いちばん最初に生まれたキャラは? いちばん悩んだのは誰? ゲームアプリ『アイ★チュウ』生みの親・伊藤ディレクターが制作秘話を語った!【前編】

『アイ★チュウ』生みの親が制作秘話を語った!【前編】

『アイ★チュウ』生みの親が制作秘話を語った!【前編】

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 『アイ★チュウ』といえば、リズムゲーム×乙女ゲーム×育成ゲームの要素を融合させた女性向けアプリ。キャラクターの多彩さや声優陣の豪華さ、さらに楽曲の豊富さなど、さまざまな魅力を兼ね備えており、40万ダウンロードを突破するほどの人気となっています。

 そんな『アイ★チュウ』は、どのようにして生み出されたのでしょう? リリースから4か月が経とうとしている今、真意を聞いてみたい……!というわけで、本作をゼロから立ち上げた、リベル・エンタテインメントの伊藤 舞ディレクターを直撃。根掘り葉掘り伺ってきました。本稿はひとまず【前編】と題し、企画の成り立ち、キャラ付け、シナリオ制作についての裏話をお届けします。


■ 「アイドルになる途中=アイチュウ」は後付けだった!

――そもそも、『アイ★チュウ』の企画はいつ頃生まれたんでしょうか?

伊藤 舞ディレクター(以下、伊藤):今から2年くらい前です。まだ今の会社(リベル・エンタテインメント)に入社する前の話なんですが、当時はネイティブアプリが各社ではやりだした時期で、とくにチェインクロニクルさんをきっかけにして女性ユーザーも増えだしていた頃なんです。その頃に、「女性向けの面白いアプリを作りたいな」と思い、立ち上げたのがはじまりです。アイドルをテーマにしようと決めたのも同時期ですね。


――アイドルって、わかりやすいアイコンですよね。対象として見やすいというか。

伊藤:そうなんですよね。ただ、当初は別の名前のタイトルで進めていて、コンセプトもちょっと違ったんです。それを、略して「アイチュウ」って呼ぶようになった頃から「『アイチュウ』のほうがかわいらしい」という話になり決定しました。そのタイトルで確定してからは方向性にも影響してきました。


――ってことは、「アイドルになる途中=アイチュウ」っていうのは後付け?

伊藤:実はそうなんです。もともとは“完璧なアイドル物”も想定していたんですが、肉付けしていくうちに「完璧なアイドルより、育成段階を経たほうが一緒に育っていく感じがするんじゃないか」と思ったんです。

――確かに、アイドルって不完全な方が魅力的っていうのはありますよね。成長していく過程を一緒に見ていくのが楽しい。

伊藤:最初から完璧な存在だと、「完璧で当たり前」という感覚が定着します。そうじゃなくて、キャラクター、一人ひとりをもっと広い視野で見てもらいたかったんです。そのためには、成長過程を追ってもらえたほうが良いのかなと思いました。ユーザーさん毎にキャラに芽生える感情もそれぞれ違うと思うので過程を楽しんでいただきたいですね。


――コンセプトが固めるまでに、いろんな考えが巡っているんですね。

伊藤:ゲームの内容に関しても当初はタテ持ちのパズルゲームにしようと動いていました。しかし、最終的にリズムゲームに落ち着いたという経緯があります。そうして、2014年の6月にプロジェクトとして本格的に始動しました。キャラクターを増やしだしたのもこの頃ですね。


■ 制作初期のイラスト案から見る、キャラを生む難しさ

――いちばん最初に生まれたキャラは誰なんでしょう?

伊藤:愛童星夜ですね。星夜は、2年前の企画立ち上げの段階からいたので、いちばん古い付きあいです(笑)。企画書を作る上で、キャラがいるのといないのとでは見栄えが違うから、できるだけ固めておきたかったんです。なので、当時から性格もビジュアルもわりとハッキリ決まっていました。例えば、このビジュアルは、企画立ち上げ当初からあるいちばん古いものなんですけど……。


――すごい、本当にほとんど変わってないですね!

伊藤:若干顔立ちの修正はあったんですけど、今とほぼ変わらないですよね。


――星夜は、昔も今も『アイ★チュウ』の軸と言える存在なんですね。

伊藤:プレゼン資料にもずっといましたからね(笑)。もちろんどのキャラクターも大好きですけど、星夜はまた違った思い入れがあります。


――では、次に生まれたのは誰?

