【動画あり】石丸幹二「心がふわっと温かくなることをお約束します」~ミュージカル『シークレット・ガーデン』歌唱披露会見

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2018.5.18
『シークレット・ガーデン』歌唱披露会見より

『シークレット・ガーデン』歌唱披露会見より

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2018年6月から7月にかけてミュージカル『シークレット・ガーデン』日本版が初上演となる。これを記念し、出演者たちによる歌唱披露会見が5月18日に都内で開催された。この作品は、フランシス・ホジソン・バーネットの小説「秘密の花園」(1911年発表)を原作に、1991年にブロードウェイで初演となり、同年のトニー賞3部門を受賞した。家族の喪失と再生が主題の物語だが、原作ではあまり描かれていない、子どもをとりまく大人たちにも焦点を当てたミュージカルだ。本編より厳選された美しいナンバーが、開幕を前にして特別に披露されるとあって、2000人もの応募者の中から選ばれたオーディエンス120名も会場に詰めかけた。

【動画】『シークレット・ガーデン』歌唱披露会見より


まずはキャストによる歌唱披露。「幸せな過去を回想するナンバー」と紹介されたのは、アーチボルド役・石丸幹二とその妻リリー・花總まりによる「A Girl in the Valley」のデュエット。笑顔で登場した2人は、かつてお互いの間で育まれた愛を歌い上げた。

花總まり

花總まり

石丸幹二

石丸幹二

(左から)花總まり、石丸幹二

(左から)花總まり、石丸幹二

「植物の気持ちがわかる不思議な少年ディコンと、親を亡くした少女メアリーが、10年間放置されて枯れ果てた庭を蘇らせる曲」と紹介されたのは「Wick」。ディコン役・松田凌を、キラキラした目で見つめるメアリー役(Wキャスト)・上垣ひなたが、植物のようにぐんぐん伸びる歌声を聴かせた。

松田凌

松田凌

(左から)上垣ひなた、松田凌

(左から)上垣ひなた、松田凌

上垣ひなた

上垣ひなた

「ワガママ放題にインドで育ったメアリーの、本当の願い」という「The Girl I Mean to Be」は、メアリー役(Wキャスト)・池田葵のソロ。自分の居場所を探したい、自分のことを好きになれるそんな場所……という思いを歌う。

池田葵

池田葵

「アーチボルド役・石丸が、メアリーの中に亡き妻・リリーと同じ自然を感じ取る心を読み取った」という「A Bit of Earth」は、「決して死なないものなら、何でもあげるのに、あの子は大地に種を植える」という歌詞が印象的だ。リリーに似ている喜び、でも命を喪いたくない困惑の気持ちが伝わる。

石丸幹二

石丸幹二

「庭が徐々に再生する中、失敗をしたメアリーに、自分を信じて貫こう、と励ます曲」という「Hold On」は、屋敷のメイドであるマーサ役・昆夏美のソロだ。「わけは後回し、正しいものにしがみついて、嵐を耐えて」と、優しくたくましい声で圧倒する。

昆夏美

昆夏美

「メアリーに出会って、ワガママから変わってゆく」コリンが歌う「Round-Shouldered Man」。コリン役(Wキャスト)の大東リッキー鈴木葵椎がスーツ姿で二人揃って登場。天使のような歌声に、会場から「可愛い」の声が漏れた。

大東リッキー

大東リッキー

鈴木葵椎

鈴木葵椎

大東リッキー、鈴木葵椎

大東リッキー、鈴木葵椎

歌唱披露の最後は、「メアリーの目に、愛する人と同じ目を見つける」アーチボルド役・石丸と、その弟で医師であるネヴィル役の石井一孝による「Lily's Eyes」。妻を喪った男と、兄の妻を愛した弟の哀しさ、メアリーへの複雑な思いが響く。これら7曲を贅沢にたっぷり披露、その美しい旋律で『シークレット・ガーデン』の世界観が、観客にも十分に伝わった。

