「スプラトゥーン」が1ヶ月で世界累計販売数100万本突破!! なぜこんなにも受け入れられたのか?

コラム
アニメ/ゲーム
2015.7.13
 ©2015 Nintendo

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「スプラトゥーン」が1ヶ月で世界累計販売数100万本突破!! なぜこんなにも受け入れられたのか?

 任天堂発売の家庭用ゲーム機「WiiU」用ソフト「スプラトゥーン」が絶好調だ。5月28日に発売された本作は初週売上14,4万本を記録、その後も順調な売上を見せ、4週目累計本数を30万本を記録。さらに6月24日には公式twitterにて全世界累計販売数が100万本を超えたと発表した。

 「スプラトゥーン」とは、任天堂より発売のアクションシューティングで、4対4に分かれて制限時間以内にステージにインクを塗りあい、より多くのステージを塗るか、もしくは特定のエリアを取った時間が長い、もしくはヤグラとよばれる施設を制圧し続けたほうが勝ちになるゲームである。プレイヤーはイカをモチーフにしたキャラクターで、地面や壁に塗ったインクの中を泳ぐことが出来る。その独特かつ、動かしていて楽しいアクションが特徴だ。

 普及に苦戦しているWiiUで販売され、なおかつ続編ではない新規タイトル、しかもアクションシューティングという、ライトユーザー向けではないジャンルのゲームではない「スプラトゥーン」で何故このような好調な売上を見せているのか。その成功の秘訣は分かりやすい、誰でも、手軽、逆転、という4つのキーワードである。

見た目のわかりやすさで幅広いユーザー層を獲得

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  本作はステージにインクを塗るゲームだが、このゲーム性が斬新ながら非常に分かりやすく、更にインクを塗っているゲーム画面が非常に画面映えするため、見る人の興味を引きやすかったのも大きな勝因だ。渋谷の街をインクで塗りたくるCMは非常にインパクトが強く、あのCMで興味を持った方も多いだろう。 

 

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  その他に、従来のFPSのようなアクションシューティングゲームと違い、コミカルなキャラクターを採用したおかげで、普段この手のゲームをプレイしない層にもアピールできたことが大きかったように思う。このようなアクションシューティングをプレイする層は、普段熱心にゲームをプレイするコアユーザーが多めで、任天堂が得意とするライトユーザーのゲーム層とは合わない傾向にあるが、そんなジャンルのゲームにライトユーザーを引き込むことに成功したことが、今回の成功につながっている。

ライトユーザーからヘビーユーザーまで誰でも活躍できるゲーム性

 本作のオンライン対戦は「ナワバリマッチ」と「ガチマッチ」の2つがあり、ナワバリマッチではステージにインクを塗った総面積で勝敗が決まる。ナワバリマッチにおいて勝つのに重要なことは相手チームのプレイヤーを倒すことではなく、いかに生き残ってステージにインクを塗ることが出来るかとなっている。極端な話、相手プレイヤーとの戦闘は全回避してインクを塗り続けることで勝利することも可能だ。さらに、対戦終了後は相手を倒した数や死亡数も表示されるが、直接評価されるポイントは塗った面積だ。これらの要素から、立ち回り次第で誰でも活躍出来るということがライトユーザーにも嬉しい要素となっている。また、ステージを塗るという行為そのものが、自分の貢献を視覚でダイレクトに伝えてくれるため、プレイしていて気持ちいいということも大きな要因だ。ナワバリバトルでは勝っても負けても塗った面積分はランクポイントと装備などに使うお金がもらえる点も嬉しい。

 一方、「ガチマッチ」ではガチエリア、もしくはヤグラを巡って戦うルールで、1箇所を巡って争うため、必然的にぶつかり合いが激しくなるルールとなっている。また、ガチマッチでは勝った場合のポイント入手量が増えている代わりに負けた場合ほとんどポイントが貰えない。その結果、ライトユーザーはナワバリバトル、ヘビーユーザーはガチマッチと、住み分けがなされているため、ライトユーザーが勝てずにやる気を失うというパターンが起こりにくい。

 

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  その他にも、普段アクションシューティングをプレイし慣れておらず、射撃の命中精度が良くない人のために、直接体当りするローラーや、近距離で撃つことで無理矢理当てられる武器があることも嬉しい。このように、どんなユーザーでも楽しくプレイできるように工夫されているといえる。

いつでも手軽にプレイできる安心感と、ユーザー同士の気軽な交流

 本作のプレイ時間はナワバリバトルが3分、ガチマッチが5分と短めに設定されているため、空いた時間などにさっとプレイできる気軽さがある。忙しくなってソーシャルゲームなど空いた時間に気楽にできるゲームが求められるようになった現代の日本人には嬉しい要素だ。

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  その他に、オンラインゲームにおけるユーザー間のやりとりに使われるロビーのような場所が本作にも存在するが、そこでの簡単なイラストやメッセージでのやりとりも特徴で、この間接的なやりとりが、近すぎず遠すぎずの絶妙な距離感で心地よい。また、本作のこのイラスト投稿機能では、発売直後から大量の絵かきが発生しており、このイラストを見学しているだけでも面白く、毎日ゲームを起動したくなる雰囲気を作り出しているのも、発売から1ヶ月以上過ぎた現在でも勢いが衰えない理由にもなっていると思われる。

逆転要素を強めたことでオンライン対戦ゲーム共通の悩みを解決

 本作の対戦ルールは、どれも数十秒で形成が逆転することも珍しくなく、さらにガチマッチ時には負けている側がエリアかヤグラを制圧している限り、延長線でゲームが終了しない。そのことから、最後まで勝敗が分からず、負けてる側は諦めず、勝っている側はダレずに最後までプレイできる。このように、逆転要素を強めたことで、全ての対戦プレイヤーが時間いっぱいまで対戦を楽しめるように工夫されているのが本作の対戦ルールだ。

 このように、逆転要素を強めたことから、オンライン対戦ゲームにおける共通の悩みである「負けが確定したことによる回戦切り」という問題を和らげることに成功した。過去に登場したあらゆるオンライン対戦ゲームは、これまで幾度と無く負けが確定してからの回線切りに悩まされ続け、その結果、回線切りへの対処を求められてきた。本作でも一応腕前ポイント(ガチマッチのマッチングを決める専用のランク)が少し下がるという緩い制限はあるが、それが無くても大丈夫と思わせるほどに回戦切りは少ない。少なくとも私がこれまでプレイした中であからさまな回線切りだなと思われる回線切りは数えるほどしか発生していない。このように、長年のオンライン対戦ゲームの命題に、このような形で回答を見出したゲームは今後の回戦切りとの戦いに大きな1歩となるだろう。

今後のゲーム業界の希望を背負ったスプラトゥーン

 誰でも入りやすく、そして誰でも長く楽しめる工夫がなされている「スプラトゥーン」。今現在、頻繁にステージや武器、ルールの追加などを行っており、今後も楽しみなゲームだ。昨今の新規ゲームが売れにくい風潮で、なおかつWiiUという苦戦しているハードで、ここまで受け入れられたゲームの存在は、良いゲームを作り、効果的に宣伝すれば結果は帰ってるということを証明してくれた。これは、今後のゲーム業界にとって大きな希望になったと私は感じている。

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