかなか込められない、そういうリアルタイムならではの素晴らしさを感じましたね」

――歌のハイライトはすべて修道院長がもっていく感じでしたもんね。

「そうそう。独壇場でしたよね。重要な役割を演じてた。でも、俺はトラップ家の長女(リーズル)推しだけどね。ちょっと可愛かったし(笑)」

――長女推し(笑)。可愛いところ以外に、どんなところが推しなんですか?

「とにかく歌のピッチの安定感がヤバいなと。みんな上手いんだけど、あの子のピッチの安定感はずば抜けて凄かった。あれはビビったな。あの子は凄い。ロルフ(恋人)とデュエットシーンとかあったじゃないですか?」

――ええ。彼女だけ兄弟のなかでラブロマンスがありましたからね。

「あのときに“この歌の安定感、凄いな”と気になりだして。以降、長女の歌はすごい聴いてたけど、最後のロングトーンまで絶対にぶれないんだよね。長女素晴らしい! 主役はれると思うな。俺がいうのもアレですけど(微笑)」

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

――透明感を感じる歌声でしたよね?

「そうそう。癖がないからすんなり入ってくる。マリア役をやってた主役の女優さんは声質に特徴があったし、シスターは一人オペラみたいな感じで、個性が強い歌声のなかで長女の歌声は特に澄んでた。だから余計に気になったのかもしれない」

「同じ音楽を扱う立場ですけど、俺らがやってることは別物だからこそ、学ぶ事はいっぱいありました」

――では、ミュージカルのなかで歌われていた楽曲に関してはどう感じました?

「曲はキャッチーで、どの曲も耳に残ったり印象深かったりするんだけど、それはなんでなんだろうなと分析しつつ聴いてたら、フックがあるんですよね、曲に。ちょっとマニアックな話なんですけど、曲の進行上ここは普通メジャーに行ったほうが落ち着くんだけど、そこをあえてマイナーにすることで引っかかりを作る、みたいな転調の仕方をするとか。そうやってうまい引っかかりを作って、そこに物語のなかでも聞かせたい言葉を乗せたメロディーを持ってくるんです。だから、大事な場面ではかならず歌が始まるんですよ」

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』

――つまり、歌は物語の大事なメッセージをこれから伝える合図でもある訳ですね。

「そう。だから、ミュージカルにおいて曲の持つ意味合いはすごく大きいんだなと思いました。同じ音楽を扱う立場ですけど、俺らがやってることは別物じゃないですか? 別物だからこそ、こうやって学ぶ事はいっぱいありましたね。今後の曲作りに役立てられそうなところがたくさんあったし。ホント、いいものを観れたなと思う。ウチのヴォーカルにも見て欲しかった(笑)」

――見たらどんな反応をすると思いますか?

「“すげぇな”の一言で終わりそう(笑)」

――ライブとミュージカルでは何が一番違うんですかね。

「ライブって、お客さん参加型なんですよ。ウチらとお客さん、相互通行で成立するのがライブかな。大まかにいうと。そこは大きく違いますよね。あと、ミュージカルや演劇は主役、脇役がはっきりしてるけど、こっちはそれがない。ウチでいえば、フロントマンはいるけど全員“俺を観ろ”と思ってるだろうからね。そういう違いを認識できたのも興味深かったな。でもね、そんなこと関係なく、俺は純粋に面白かったです」

――音楽ファン、NIGHTMAREファンの方々にもおすすめしたいですか?

「ミュージカルは敷居が高いとか、難しいとか思ってても、これを1回観ちゃえば絶対考え方変わる。圧倒されると思います」

――ではズバリ、咲人さんが思う『サウンド・オブ・ミュージック』のここを見てほしい、というところを教えて下さい。

「ド頭のところですね」

――今作を鑑賞するときは絶対に遅刻はあり得ない、という訳ですね。

「そう。ウチらのアルバムもそうだけど、ライブを作るときはオープニングって大事にするんですよ。作り手側として、頭はすごく大事。今日のオープニングを観てなおさら思いました。学校や会社は遅刻してもいいけど、ライブやこういうものは絶対遅刻しちゃダメ」

――学校や会社もダメですけどね。では最後に。これをきっかけに、今後もミュージカルを観てみようという気持ちは?

「ありますよ。機会があったらまた観たいです。劇団四季の作品を観たい」

――そして、いつかはミュージカルの音楽を創作してみたいという気持ちは?

「いきなりは無理ですけど、激しいギターやロックが似合うものだったら、やってみたいなというのはあります。その他にも映画音楽とかゲーム音楽、バンドだけが好きな訳じゃないので、俺は。“音楽”が好きなので。だから、ミュージカルとかもすんなり受け入れられたのかもしれないですね」

インタビュー=東條祥恵 咲人撮影=西槇太一

NIGHTMARE/咲人

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上演情報
劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』
公演日:絶賛上演中 [2016年1月31日(日)まで]
※e+貸切公演あり=2015年10月31日(土)13:00開演
会場:四季劇場[秋](浜松町)
席種・料金:
S1席:¥9,800
S席(大人):¥9,800
S席(子ども):¥5,000
A席(大人):¥8,000
A席(子ども):¥4,000
B席:¥6,000
C席:¥3,000


 
 
 
NIGHTMARE リリース情報
シングル「落園」
2015年10月28日発売
【A type】(CD+DVD)
YICQ-10359/B ¥1,800+税
【B type】(CD+DVD)
YICQ-10360/B ¥1,800+税
【C type】(CDのみ)
YICQ-10361 ¥1,200+税

 

NIGHTMARE ツアー情報

NIGHTMARE 15th Anniversary Tour
12月09日(水)仙台・イズミティ21大ホール
12月11日(金)愛知・愛知県芸術劇場大ホール
12月15日(火)神奈川・クラブチッタ川崎
12月17日(木)大阪・NHK大阪ホール
12月19日(土)福岡・DRUM LOGOS
12月21日(月)広島・CLUB QUATTRO
12月23日(水)京都・KBSホール
12月30日(水)東京・国立代々木競技場第二体育館

【チケット料金】
<前売>
全席指定¥5,800(tax in)
スタンディング¥5,800(tax in)ドリンク代別途
スタンディング¥5,800(tax in)
<当日>
¥6,800(tax in)

 

 

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