桑田真澄「高校球児たちにも負けないくらいの元気と熱量が」 舞台『野球』安西慎太郎らキャストによる選手宣誓記者会見
舞台『野球』飛行機雲のホームラン 記者会見
7月27日(金)より公演がスタートする舞台『野球』飛行機雲のホームラン 〜 Homerun of Contrail の記者会見(選手宣誓)が行われた。
主演は舞台『四月は君の嘘』(2017年)などで主演を務めた経験もある安西慎太郎、作・演出は観客を引き込む独特な演出でも名高い西田大輔。そして野球監修に元プロ野球選手であり現在は野球解説、評論、指導者としても活躍する桑田真澄を迎え、舞台関係者以外にも大きな注目を集めている舞台である。
届かなかった、あのマウンドに―― 少年たちの生きた夏
1944年――戦況が深刻化し、敵国の競技である野球は弾圧され甲子園は中止されていた。甲子園への夢を捨てきれず予科練に入隊した少年たちは、「最後の一日」に、出身校同士で、紅白戦を行う―― 甲子園優勝候補とされていた強豪・伏ヶ丘商業学校。実力は未知だが有力と思われる会沢商業学校。野球への憧れ、強い仲間への憧れ―― 「憧れ」を通して、人が生きていく力、「生きたい」という希望を描く。
今回の記者会見ではMCの村田を含めて13名のキャストと西田、桑田が登壇し、公演への意気込みや野球に対する愛を語った。キャストの中には安西を始めとして野球経験者も少なくなく、当時のことを思い出しながら稽古に励んでいるという。
舞台「野球」飛行機雲のホームラン 記者会見(選手宣誓)
かつてプロ野球という舞台で歴史に残る活躍を遂げた桑田。今回の舞台では技術だけではなく野球を愛する心やその歴史をも自ら指導したそうだ。主演の安西はその桑田に対して「野球が本当に好きな人だ」と練習時に感じたという。そして演出の西田からも桑田や野球に対する熱い思いなどが語られ、短い時間ではあったが各々の純粋で強い情熱がうかがえた記者会見だった。
最後に主演の安西が「宣誓! 僕たち舞台『野球』一同は正々堂々、全力プレーすることを誓います!」とマイクなしの張りのある声で記者たちに向けて堂々と宣誓した。
舞台「野球」飛行機雲のホームラン 記者会見(選手宣誓)
村田洋二郎(穂積大輔役)MCの記者会見全文
MC 村田洋二郎:キャスト全員に伺います。意気込み・役柄について教えてください。
穂積均役 安西慎太郎:最初の顔合わせの時に(作・演出の)西田さんが「すげぇ作品を作ろう」ってことを言ってくださり、今カンパニー一丸となって作品を作っています。見に来てくれたお客様が一生忘れない心に残る作品にしたいなと思っています。見どころはやっぱり時代背景でもありますが、全員本気で汗をかいて、本気で疲れて、本気で声を出してます。その僕たちの全力プレーをぜひ見ていただけたら嬉しいです。
穂積均 役 安西慎太郎(左)
唐澤静役 多和田秀弥:今回は(安西)慎太郎が演じる穂積均の幼馴染で、伏ヶ丘商業学校の天才ピッチャーとして出演させていだたきます。この舞台を通して好きなことができる、そして大切な人が側にいてくれることの幸せさだったりを、お客様やこのメンバーと一緒に体感し再確認できる……。そんな夏にできたらと思っております。
唐澤静 役 多和田秀弥
岡光司役 永瀬匡:見に来てくださるお客様に、観劇というよりかは野球観戦に来たような気持ちになる舞台になると感じております。僕らも全力で野球を愛して、野球の球場にいるような気持ちで稽古をしているので、汗をかいて、笑って、泣いて、全力で生きている姿を目に焼き付けていただけたらなと思います。
岡光司 役 長瀬匡
菱沼力役 小野塚勇人:僕自身、野球をやるのが初めてです。同じように初めて経験する人も多いですが、稽古中から魂のこもった熱い演技をしています。本番は一人でも多くの人に男の泥臭いアツい青春を見ていただけたら嬉しいなと思います。
菱沼力 役 小野塚勇人
田村俊輔役 松本岳:最高の舞台になると思っております。精一杯、田村俊輔を演じたいです。よろしくお願いします。
田村俊輔 役 松本岳
早崎歩役 白又敦:僕も野球をやったことがなく初めてです。舞台上で全力で汗かいて全員で野球を作っていけたらと思っております。
早崎歩 役 白又敦
