鹿賀丈史、市原隼人ら、ミュージカル『生きる』リーディングワークショップ実施!

レポート
舞台
2018.8.28
ミュージカル『生きる』リーディングワークショップの模様

ミュージカル『生きる』リーディングワークショップの模様

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2018年10月8日(月・祝)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて、ミュージカル『生きる』が上演される。本作は日本を代表する映画監督・黒澤明が1952年に発表した代表作をミュージカル化したもの。初日まで残すところ1か月強となった8月16日(木)、鹿賀丈史チームによる、リーディングワークショップが行われ、鹿賀を筆頭に市原隼人新納慎也、May'n、唯月ふうか川口竜也ほかキャストが集合、スタッフが見守る中、台本の1ページから最終ページまで読み合わせた。

稽古場には宮本亜門らが座るスタッフ席に向かい合うように、キャスト席が扇形に設置され、その中央に鹿賀が腰を下ろし、新納と唯月が鹿賀の両脇に座る。新納のさらに隣にはMay'n、そして市原と川口が並び、その他の男性キャストが扇の端まで、そして女性キャストたちは唯月の横に順に並んで座った。

ミュージカル『生きる』リーディングワークショップ

ミュージカル『生きる』リーディングワークショップ

鹿賀チームが顔を揃えてワークショップに臨むのはこれが初めてとのこと。4月には同じ形式で市村正親チームのワークショップが行われたと聞く。スタッフがト書きを読み、稽古場のグランドピアノが鳴り響く中、リーディングが始まった。

新納慎也、鹿賀丈史(『ラ・カージュ・オ・フォール』繋がりですね!)

新納慎也、鹿賀丈史(『ラ・カージュ・オ・フォール』繋がりですね!)

冒頭の空気を真っ先に作るのは、ストーリーテラーの役割も果たす小説家役の新納だ。艶があり、よく通る声で物語と主人公・渡辺勘治の境遇を男性キャスト達と共に歌で説明する。新納は小説家役として渡辺勘治の人生に関わってくるが、人生の裏街道もそれなりに知っているような自由で小粋な存在感が、真逆の不器用にしか生きられない渡辺勘治とよい対比を生み出していた。

鹿賀丈史

鹿賀丈史

鹿賀さんのリーディングは皆の涙を誘うものでした

鹿賀さんのリーディングは皆の涙を誘うものでした

その渡辺勘治役の鹿賀は、とにかくごく普通の日常を言葉少なに演じる。ぼそっ、ぼそっと台詞を口にする鹿賀の姿は、とても他の作品で華々しく力強い役を演じてきた役者とは思えないくらい、地味で影の薄いお役人風情。ところが、自分の身に発生した重大な現実を知ってからは、不器用ではあるが周りが何と言おうとも頑固に、そして力の限り前に足を進めようとする。心の奥にしまっていた熱い想いを吐露するように鹿賀が「ゴンドラの唄」、そしてラストナンバーを歌うと、稽古場は一段と水を打ったように静まり返り、歌が終わると拍手と涙をこらえるように鼻をすする音が響いていた。

市原隼人

市原隼人

宮本さんに直接相談する市原さん。真剣で熱い想いが伝わります

宮本さんに直接相談する市原さん。真剣で熱い想いが伝わります

一方、渡辺勘治の息子・光男役の市原は、父の事を一番理解しているのは自分だと信じて疑わない男。光男の思い込みの強さや頑固さは、ある意味父親譲りのDNAを感じさせる。演じる市原は、休憩の合間に宮本のところに駆け寄って、光男をどう演じ、どう歌うべきか、熱を込めて語り意見を求めていた。その姿が実に印象的だった。

May'n

May'n

唯月ふうか

唯月ふうか

光男の妻・一枝役のMay'nと、渡辺勘治が深く関わることになる小田切とよ役の唯月。両名とも美しい歌声で妻としての想い、そして一人の自立する女性としての想いを奏でる。声質も演じ方も全く異なる二人が鹿賀チームと市村チームで役を交替して演じるとどのような違いを生み出すのか、非常に興味深いものだった。

鹿賀丈史、唯月ふうか(『デスノート the Musical』繋がりですね!)

鹿賀丈史、唯月ふうか(『デスノート the Musical』繋がりですね!)

川口竜也(役どころが魅力的なんです!お楽しみに!)

川口竜也(役どころが魅力的なんです!お楽しみに!)

リーディング中にふと気づいた事がある。この物語は第二次世界大戦から7年後、戦後まもない昭和の日本が舞台となっているが、ピアノから流れる楽曲はどれも当時の日本らしくない、むしろブロードウェイ・ミュージカルを彷彿とさせるくらい、どこか陽気で、ステップを踏みながら踊り出したくなるメロディーばかりなのだ。場面によってはシリアスな曲調の楽曲もあるが、それすらも聴く者の胸を躍らせる力を感じさせる。キャストたちはそのようなメロディーに乗せて日本語の歌詞を気持ちよく歌い上げる。例えその歌詞の中に「味噌汁と漬物」という日本らしい単語が入っていても不思議と違和感が起きないのだ。皆、椅子に座った状態で歌っているのだが、その足元は軽やかにリズムを刻み、身体も表情も今にも立ち稽古に入りそうなくらい豊かな動きを見せていた。

ミュージカル『生きる』リーディングワークショップ

ミュージカル『生きる』リーディングワークショップ

宮本亜門(中央)

宮本亜門(中央)

この生きる喜びや楽しさ、力を感じさせる音楽が劇中に常に流れているからこそ、その中で綴られる渡辺勘治の壮絶な人生や、彼を取り巻く人々の心情が重たすぎず、観る者の心にすうっと入ってくるようだった。作曲・編曲を手掛けたジェイソン・ハウランドと日本のオリジナルミュージカルとして歌に言葉を与えた高橋知伽江の絶妙な匙加減に感動を覚えたこの日のリーディングワークショップ。ここから宮本の演出が本格的に入ることで、作品のエネルギーがさらに増していくことになるだろう。日本発・世界初演のオリジナルミュージカル『生きる』。その全貌を観る日が今から待ち遠しい。

取材・文=こむらさき  撮影=オフィシャル提供

公演情報

黒澤明 没後20年記念作品 ミュージカル『生きる』
 
■日程:2018年10月8日(月・祝)~28日(日)
■会場:TBS赤坂ACTシアター

 
■作曲&編曲:ジェイソン・ハウランド
■脚本&歌詞:高橋知伽江
■演出:宮本亜門
■出演:
【市村正親出演回】
渡辺勘治:市村正親
渡辺光男:市原隼人
小説家:小西遼生
小田切とよ:May'n
渡辺一枝:唯月ふうか
助役:山西惇
【鹿賀丈史出演回】
渡辺勘治:鹿賀丈史
渡辺光男:市原隼人
小説家:新納慎也
小田切とよ:唯月ふうか
渡辺一枝:May'n
助役:山西惇
■公式ホームページ:http://www.ikiru-musical.com/ 
 
【あらすじ】
役所の市民課に30年勤める課長の渡辺勘治(市村・鹿賀/Wキャスト)は、まもなく定年を迎えようとする矢先に、当時は不治の病とされていた胃がんになり、余命わずかと知る。時間が残されていないことを知った渡辺は、これまでの人生を考えて苦悩し、一時はやけ気味で夜の街を歩き、知り合った小説家(新納・小西/Wキャスト)と遊びまわるが、心はむなしいばかり。そんな折に偶然街で出会った同僚女性(May'n、唯月/Wキャスト)から刺激を受け、自分の本来の仕事を見つめなおし、「生きる」ことの真の意味を考え、新しい人生を始める―
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