石井一孝

石井一孝

石丸幹二、石井一孝

石丸幹二、石井一孝

続く会見では、のどを披露したばかりのキャストと、2016年の25周年記念公演、2018年のカナダ版も演出したスタフォード・アリマが登壇。祖父母が日本生まれというアリマは、ずっと日本が自分を呼んでいる自覚があったという。「日本でこの作品を創る旅、演劇のファミリーに出会えた。長い間の夢だった日本での演出が叶い、贈り物を受け取った気持ちだ」と喜びを語る。「今舞台にいる役者、他の日本人キャストからもインスピレーションを受けている。直感、歌、感情のつながりに日々圧倒されている」と、日本人キャストを絶賛した。

スタフォード・アリマ(演出)

スタフォード・アリマ(演出)

最愛の妻・リリーを亡くしたアーチボルド役の石丸は「1993年の来日公演を観て、歌の素晴らしさ、子役のレベルの高さが脳裏に焼き付いていた。その頃はまだ20代で、演じるにふさわしい役はなかったが、今ようやく、巡りあえた。ただし二枚目役じゃないんです。でも変わったキャラを造形してみたい」と意欲をみせる。

石丸幹二

石丸幹二

アーチボルドの妻・リリー役の花總は「とても素敵な役。心をこめて演じたい」。インドで両親を亡くし、イギリスの叔父・アーチボルドに引き取られるメアリー役の池田は「原作小説『秘密の花園』は小さい頃から大好き。頑張りたい」。同じくメアリー役の上垣は「今回、素晴らしいキャスト・スタッフと携われて幸せ」。アーチボルドとリリーの病弱な息子・コリン役の大東は「この役を全力で取り組む」。同じくコリン役の鈴木は「乱暴で純粋、というコリンの難しさ。一所懸命頑張ります」と、それぞれ抱負を語った。

花總まり

花總まり

池田葵

池田葵

上垣ひなた

上垣ひなた

大東リッキー

大東リッキー

鈴木葵椎

鈴木葵椎

アーチボルドの弟で、コリンの医師であるネヴィル役の石井は「顔が、兄の石丸さんに似ているように見えるのかが重要です!」と意気込む。アニエスカ・ホランド監督、フランシス・フォード・コッポラ製作総指揮の映画『秘密の花園』(1993年)のDVDで予習をしたところ、「僕の出番は1ミリもありませんでした! ネヴィルに興味を持って予習してくれようという人は気をつけて」と場内を笑いで包む。さらに「リリーを愛しています。でも、今のところ1秒も目が合いません!」と、笑わせ続けた。

石井一孝

石井一孝

屋敷のメイド・マーサ役の昆は「メアリー、コリンの純粋な瞳や芝居を見ていると、汚い心が癒される」。これにはマーサの弟・ディコン役の松田も同意見。昆は10年前から「Hold On」が大好きだったそうで、「マーサとしてやれることが光栄」。松田は「自分が演じる意味があるよう、この作品の力として頑張りたい」と、生き生きと語った。

昆夏美

昆夏美

松田凌

松田凌

共演も多く、2015年『モンテ・クリスト伯』以来の夫婦役を演じる石丸と花總。石丸は「『モンテ・クリスト伯』と変わらぬ花ちゃん(花總)に会えて、オジサン嬉しい」、花總は「丸さん(石丸)の隣は安心。だけどさっきカズさん(石井)が言ったように、目が合わない(笑)。今日、目が合うの、貴重な機会です」。