浜岡喜千男役 小西成弥:『野球』という舞台を、ちょうど夏の甲子園と同じ時期に開催されるということで、僕たちもアツい作品にしたいです。甲子園の熱い夏を超えるような作品を作れるように頑張っていきます。
浜岡喜千男 役 小西成弥
佐々木新役 伊崎龍次郎:この作品を見終わった後に「野球ってやっぱりいいよな」って思ってもらえたら嬉しいです。自分の役割を最後まで全うしたいと思っております。
佐々木新 役 伊崎龍次郎
堂上秋之役 松井勇歩:とてつもなく感動できる作品になるっていうことを稽古をしながら確信しております。よりたくさんの方にこの作品に出会っていただけたらと心から思っております。
堂上秋之 役 松井勇歩
大竹明治役 永田聖一朗:僕自身、2本目の舞台出演でまだ未熟ではありますが、心強い先輩たちと切磋琢磨して素敵な舞台を作れたらいいなと思っております。
大竹明治 役 永田誠一朗
島田治人役(Wキャスト) 内藤大希:僕は東京公演の前半を担当しますので、良い公演のスタートを切って、凌くんにバトンを繋ぎたいと思っております。
島田治人 役(Wキャスト) 内藤大希
島田治人役(Wキャスト) 松田凌:今作は野球という競技を通して、そして自分たちのお芝居を通して、平成最後の夏に忘れてはいけないもの、忘れたくないものをみなさまに届けたいと思っております。一蓮托生、桑田さんのお力添えもあり、そして西田さんが作ってくださるこの作品で一球一球本気で戦いたいと思っておりますので、ぜひ劇場に来てください。
島田治人 役(Wキャスト) 松田凌
桑田「高校球児たちにも負けないくらい元気と熱量があって」
(中央)野球監修 桑田真澄
村田:野球監修の桑田真澄さんに質問です。今回、野球監修を受けていただくきっかけとなったことを教えてください。
桑田:僕は舞台そのものも生で見たことは2回もないのでちょっと戸惑いましたが、西田さんからの熱い想いと、大学院で野球の歴史を勉強していましたので、何か僕も少しやれることがあるんじゃないかと挑戦してみようと思い、引き受けさせていただきました。
村田:実際に我々は野球場で練習をしたんですが、桑田さんは古い文献を調べていただいて昔のグローブなどを持って来ていただいたりしました。このメンバーでやってみていかがでしたか?
桑田:練習する球場が家からすごく近く、グラウンドに向かう間に「野球って言っても役だから仕方ない、やるか。」っていう感じなんだろうなって想像してグラウンドに入ったんです。今年2018年は甲子園大会100回目となりますが、そんな高校球児たちに負けないくらいの元気と熱いものがあって、非常にびっくりしたというのが俳優のみなさんとの出会いでした。僕もそれに負けないくらいの気持ちでやっていかなきゃって一瞬で思いました。みなさんの熱意にびっくりしましたし、本当にいいものができていくんじゃないかなって確信しています。
村田:しっかりとした結果をみんなで残しましょう。本番に向けてキャスト一同頑張っていきますのでよろしくお願いします。それでは西田さんお願いします。
作・演出 西田大輔:本作は1944年のオリジナルストーリーとなります。昨今スポーツを題材とした舞台もいくつかありますが、題材にするというよりも「演劇でしかできない野球を目指す」というコンセプトで俳優たちと稽古に励んでいます。そのリアルにまっすぐに野球をするということに関して、僕は桑田真澄さんに野球指導していただきたいっていう夢がありました。それが叶ってこういう幸せな現場になっています。桑田さんが現役時代にピッチングをしていて3アウト取った時に、桑田さんだけがいつも走ってベンチに帰っていらしたんですね。その姿がすごく好きでした。「守ってもらった野手たちを迎えたいから」っていう理由をインタビューで話してらっしゃって、それに僕は感動しました。そんなお芝居になるように、そういう姿をイメージして作品を作りました。時代を通して誰かを守るような作品になったらいいなと思っております。ストライクとかアウトとかそういう言葉自体を言えなかった時代の物語……本当に一晩しかないわずかな時間を野球で過ごす少年たちの物語です。どうかこの作品がたくさんの人に届くように、応援よろしくお願いします。
(右)作・演出 西田大輔
ーー(記者)桑田さんにお聞きします。実際にどのような指導をされたのでしょうか?
