ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』再演決定　主演・川平慈英に霧矢大夢「演技してました？ ピッタリ過ぎて！」と絶賛

2019年11月から東京・シアタークリエにてミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が上演される。2017年の初演に続き再演となる本作の取材会が6月28日（土）都内にて行われ、出演者の川平慈英、浦井健治、霧矢大夢、夢咲ねね、そして演出の白井晃が出席した。

本作はティム・バートン監督による映画『ビッグ・フィッシュ』をもとにしており、脚本をジョン・オーガスト、音楽・詞をアンドリュー・リッパが手がけたミュージカル。2017年には、東京・日生劇場にて行われたが、今回はシアタークリエに移し、キャストも12人に絞って上演される。

まずは白井からご挨拶。「初演の楽日には、この作品とお別れしなければならないのは非常に寂しいと思っていたが、再演が決まり心から嬉しく思っています」と思い入れを述べつつ「前回は22人の出演者だったが今回はメインキャスト12人に絞ってこの作品をやりきります」とリニューアルポイントを説明した。

本作の主人公、エドワード・ブルーム役の川平は「2年4ヶ月。あっという間な感じだった気がします」と振り返り、「メインメンバーが前回から変わらず集まって、素直に嬉しいです」と喜びを口にした。が、初演時は長丁場で「生きて楽日を迎えられるか（笑）」と思いながらも何とか乗り切ったと語ったが「今回も長丁場！ 厳しい日程で」と思わず声を上げて笑い、「一度白紙に戻して作り上げたい」と意気込みを見せた。

エドワードの息子・ウィル役を演じる浦井は、「僕もまた出来たらなあと思っていた作品だったので、（再演の報を受け）嬉しかった。メインキャストがすべて変わらないという点について、皆が大好きな作品なんだなと感じました」と川平と同じ心境であると話した。主役・川平の座長ぶりについて「前回の稽古の時は川平さんが大変だと言いながら、エネルギーに溢れていました。休憩に入ると『クゥー！』と言いながらサッカーを始めて（笑）」と話すと川平は「妻（霧矢）にボールを没収されました（笑）」と横からアシスト。さらに浦井は「本番中の楽屋も川平さんと隣だったんですが、『ヒュー』『クーッ』などずっと喋り続けていた」など舞台裏を明かし、川平と笑いながら当時を振り返っていた。再演では「父との新曲が1曲増えるので、心して頑張りたいと思います」と改めて気合いを入れていた。

エドワードの妻であり、ウィルの母であるサンドラ役の霧矢は「（初演の）千秋楽では“ビッグ・フィッシュロス”になるくらい音楽が頭の中を流れ続け、寂しさを感じていた」と胸中を述べる。「新バージョンという事で、よりギュッとドラマが締まって感動的な家族のストーリーを皆さんに再びお届けすることができるかと思います」と、見どころを口にした。

そしてウィルの妻となるジョセフィーン役の夢咲は「出演している側なのに毎回心を打たれて、この作品は凄いと思っていました。観てくださった方もすごく良かったと言ってくださった」と初演時に想いを馳せる。続けて再演について、「前回観られなかった方たちが『観たかったんだよ！』と言ってくださるのが凄く嬉しくて。プレッシャーはありますが、またこのブルーム家にお邪魔出来るのが嬉しいです。一生懸命皆さまについて頑張っていきたいと思います」と微笑みを浮かべた。

質疑応答では、川平以外のキャストにエドワードとしての川平の魅力とは？ という質問が寄せられ、“妻”の目から霧矢は「エドワードは慈英さんしか考えられない。ぴったり過ぎて。『演技してました？』というぐらい（川平が大笑い）。お話上手で稽古場でも合間合間でずっと楽しいお話をしてくださった。気が付くといつも慈英さんを皆で囲んで話を聴いていた」。その言葉を聴いていた川平は「僕に『黙れ』と言うのは『死ね』って言っているようなものだから」とニヤリ。また浦井は川平と霧矢が本当の夫婦のようだったと話し「打ち上げの場で（二人が）ハグしたまま離れない姿を見て、感慨深かった」とコメントして川平と霧矢がまた笑顔を浮かべていた。 

川平は「エドワードのどのあたりが自分に近いか？」と聞かれ、「小さい話をでっかくするところ」と言いつつもあまり自覚はないようで「人から『あのシーンが慈英っぽい』と言われてそうなんだ、と気が付くくらい。余計な事を考えている余裕がなくて、フルスロットルで生き急いでいる感じだった」と困りながらコメントしていた。

白井は作品について「この作品は奇想天外な話ではあるんですが、実のところはどこの家にでもある親子の確執や和解の話。皆さんに観ていただき、自分たちと近い話であると考えていただければ」と見どころに触れつつ、「自分で演出していながら毎回最後で涙ぐんでしまうんです。そのくらいの感動を得ていました」、そして「この再演は『東宝として再演をしなければならない作品だと思う』と東宝さんからおっしゃっていただき、その道を模索していただいた結果が今回のバージョンとなります。キャスト・スタッフ共々、この再演を実現しなくてはいけないと思えた作品だと思います。皆が愛している作品を皆さんにもっと届けたい」と力強くアピールした。

取材・文＝こむらさき