(左から)花總まり、石丸幹二

(左から)花總まり、石丸幹二

この作品の見どころとして、演出のアリマは「人間として、家族としてのつながりを、経験として持って帰ってほしい」。石丸は「この作品は、ビフォー・アフター。私も含め、ひどい人たち(アーチボルド、メアリー、コリン)が、花園の扉が開くことで成長する。初めと終わりが全く違うさまを観てほしい」。花總は「私も含め、亡くなっている役と生きている人、現在と過去が入り混じる。そして綺麗な曲で展開する」。池田は「音楽が素晴らしい。温かい、優しいメロディが心に響きます」。上垣は「ひねくれていたメアリーが、いろんな人に出会い、庭とともに成長する姿」。大東は「メアリーというたった1人のきっかけで、ひねくれていた人が成長してゆく様子に感動できる」。鈴木は「ひどい人たちが、メアリーという1人の人がきっかけで全て変わっていくのが見どころ。(自分の演じる)コリンは元気になり、車椅子から立てるようになる。アーチボルドも自分を取り戻す」。石井は「音楽のルーシー・サイモンは、アメリカのミュージシャン、カーリー・サイモンの姉です。カーリーは、日本で言うなら松任谷由実みたいな人です。その姉なのですからスゴいんです」と、音楽オタクぶりを発揮してみせた。昆は「革命や戦争、悲劇の別れ、といったような大きな衝撃こそないが、ピュアな力にあふれた作品。観終えたら、心が一枚むけたような気持ちになる」と、『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』経験者ならではの言葉。松田は「アーチボルドが、『奇跡』にまつわるセリフを言う。奇跡は待つものではなく、信じて引き寄せるものだと学んでいる。劇場で奇跡を起こせたら」と、それぞれ自分たちの思いを述べた。

最後は石丸より「私たちは、まだ稽古では第2幕にとりかかったばかり。最後までいったらまた違うものが発信できる。私たちの成長を見守ってください。心がふわっと温かくなることをお約束します」という言葉で締められた。

ミュージカル『シークレット・ガーデン』は2018年6・7月に東京・シアタークリエにて上演。その後神奈川・福岡・兵庫にて上演される。イープラスの貸切は、6月16日(土)12:00開演(メアリー:上垣、コリン:大東)、6月27日(水)18:00開演(メアリー:池田、コリン:大東)、6月30日(土)12:00開演<半館>(メアリー:池田、コリン:大東)、7月4日(水)18:00開演<半館>(メアリー:池田、コリン:鈴木)、7月5日(木)13:00開演(メアリー:池田、コリン:鈴木)。なお、当SPICEでは、子役4人(池田・上垣・大東・鈴木)のインタビュー記事も近日公開するので、お楽しみに。

取材・文=ヨコウチ会長
写真撮影=山本れお
動画撮影&編集=安藤光夫

公演情報

ミュージカル『シークレット・ガーデン』
■脚本・歌詞:マーシャ・ノーマン 
■音楽:ルーシー・サイモン 
■原作:フランシス・ホジソン・バーネット「秘密の花園」 
■演出:スタフォード・アリマ
■キャスト:
石丸幹二(アーチボルド)
花總まり(リリー)
石井一孝(ネヴィル)
昆夏美(マーサ)
松田凌(ディコン)
池田葵・上垣ひなた(メアリー/Wキャスト)
大東リッキー・鈴木葵椎(コリン/Wキャスト)
石鍋多加史(ベン)
笠松はる(ローズ)
上野哲也(アルバート)

 
<東京公演>
■日程:2018年6月11日(月)~7月11日(水)
■会場:日比谷 シアタークリエ
■公式サイト:http://www.tohostage.com/secretgarden/

イープラス貸切=6月16日(土)12:00開演(メアリー:上垣、コリン:大東)、6月27日(水)18:00開演(メアリー:池田、コリン:大東)、6月30日(土)12:00開演<半館>(メアリー:池田、コリン:大東)、7月4日(水)18:00開演<半館>(メアリー:池田、コリン:鈴木)、7月5日(木)13:00開演(メアリー:池田、コリン:鈴木)
 
<神奈川公演>
■日程:2018年7月14日(土)~7月16日(月)
■会場:厚木市文化会館
■公式サイト:http://atsugi-bunka.jp/
 
<福岡公演>
■日程:2018年7月20日(金)~7月21日(土)
■会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
■公式サイト:http://kurumecityplaza.jp/
 
<兵庫公演>
■日程:2018年7月24日(火)~7月25日(水)
■会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
■公式サイト:http://www1.gcenter-hyogo.jp/
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