桑田:キャッチボールから始まり、内野のゴロ、フライ捕球、バッティング……と、全てにおいて指導させてもらいました。彼らに初日に伝えたことが2日目にはできるようになってまして、短期間でこんなにも成長するのかってびっくりしました。また、野球って細かい作業も多いものですから、サインの出し方とかも見ていただくと、おそらくプロに負けないくらいのものが表現されていると思います。あと構え方など、細かいところも彼らがしっかりやってくれていると思いますので、そのあたりも見逃さないように見ていただけたら嬉しいです。
ーー安西さんにお聞きします。桑田さんの指導の中で印象的だったお言葉や、逆に難しかった動作などがありましたら教えてください。
安西:桑田さんは本当に野球が好きな方なんだなぁって思いました。やっぱり「上手くなりたい」っていうことが大事なのかもしれないですが、上手いよりも先に野球というスポーツを好きになるところから、楽しむところから始めることが一番必要なことなのかなって思いました。練習では僕たちも楽しんでましたが、桑田さんも本当に野球を愛しながら教えてくれた姿がすごく印象的でした。
ーー桑田さんへお願いしたいんですが、この夏甲子園100回大会ということで、舞台と球児たちにエールをお願いします。
桑田:実際の野球と舞台の野球は違うと思いますが、伝わってくる感動は同じだったりそれ以上のものがあると思います。僕も今の段階ではまだ通しで見ていないので、彼らのチームワークや野球に対する気持ち、そして作品の完成を非常に楽しみにしています。おそらく野球場で観戦している以上のものを感じ取ってもらえると思います。スポーツは平和じゃないとできないんですね。二度と戦争を起こしてはいけないっていうメッセージも野球を通じて感じ取っていただけたらと思っております。
穂積均 役 安西慎太郎
ーー出演者の中で野球経験のある方にお聞きします。この舞台をやったことで過去の経験が役に立ったこと、もしくはこの舞台の稽古をすることで野球への魅力がより強くなった等のエピソードがあれば教えてください。
安西:僕は肘を壊して野球をやめてしまったんですが、久しぶりにやった時に楽しいと同時に難しいスポーツだなと。改めて一人ではできないスポーツだって感じました。
永田:野球は小学校の頃にやっていました。こうして久々にみんなでやって昔の頃の記憶とかも思い出しました。泥だらけになったり、みんなで一つのボールを追いかけて行ったりするのが懐かしくて、野球って素敵だなって思いました。
永瀬:野球だけじゃなくて、大人になると生傷ってなかなかできないと思うんですが、今回は舞台の稽古を通して生傷が絶えません。それと誰かが打席に立った時に、バッターに対して「打ってくれ、頼む!」というのが舞台の袖からも聞こえてくるような臨場感があります。キャストもお客さんもバッターに集中して、本当に野球場に来た感覚になると思うので、そうやって汗をかきながら声を枯らしながら舞台を作っています。楽しみにしていただけたらと思っています。
松井:僕も小学校の時に野球をやっていました。今回は桑田さんが監修についてくださっているので、野球経験者メンバーはその頃の大好きだった気持ちを思い出し、そして今回初めて関わったキャストの子たちも野球が本当に心から好きになり、稽古中も口々に「野球がしたい」、「グラウンドに行きたい」って言っています。そういう野球を好きな気持ちを作品にぶつけます。見てくださる方も野球に興味を持ってもらったり好きになってくれたらいいなって思います。
舞台「野球」飛行機雲のホームラン 記者会見(選手宣誓)
舞台『野球』飛行機雲のホームラン 〜 Homerun of Contrail は7月27日(金)からサンシャイン劇場で公演。好評発売中。
取材・文・撮影=松本裕美
公演情報
/内藤大希(友情出演・Wキャスト)/松田凌(友情出演・Wキャスト)/藤木孝
※内藤大希の出演は7月27日(金)〜7月31日(火)の東京公演となります。
※松田凌の出演は8月1日(水)〜5日(日)の東京公演と25日(土)・26日(日)の大阪公演となります。
東京 2018年7月27日(金)〜8月5日(日)サンシャイン劇場
大阪 2018年8月25日(土)〜26日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
野球監督:桑田真澄
音楽:笹川美和(cutting edge)
席種:全席指定8,900円(税込)
:一般発売中 ※詳細は、公式HPにて。
企画制作:エイベックス・エンタテインメント/Office ENDLESS
主催:舞台「野球」製作委員会