大竹しのぶのライフワーク舞台『ピアフ』開幕~「命を削る想いで」

レポート
舞台
2018.11.5
(左から)彩輝なお、大竹しのぶ、梅沢昌代

(左から)彩輝なお、大竹しのぶ、梅沢昌代

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大竹しのぶが4度目の『ピアフ』に挑む。2018年11月4日(土)から、東京・日比谷シアタークリエにて舞台『ピアフ』が初日を迎えた。初日前日、同劇場にて囲み会見と公開ゲネプロ(通し稽古)が行われた。

フランスを代表する歌手エディット・ピアフの生涯を生々しく描く本作。演出は栗山民也が務める。今回の公演で用意された1万8000席のは3日間で完売(別途当日券あり)したという注目の舞台だ。

大竹しのぶ

大竹しのぶ

会見には大竹、梅沢昌代、彩輝なおが同席し、心境を語った。

大竹は「演じる事にどんどんプレッシャーが大きくなっています。初めて観る方もいれば前回、前々回を観ている方もいるので、前より絶対良いものを出さないとならない。今がベストと思われるようにしたいですね」と力を込めた。貧しい時代のピアフと同居し、生涯の友トワーヌ役の梅沢とピアフの親友マレーネ・ディートリヒ役の彩輝は初演からの出演だが、梅沢は「全員野球で頑張ります」、彩輝も「力を合わせて頑張ります」と笑顔を見せた。3人のチームワークはバッチリで大竹は「男ども、しっかりしろや!という気持ちで向き合っています」と口にするとその表現に笑いが起きていた。

梅沢昌代

梅沢昌代

彩輝なお

彩輝なお

4回目となる今回の上演について、大竹が「梅ちゃん(梅沢)が言っていたんだけど、演劇に命を賭ける事はできないけど、命を削るくらいの事は毎日やっていますね」、その言葉に梅沢も「お芝居には完成がないからね。4回目となりますが、新しい発見もありますね」とまだまだ貪欲に攻めていこうとする姿勢を見せていた。

今回、駿河太郎、上遠野太洸など初出演となる若手俳優たちもいる。彼らとのコミュニケーションをはかるために何度か食事をする機会を作った大竹たちだったが「今はもう大丈夫だけど、稽古の最初の頃は、この女3人が怖いみたいですごくビビってたよね!」と梅沢がその様子を口にすると大竹と彩輝はたまらず笑い出していた。

ピアフ(大竹しのぶ)とシャルル(宮原浩暢)

ピアフ(大竹しのぶ)とシャルル(宮原浩暢)

ピアフ(大竹しのぶ)とテオ・サラポ(上遠野太洸)

ピアフ(大竹しのぶ)とテオ・サラポ(上遠野太洸)

通りに立って歌い日銭を稼ぐ少女の頃から、才能を見出されスターダムに乗り、様々な男性との出会いと別れを経て、若くして病に倒れ天に召されるその瞬間まで、すべてのピアフを大竹が演じている。もはや演じるという言葉を超越し、ピアフが憑依、いやピアフそのものだった。顔つきは年齢と共にどんどん変化し、さらには酒や睡眠薬に依存している時、モルヒネ中毒となってからの禁断症状で見せる狂気に満ちた姿。凄まじさと共に衝撃を受けた後に残る悲しさ、寂しさがたまらない。ピアフの歌に胸を打たれるのは、こんな激動の人生を糧に、己のすべてをさらけ出し歌い上げるからこそ。ボロボロになっても歌い続けるピアフの姿に涙を抑えきれなかった。

ピアフ(大竹しのぶ)「愛の讃歌」歌唱

ピアフ(大竹しのぶ)「愛の讃歌」歌唱

ピアフ(大竹しのぶ)「私の回転木馬」歌唱

ピアフ(大竹しのぶ)「私の回転木馬」歌唱

会見で大竹が「命を削りながら演じている」といった言葉が改めて湧き上がってくる。ピアフを演じるということは、他の芝居、他のキャラクターを演じる以上にこの想いを強く感じるのかもしれない。大竹のライフワークともいえる『ピアフ』。可能な限りこれからも続けて欲しいと感じさせる圧巻のステージだった。

ピアフ(大竹しのぶ)とマルセル・セルダン(駿河太郎)

ピアフ(大竹しのぶ)とマルセル・セルダン(駿河太郎)

ピアフ(大竹しのぶ)とシャルル(宮原浩暢)

ピアフ(大竹しのぶ)とシャルル(宮原浩暢)

 
取材・文・撮影=こむらさき
舞台写真=東宝演劇部・提供

公演情報

『ピアフ』

■日程・会場:
【東京公演】2018年11月4日(日)~12月1日(土) シアタークリエ
【広島公演】2018年12月4日(火) JMSアステールプラザ
【香川公演】2018年12月11日(火)・12日(水) レクザムホール
【大阪公演】2018年12月15日(土)~17日(月) 森ノ宮ピロティホール

 
■作:パム・ジェムス
■演出:栗山民也
■出演:大竹しのぶ、梅沢昌代、彩輝なお、宮原浩暢、上遠野太洸、川久保拓司、大田翔、上原理生、駿河太郎、辻萬長 ほか
■公式サイト:https://www.tohostage.com/piaf2018/
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