伊藤:湊奏多と御剣晃です。その次にTwinkle Bellの2人です。この2つのユニットを作ってから、残り6組(I♥B、ArS、POP'N STAR、Lancelot、RE:BERSERK、天上天下)を一気に作りました。やっぱりリズムゲームなので、このくらいの人数は必要だろうと。キャラが生まれた順番は、発表順とほぼ同じですね。


――なんだか簡単そうに聞こえてしまいますが……今挙げただけでも総勢27人。これだけ多いと、キャラ付けには相当苦労しますよね。

伊藤:6組を一気に考えたときは、さすがに大変でしたね。キャラクターの設定を決めて、イラストレーターさんとやりとりして、あがってきたイラストをチェックして必要あれば修正して……という作業を6組分繰り返しやってたんですけど、トータルで2か月はかかってます。


――全部同時進行ってことですよね!? ごちゃごちゃになってキャラがカブったりしそうですが……?

伊藤:あ、でも同時にやったからこそカブりが防げたと思います。同時に進めていたのでカブってるキャラには気づきやすかったです。たぶん、時間をおいたほうが忘れちゃう気がしますね。


――なるほど……!

伊藤:それに、カブらないように個々の特徴を3つずつピックアップしていったんです。例えば星夜なら、「王道」「金髪」「元気」という具合に。そこからイメージをふくらませていって、各イラストレーターさんとブラッシュアップしていきました。あとは、社内の女性スタッフたちにも目を通してもらいました。


――いろんな人の目を通して洗練させていったんですね。では、実際にカブりそうになったキャラクターはいました?

伊藤:特定してもいいですかね。(資料を出しながら)この子、わかりますか?

――王冠つけてますね……。んーー誰でしょう?


伊藤:海部子規(ArS)なんですよ。


――えっ! 今と全然違いますね。なんだか気弱そう!

伊藤:当初は、ナヨナヨしたキャラで考えていたんです。でも、アキヲ(鳶倉アキヲ/ArS)とカブるんじゃない?という話になって、子規の設定を変えました。アキヲの引きこもりなところとか「アイドルになんてなりたくないよ」って言っちゃう性格はすごく魅力的だと思っていたから、できれば彼はイキにしたかったんです。イラストレーターさんともう一度打ち合わせをして、「申し訳ないんですけど、大幅に変えたい」という話をさせていただきました。


――それでできあがったのが、軟派なキャラクターだったと。

伊藤:陶芸家っていうのは当初から変わらないのですが、性格も顔立ちも今までの方向性を捨てて真逆にしました。だからかなりガラッと変わりましたね。初期案と最終案とで一番ギャップが大きいキャラです。


――6組同時にキャラ付けするのはキツそうですけど……こういう点にすぐに気づけて、「じゃあどの路線ならカブらないのか」を見い出しやすいのは大きな利点ですね。

伊藤:そうですね。あとは、キャラかぶりではないのですが、「より良いビジュアルにするためには」と再考を重ねたために、単純に時間がかかったキャラクターもいます。Lancelotなんですが。


――今よりも、衣装がだいぶ“アイドル”ですね。

伊藤:当初から「悪い大人を作りたい」っていうのはありましたが、どうやら私とイラストレーターさんの間で“悪さ”と“ジャズロック”のイメージが違っていたみたいです。イラストレーターさんは“ジャズロック”の“ロック”に寄せたイメージがあった為、当初は肌の露出が多かったんですよ。


――じゃあ、理想の“悪さ”に近づけていく作業が必要だったと。

伊藤:そこで再度話し合っているときに出てきたのが、ジャズ。「ジャズを演奏してもおかしくないようなグループにしたいです」と伝えて仕上げていきました。この過程で、髪色も落ち着かせていきましたね。あとは、帽子をつけて物足りなさをなくしたり、一誠(轟 一誠)に肩がけをさせてよりリーダーらしくみせたりといった調整も。そうしていたら、いちばんやりとりが多くなったんです。


――では逆に生みやすかったのは誰ですか?

