ふぉ~ゆ~辰巳雄大「新海誠作品に毛はいらない!」舞台『雲のむこう、約束の場所』開幕
(左から)湖月わたる、高田翔、伊藤萌々香、辰巳雄大、浅野温子、松澤一之
映画『君の名は。』で世界的に注目されるアニメーション監督・新海誠の初長編アニメーション『雲のむこう、約束の場所』が初の舞台化、2018年4月20日(金)から東京国際フォーラム ホールCにて初日を迎えた。初日前、同劇場にて公開ゲネプロ(最終通し稽古)と囲み会見が行われ、主人公・藤沢浩紀を演じる辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、浩紀のクラスメイト白川拓也役の高田翔(ジャニーズJr.)ヒロイン役の沢渡佐由理役の伊藤萌々香(フェアリーズ)、そして湖月わたる、松澤一之、浅野温子が会見に登場した。
戦後、南北に分断されたもうひとつの日本。世界の半分を覆う共産国家群「ユニオン」は、エゾ(北海道)を支配下に置き、島の中央にとほうもなく高い、純白の塔がそびえていた。しかし「ユニオン」の意図は誰にもわからない。青森県の津軽半島に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は異国の大地にそびえる塔にあこがれ、飛行機で国境の津軽海峡を越え、塔まで飛んで行く計画を立てていた。そのための小型飛行機<ヴェラシーラ>も、山の上の廃駅の倉庫で製作が進んでいる。犯罪以外の何ものでもないこの計画は他言無用とされていたが、浩紀が口を滑らせたせいで、クラスメイトの沢渡佐由理にばれてしまう。さいわい佐由理は<ヴェラシーラ>に強い関心を持ち、計画の共犯者になってくれる。浩紀たちと佐由理は、「<ヴェラシーラ>が完成したら佐由理を塔まで連れていく」と約束を交わす。<ヴェラシーラ>が完成に近づくにつれ三人の仲も深まるが、佐由理はある日、塔の夢を見る。そして突然、浩紀たちの前から姿を消す。佐由理が目の前から消えてから浩紀たちは、<ヴェラシーラ>の製作を止めてしまう。そして、3年が経ち……。
辰巳の後頭部に手の平でちょっかいを出す浅野。仲の良さが伝わります!
辰巳は「僕は31歳なんですが、日本中どこを探してもこんなにキラキラキュンキュンしてる31歳はいないんじゃないかと思うくらい、ステージ上でキラキラキュンキュンさせていただいてます」と嬉しそうに語る。そして舞台の見どころについて「生身の人間が演じるからこその熱さがあったり、佐由理と浩紀の歌など、舞台でしか見れない内容もあります」と期待を持たせた。
高田は「最終稽古の熱量で本当に泣きそうになりました。原作のファン、また女性の方にも満足していただける作品になってると思う」と胸を張る。
伊藤萌々香
伊藤は「あっという間に本番の日を迎え、すごくソワソワしています。今日も一時間以上早く楽屋入りしてしまい、ますますソワソワしてます。沢渡佐由理として精一杯生きたいです」とコメント。その直後、たまらず「すごい緊張してます!」と口にすると「珍しい!」と辰巳や高田から突っ込みが入り、照れ笑いしていた。
ハイタッチ!
白い塔の正体を解明しようとする青森アーミーカレッジの所長・富澤常子役の湖月は、松澤演じる岡部智之に想いを寄せる役どころ。「ラストシーンが大好きで、昨日も客席から(通し稽古を)観ていましたが、舞台演出と映像の融合がすばらしく、鳥肌が立ちました」と、演じる側としても本作の仕上がりを絶賛。
舞台『雲のむこう、約束の場所』公開最終稽古
そして浩紀と拓也のバイト先の社長・岡部役の松澤は「浅野さんと湖月さんに愛されるという美味しい役どころです」と顔をほころばせる。だが「お二人ともこれまで素敵な方々と共演されていると思いますが、僕はその中じゃ最低の男ではないかと。『男は顔じゃない、心だよ!』と思いながら頑張ります」と語り笑いを誘った。
舞台『雲のむこう、約束の場所』公開最終稽古
その岡部の妻、阿知良芳江役の浅野は「若者たちのキュンキュンに対抗しようと。どうやって舞台の上で彼らからエネルギーをもらうか…お互い頑張りましょう!」と笑顔を見せていた。なお、松澤と手を繋いでステージ上に登場したことを指摘された浅野は「私は目が悪いので手を繋いで(誘導して)もらったんです」その発言に「介護?」と突っ込みが入ると「今、誰が“老老介護”って言った!?」と自らボケ返し全員が大笑い。
「すごい良いチームなんです。このメンバーでなければこの作品は作れなかったと思います」そう語る辰巳は、舞台経験豊富な割に「純愛もの」が初めてと語る。「伊藤さんがアニメのなかから出てきたようで、浩紀として本当に胸がギューっと締め付けられました!」その言葉に反応した浅野が「ハイ、それ以上くっつかない!」と辰巳と伊藤の間に割って入ろうとし二人とも吹き出す。さらに辰巳は、浩紀が佐由理のことを一生懸命想う場面の台本を読んでいる最中、偶然伊藤が辰巳の前にひょいと顔を出し、その瞬間『うわあっ!何だ!この感情は!』」と浩紀として胸をときめかせていたと苦笑した。
そんな辰巳を静かに見守っていた高田が、突然「…すねを見せてもらっていいですか?」と突っ込む。「マジっすか!ばらすなよー!」と言いながらも辰巳がしぶしぶ裾をまくるとそこにはツルツルの真っ白いすねが!「浩紀を演じるためにやり残したことはないかな?と考えた末、劇場入りする前に髭剃り用のシェーバーのバリカン機能ですね毛を剃りました。新海誠さんの作品に毛はいらない!」と暴露。改めて自分の脛を見ながら「美脚だ」と自慢していた。
舞台『雲のむこう、約束の場所』公開最終稽古
舞台の中央には浩紀と拓也が作る真っ白な飛行機が置かれ、舞台の両脇からは流線形を描くスクリーンが場面転換の度に舞台上で交差する。そこに映画でも使われた映像が映し出され、なんとも美しい世界を作り出していた。そしてはるか遠くに一本の線のような純白の塔が見え、浩紀と拓也が様々な想いを秘めながら目指す「目標」であることを示していた。
伊藤萌々香
辰巳、高田、伊藤の瑞々しい演技と、彼らを取り巻く大人キャストたちのやり取りは非常に自然で、まるで目の前でごく普通の生活を送っているかのよう。それ故にこの世界に起きる様々な出来事がフィクションを分かっていながらもどこかドキュメンタリーのようなリアルさで迫ってくる。新海作品に共通して描かれる人の心の揺れ動きや、人の想いの熱さを見事に具現化した舞台だった。
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
【東京公演】2018年4月20日(金)~4月24日(火) 東京国際フォーラム ホールC
【大阪公演】2018年5月2日(水) NHK大阪ホール
■原作: 新海 誠「雲のむこう、約束の場所」
■上演台本: モトイキ シゲキ
■演出:内藤裕子(演劇集団 円)
■音楽:鎌田雅人
■出演:辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)/高田 翔(ジャニーズJr.)/伊藤萌々香(フェアリーズ)/湖月わたる/松澤一之/浅野温子 ほか
■主催・企画・製作:舞台「雲のむこう、約束の場所」製作実行委員会
(エイベックス・エンタテインメント/プロデュースNOTE/サンライズプロモーション東京)
■協力: コミックス・ウェーブ・フィルム
■制作協力: オレガ
■公式サイト:http://www.kumonomukou-stage.com/