モルゴーア・クァルテット ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全15曲演奏会

モルゴーア・クァルテット ©Norikatsu AIDA

モルゴーア・クァルテット ©Norikatsu AIDA

大晦日に聴くショスタコのクァルテットの全貌

 ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は、かつては実演の機会があまりなかったが、そんな時期の1992年、「ショスタコーヴィチを演奏するため」にヴァイオリンの荒井英治を中心に結成されたのがモルゴーア・クァルテット。度々の全曲ツィクルスなど名演を重ね、ついには“ショスタコはモルゴーア”という地位を築くに至った。さらに、そのプロセスで作品群の人気も上昇、今世紀にはプロ団体ばかりかアマチュアも積極的に取り組む対象までになった。モルゴーアが果たしたショスタコーヴィチ受容への貢献は計り知れない。

 ところで、「ショスタコーヴィチ全15曲一日完奏」は、国内ではこの10年でアメリカとロシアの団体が達成しており、わが国の誇る4人、モルゴーアのチャレンジはあるのか、ファンはかねてから注目していた。それが、この大晦日、ついに実現する。しかも13時に開始して年越しまでしてしまうという、約半日にも及ぶ一大イベントだ。メンバーは結成23年の経験すべてを賭ける「一世一代」の意気込みとのことで、ショスタコ・ファンもモルゴーア・ファンも、大晦日の横浜は要注目だ。

 ハ長調の柔和な旋律で始まる第1番から、悲痛な変ホ短調の響きの中でヴィオラのトリルが虚空に消えていく第15番の幕切れまで、ショスタコーヴィチの生涯を一日でたどる旅の充実感は格別。また、予定では年をまたぐ瞬間は第15番演奏中に迎える可能性があり(24:30終演予定)、理想の演奏で作曲家最晩年の孤高の美に浸りながら、最高にシリアスで濃密な年越しの場を体験できるに違いない。

文:林 昌英
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)

 

モルゴーア・クァルテット ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全15曲演奏会
12/31(木)13:00
横浜みなとみらいホール(小)
問:横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000
http://www.yaf.or.jp/mmh

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