伊藤:それはもう、星夜とか最初の5人(F∞FとTwinkle Bell)なんですけど……彼ら以外でいうなら、心(華房 心/POP'N STAR)ですかね。この子はやっぱり突出して違うので(笑)。


――確かに! カブる心配もなさそうです。

伊藤:とはいえ、当初と今とではこのくらい違うんですよ。


――色味や全体的なイメージはほぼ同じですけど、ところどころが変わってますね。

伊藤:イラストレーターさんは「イメージは妖精」と言っていて、それは私にもすんなり入ってきたので、じゃあよりかわいらしい妖精にしていこうと熟考していった感じです。だから大元は変わっていません。いちばん最初にもらったのはこの案(画像手前)なんですが、スカートが長くてアイドルらしさが弱く、おしとやかさが出過ぎちゃってるかな?と思ったんです。なので、スカートを短くしてもらったり、仕上げの色味をもっと鮮やかにしてほしいなどの要望を出しました。


――そこらへんのこだわりが女子に対するそれですね(笑)。イラストレーターさんはさといさんとのことで。さすが、とってもかわいい女の子です。

伊藤:もちろん、さといさんの描く男性キャラクターもかっこいいのですが、女性キャラが本当にかわいいなと個人的に思ってたんです。制作を依頼したら「男の娘を描く機会なんてもうないだろうから」ってことで受けていただけました(笑)。当初から、あと2人増やす想定はあったので、そのときからさといさんには心ちゃんがユニットを組む経緯とかも事前に説明していて、「なので後々2人追加をお願いすることになります」とは伝えていました。


――ここまで聞いた話だと、やっぱりイラストレーターさんとの密なやりとりが良いキャラを生む秘訣なんですね。

伊藤:もちろん。それでいうと、エヴァも印象的なキャラクターです。実は彼もキャラ付けに苦労したんですよ。


――意外! RE:BERSERKはとくにキャラが濃いから、心ちゃん同様迷わなかったのかと。

伊藤:キャラが濃いからこそ「もっと面白くできるんじゃないか」と思ったんです。衣装もこんなに豪奢だし、せっかくならもっと個性を付けた方が面白いと思い、最終的にショタジジイにしました。


――えっ! ショタジジイ設定って最初からじゃなかったんですね。

伊藤:そうなんです。当初はこの見た目通り17、18歳くらいだったんですけど、見直したときに「そのままじゃつまんないな」と思って、29歳に(笑)。


――一気に引き上げたと(笑)。そうして、彼もまたより際だつ個性を身につけました。

伊藤:見た目にインスピレーションを受けて、いい案が生まれましたね。これも、イラストレーターさんのおかげです。

 
■ 「アイチュウ同士の仲の良さは大切にしたかった」

――キャラを生み出すのも相当な労力をかけたようですが……聞くところによると、もっとキツかったのがシナリオだったと。

伊藤:私の役割は世界観監修ですが、何せ27人もキャラクターがいますからね(笑)。シナリオライターに発注をして、監修しての作業を何か月も続けていた記憶がございます。


――いちばん気を使った点ってどこですか?

伊藤:彼らはまだアイドルではないので、「どのように“成長”を見せるか」というところは悩みました。そもそもソーシャル物のシナリオって、短かいストーリーを徐々に読み進めていくことが多いんです。『アイ★チュウ』もそうなので、1話の中でガッツリ書くことが難しいんですよ。それに登場キャラが多すぎると、ごちゃごちゃしてわかりづらくなってしまうので……。そこで思いついたのが、星夜を軸にして展開させていく方法。こうすれば各ユニットも登場させやすいし、序盤では紹介という意味合いにもなるので見せやすくなります。成長を描く段階になっても、星夜が軸になっていればまわりのキャラの事も見せられるかなと思いました。


――そのおかげか、星夜を中心にいろんなキャラクターのやり取りが見られるようになっていますよね。キャラ同士が仲良しで、見ていてホッとします。

伊藤:たぶん、この先にはユニット間での衝突とかアイドル界の厳しさとかも生まれてくるかもしれませんが、やっぱりアイチュウ同士の仲の良さは大切にしたかったんです。辛いときにはグループ間でフォローしたり、壁に直面したらライバルの存在が支えになったりと“一人じゃない心強さ”を出したかったんですよ。いわゆる、少年漫画のような。


――努力、友情、勝利のような。

伊藤:そうです!そういうところから生まれる楽しさっていうのは、これからも忘れたくないですね。今後は、先輩後輩の関係をもっと出していきたいとも考えています。メインストーリーはもちろん、イベントストーリーとか各媒体のインタビューとかでも見せていけたらいいなと思います。

【つづきは後編で!】
※後日掲載予定

 
[取材&文・松本まゆげ]


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価格:基本プレイ無料(一部アイテム課金制)
カテゴリー:恋愛リズムアドベンチャー
対応OS:iOS/Android ※機種によりご利用頂けない場合があります。
 



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