『ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』が横浜美術館で開催 セザンヌやマティスなど、近代美術史上に輝く名品が集結

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2018.9.12
オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm、オランジュリー美術館  (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm、オランジュリー美術館  (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

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『横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』が、2019年9月21日(土)〜2020年1月13日(月・祝)まで、横浜美術館で開催される。

パリのセーヌ川岸に建つオランジュリー美術館は、チュイルリー公園のオレンジ温室を改装した可愛らしい美術館。画商ポール・ギョームらが収集した同館所蔵の印象派とエコール・ド・パリの作品群は、ヨーロッパ最高の絵画コレクションのひとつに数えられている。

横浜美術館開館30周年を記念した本展では、同コレクションから、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソ、モディリアーニなど、パリを愛し芸術に魂を捧げた画家たちの名作約70点を紹介する。ルノワールの傑作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、同館のコレクションがまとめて日本で紹介されるのは21年ぶりとなる。

1:パリ・オランジュリー美術館コレクションによる21年ぶりの展覧会

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》1897年、油彩・カンヴァス、73×92cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》1897年、油彩・カンヴァス、73×92cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

世界屈指の印象派とエコール・ド・パリのコレクションを誇るパリのオランジュリー美術館。そのほとんどが常設展示されているため、館外にまとめて貸し出されることは極めて稀だ。過去には同館が大改修工事による閉館中の1998年に初めてコレクションが日本に貸し出され、「パリ・オランジュリー美術館展」として開催された。同展は東京会場ほか全国5会場で計100万人以上を動員した。オランジュリー美術館では再度の改修工事を予定しており、今回21年ぶりに日本での展覧会が実現する。

2:ルノワールの代表作《ピアノを弾く少女たち》が来日

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm、オランジュリー美術館  (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm、オランジュリー美術館  (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

《ピアノを弾く少女たち》は、ルノワールの作品の中でも最も有名なもののひとつ。政府からリュクサンブール美術館のための作品を依頼されたルノワールは、ピアノの前に座る二人の少女をテーマに少なくとも6点の油彩画を制作したといわれる。そのうち国家に買い上げられれた1点は、現在オルセー美術館に収蔵されている。オランジュリー美術館蔵のこの愛らしい作品は、晩年までアトリエに保管され、没後の1928年にポール・ギョームが収集したもの。オルセーの作品ほど細部まで描きこまず、伸びやかで柔らかい筆致によって画面全体を美しい色彩の調和で満たしている。顔を寄せ合って楽譜をのぞき込み音楽の世界に没頭している少女たち。溶け合う色彩のハーモニーの中に美しいピアノの音色と少女たちの声が響きあうようだ。

3:コレクションをめぐる画商ポール・ギョームと妻ドメニカの物語に注目

アメデオ・モディリアーニ《新しき水先案内人ポール・ギョームの肖像》1915年、油彩・厚紙を貼った合板、105×75cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski

アメデオ・モディリアーニ《新しき水先案内人ポール・ギョームの肖像》1915年、油彩・厚紙を貼った合板、105×75cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski

オランジュリー美術館の印象派とエコール・ド・パリのコレクションは「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギョーム コレクション」と呼ばれている。ポール・ギョームは、自動車工から画商に転身し、当時無名だった個性的な画家たちの才能を見出し世に送り出した。ポールは、画商として作品を売るだけでなく、自分の美意識にかなった作品を収集し、美術館をつくることを夢見て、作品を展示した自邸のアパルトマンを人々に公開した。ポールは若くして亡くなるが、妻のドメニカはその遺志を受け継いでコレクションを育て、ポールと二人目の夫ジャン・ヴァルテルの名前を冠して公開することを条件に、作品群をフランス国家に譲った。本展では、コレクターの美術館設立への夢や、画家たちとの友情の物語に注目する。

マリー・ローランサン《ポール・ギョーム夫人の肖像》1924年頃、油彩・カンヴァス、92×73cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski

マリー・ローランサン《ポール・ギョーム夫人の肖像》1924年頃、油彩・カンヴァス、92×73cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski

4:パリに恋した画家たち 

アンリ・マティス《赤いキュロットのオダリスク》1924-1925年頃、油彩・カンヴァス、50×61cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Michel Urtado / Benoit Touchard

アンリ・マティス《赤いキュロットのオダリスク》1924-1925年頃、油彩・カンヴァス、50×61cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Michel Urtado / Benoit Touchard

オランジュリー美術館の「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギョーム コレクション」は、近代美術史上に輝く名品144点で構成されている。本展では、その半数にあたる約70点が来日する。本展に含まれるのは、印象派の巨匠ルノワールをはじめ、セザンヌ、ドラン、ローランサン、マティス、モディリアーニ、モネ、ピカソ、ルソー、シスレー、スーチン、ユトリロ、ヴァン・ドンゲンの13作家。芸術の薫りの高い20世紀前半のパリに集い、新しい絵画表現の探究に魂を捧げた画家たちだ。

クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年、油彩・カンヴァス、56×67cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年、油彩・カンヴァス、56×67cm、オランジュリー美術館 (C) RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux

逢坂恵理子 横浜美術館館長からのメッセージ

開館30周年を記念して、オランジュリー美術館が誇る世界屈指の印象派とエコール・ド・パリのコレクションを紹介する展覧会を皆様にお届けできることは、大きな悦びです。

コレクションを形成し、後世へ伝えることは、美術館活動の根幹です。オランジュリー美術館コレクションの基礎を作ったポール・ギョームは、新しい画家を発掘し、援助し、作品を収集し、美術館で多くの人に享受されることを目指した希代のコレクターでした。ギョームの審美眼が見出したルノワールやピカソ、モディリアーニなど、パリを愛した画家たちの傑作の数々をどうぞご堪能ください。

イベント情報

横浜美術館開館30周年記念
オランジュリー美術館 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち 
会 期:2019年9月21日(土)~2020年1月13日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の 30 分前まで)
休 館 日:毎週木曜日(12月26日(木)は開館)、12月28日(土)~1月2日(木)
会 場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい 3-4-1)
主 催:横浜美術館、読売新聞社、オランジュリー美術館
公式サイト:https://artexhibition.jp/orangerie2019/
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