中国の伝統芸能「変面」を使った現代劇『王文強の「変面の世界」』12月に上演が決定
『王文強の「変面の世界」』
2021年12月20日(月)~ 12月22日(水)銀座博品館劇場にて、日中国交正常化50周年特別企画 アジア芸術文化促進会プレビュー公演『王文強の「変面の世界」』の上演が決定した。
「変面」は、約300年前に『川劇』という地方劇の中の演出技巧の一つとして発案されたもので、その後は芝居に用いられなくなり、瞬時に変わる変面の部分のみがショー化され、今日に至っている。
2022年の日中国交正常化50周年記念の機会に「変面」の原点に立ち戻り、しかも現代劇に変面を取り入れるといった今まで舞台人が成し得なかった試みを計り、また伝統的なショーにも新たな創意工夫で「新しい変面ショー」のありようを探る画期的な公演を目指す。
「変面」は中国の国家機密となり、その仕掛けを知ることができない日本のスタッフと中国の伝統芸能俳優の日中共同コラボによる本公演は、先駆的な役割を果たすことになるだろう。まずは12月にプレビュー公演として試み、さらに手直しして2022年の本公演後、中国公演を実施、さらに世界各国で上演する計画だ。
演目は、『変面Show upショー』、映像作品『東京の現代風景と変面』、変面一人芝居『マスク氏の冒険』。
『変面Show Up ショー』は、伝統的で一般的な変面ショーの中に現代的でコミック風な要素を取り込んだ新しい変面ショー、『映像作品・東京の現代風景と変面』は、日本の風景と変面の親和性を追い求め続けている王文強の世界観を映像化した作品となる。
そして今回の公演の目玉作品といえる変面一人芝居『マスク氏の冒険』では、「変面」を現代劇にどのように融合させるか、また長年様式的な表現をしてきた中国の伝統芸能俳優が日本語で、しかも現代劇に取り組んだ作品となる。
本作は仮面劇・音楽劇などで定評のある加藤直の書き下ろし・演出作品。仮面売りのマスク氏が「仮面を被るべきか取るべきか。でも仮面を被れば何かが起こる」と夜の都会をさ迷い歩く…現代社会の孤独・欲望・滑稽さなどを扱った作品で、中国では珍しい「一人芝居」となる。
公演情報
『変面Show upショー』(構成・振付:王文強・清光みゆき)
映像作品『東京の現代風景と変面』(構成:山本晶)
変面一人芝居『マスク氏の冒険』(作・演出:加藤直)
2021年12月 20日(月)19:00
*開場は開演の45分前より
■会 場 : 銀座博品館劇場
■入場料 : 一般前売: 4,000円、当日4,500円
学生前売: 3,000円、当日3,500円 *前売り中
■出演者:
王 文強
見谷 聡一(パーカッション)
1986年生まれ。12歳より中国伝統劇を学び、安徽省胴陵市芸術院の黄梅劇役者として舞台経験を積み、2009年から国立中国戯曲学院で創作法や演出法を学ぶ。2014年に来日。日本大学大学院芸術学研究科舞台専攻に入学、京劇と歌舞伎などの古典芸能研究を行う傍ら国際文化交流などに関心を抱き、2018年に「一般社団法人アジア芸術文化促進会」を設立。日中青少年交流活動などアジアの文化交流に尽力している。主な出演作品:日中合作劇「羅生門」(2019年)、長崎孔子廟「文化的な夜遊び」(2020年)、ワンアジアフェスティバル(2021年)など多数。現在、アジア芸術文化促進会代表、豊島区国際アートカルチャー特命大使・日本徽商協会理事。
70年「68/71黒色テント」(現黒テント)の創立に参加。劇団での作・演出活動を中心に、80年代中頃からは劇団外でも、オペラ、演劇、ミュージカル、コンサート、合唱と多肢にわたる活動を開始する。95年同劇団を退団。ホリプロミュージカル「ピーターパン」、「沢田研二ACTシリーズ」などのロングランを重ねたエンターテインメント作品を手掛ける一方で、『ひかりごけ』(神奈川芸術文化財団)、『罪と罰』(新国立劇場)など多彩なオペラづくりにも取り組む。また「オペラシアターこんにゃく座」などの先見的な集団と長期的にわたってオリジナルオペラや合唱オペラなどの合唱劇作りにも取り組み、特に仮面を使うコメディア・デラルテの道化芝居『アルレッキ―ノ』はロングラン作品となり話題を集めた。2010年から松本市民芸術館で「まつもと演劇工場」工場長を務める一方、公演作品『西遊記』などで積極的に仮面を使い、独自の仮面劇作りにも挑戦している。近代における「表現」のあり方を検証していく鋭さとともに、物語を俯瞰しながらも暖かくみつめ、知的なスラプスティックに仕立てていく丁寧な作品づくりに定評がある。著作:戯曲『シュールレアリズム宣言』『ガリガリ博士の異常な愛情』(いずれも而立書房)他。翻訳に『絵本 ジョン・レノンセンス』(晶文社)他。オペラシアターこんにゃく座作品で芸術祭賞受賞。