高橋怜也&蔵田尚樹「新テニミュは“夢の舞台”です」~ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stageインタビュー
(左から)蔵田尚樹、高橋怜也
“テニミュ”の新たなシリーズ、ミュージカル『新テニスの王子様』。2020年12月に幕を開けた第一弾「The First Stage」に続き、2022年1月より待望の続編「The Second Stage」が開幕する。この新テニミュで描かれるのは中学選抜メンバーとU-17(アンダーセブンティーン)選抜メンバーとの想像を超えたテニスバトルだ。
今回、中学選抜メンバーより「The First Stage」にも出演した跡部景吾役の高橋怜也と、今作より参加の仁王雅治役の蔵田尚樹が登場。まだ誰も知らない新テニミュ最新作に向け、さらなる未知の世界へと分け入る期待にざわめく心の内を語り合ってくれた。
ーー新テニミュのキャストはオーディションで選ばれていると思いますが、改めて出演が決まるまでを振り返ると、どんなことが思い出されますか?
高橋:決まった時はとにかく「嬉しい」と「不安」が半々でしたね。もともと『テニスの王子様』は大好きで原作も読んでいましたし、ゲームもやっていて……その作品で“跡部様”を、作品を代表するようなキャラクターの一人を演じるのって、やはりすごいことだと思っています。人物設定も、お金持ちで、ヘリにも乗っていて、200人の部員を束ねているとか規格外。「自分に務まるだろうか」という思いもあったけれど、最初から跡部景吾役一本で受けさせてもらっていましたし、オーディション中は本当に死に物狂いでした。「出たい」「やりたい」「絶対に勝ち取りたい」って気持ちだけは強くあったので。
蔵田:(頷く)。
高橋:ナルシストな面とか僕自身とはかけ離れたところもたくさんあるけれど、自分の中だけでなく、色々なところから要素をかき集めて挑みました。決まった嬉しさと同時に「僕が? ホントに?」って(笑)、思わず自分に問いかけてしまったのも覚えています。
高橋怜也
蔵田:やっぱり決まった時の嬉しさは大きいですよね! そしてその次に思うのは、「この大人気のテニミュに仁王として出演する自分のことをファンのみなさんが受け入れてくれるだろうか」という不安でした。
高橋:(大きく頷く)。観てくれる方のことはやっぱり一番に考えましたね。
蔵田:僕は身長と血液型が仁王と一緒だったので、オーディションでも「AB型ならではのところを生かすぞ」って(笑)、そこはちょっと心の支えにしていました。あと友だちにも普段の性格は仁王っぽいよねって言ってもらえたり。
高橋:え、よくイリュージョンしてるの?
蔵田:ま、その節はちょっとありましたね。
高橋:おぉ〜! やばい、これから騙されまくりそう(笑)。
蔵田:ウソです(笑)。イリュージョンはしないですけど、僕は不器用なところがあって、人並みに何かをやるにはみんなの2倍3倍努力しないと到達できないなって思っているんです。さらに人並み以上に秀でた力をつけるには、そこからまた努力が必要だし……で、「努力」する気持ちは仁王にもあって、見ていてホントに「すごいな、努力の人だな」と思うので、そこにとても共感しています。
ーー自分が強くなるために周囲の人のいいところを見て、盗んで、自身の力に変えようとしている「努力」の結果が、仁王の特技イリュージョンであると。
蔵田:そうですね。あとオーディションは期間も長いから、決まるまでの間はずーっと緊張して、ずーっとソワソワしていました。さらにビジュアル撮影をしてそれが解禁になるまでも、またソワソワで(笑)。
高橋:それもわかる! みんなに見てもらえるまでなんとも言えない気分でした。
ーー高橋さんは一足先に「The First Stage」で本番を経験しました。跡部を演じた日々はいかがでしたか?
高橋:前回公演は対戦相手の入江が相葉裕樹さんと泰江和明さんのダブルキャストで、どちらもBD/DVDに収録されているんですけど、和くんとの試合は初日の収録で、今観るとすごく初々しいというか……自分が思い描いていた跡部景吾に持っていけていないような気持ちになってしまって、個人的には稽古の中でそこまで仕上げきって初日に臨めなかったという悔しさを感じています。もちろん、毎回自分のベストを出しながら公演を重ねていくことで更新されていくモノは確実にあったけれど、お客様にとってはどの公演もその方の一度きりかもしれないと考えると、あそこでもっと上のパフォーマンスをお見せできなかった悔しさはやはり忘れられません。
ーーやり遂げたからこそ向かい合えた「正直な気持ち」ですね。
高橋:はい。でも周りの方やお客様に「公演中どんどん進化していったね」と言っていただけたのはすごく嬉しいし幸せだったし、みんなに支えられて成長できたんだなって実感しています。相葉さんや和くんは本番の休憩中とかにもいつもアドバイスや感想を言ってきてくれて……まだまだ未熟者ですし跡部として舞台に立たなきゃいけない緊張感はもちろんあるんですけど、毎公演本当にそこに居ると幸せな気分になれて、とても貴重な体験をさせてもらいました。ほんとにもう……最高でした! めちゃめちゃ疲れましたけど(笑)。
蔵田:怜也くんは跡部でした。観ていてカリスマ性を感じました。
蔵田尚樹
高橋:いやいやいや(照)。
蔵田:新テニミュは歌のレベルがすごいですよね! グランドミュージカルのような雰囲気で……「The First Stage」、僕は映像でしか観ていないんですけど、それでもみんなが歌い上げるところとかちょっと鳥肌たってしまって。完成度に驚いたし、感動しました。ああ、これは劇場で生で聴きたかったなぁ〜って。でもそれを今度は自分がやるんだって考えると「やばい!」ってプレッシャーも感じてしまうし、特に今回は跡部とのダブルスなので、怜也くんの足を引っ張らないようにしっかり準備しなくっちゃって。
高橋:いやもうそんな、こちらこそよろしくお願いします、です。
ーーでは「The Second Stage」に向け、それぞれに抱いている目標、キャラクターとして表現し伝えていきたいと考えているポイントはどうでしょう?
高橋:新テニミュって高校生がいる分、今までテニミュでキングとして君臨していた跡部がいい意味で中学生らしく見えてくるところも魅力だなって思うんです。年上の強豪たちに手玉に取られる……じゃないけれど、やっぱり跡部もまだ子供だなって感じられる一面が、自分にとっては跡部を演じやすくさせてくれた大きな要素でもありました。凄すぎない感じというか、年相応の泥臭さを出すことができて、そこに“自分が演じる新テニミュの跡部”を見つけられた。
ーー確かに先輩たちと対峙した跡部には今までにない新鮮な説得力とリアルがありました。
高橋:「怜也にしかできない跡部がいたよね」って言ってもらえることもありましたし、その言葉に「そう思ってもいいのかな」って、少し自信を持てるようにもなったので……今回もそういう跡部景吾を演じ続けたいですし、新テニミュで初めて露わになっていく“泥臭いけど美しい”跡部を追求していけたらいいなと思っています。
蔵田:仁王は新テニミュでは今回が初登場なので、“新テニミュの仁王”をイチから自分で創っていけることがとても楽しみです。もちろん、ここまで関東大会、全国大会と戦ってきたんだというところ、経験値のある仁王なんだという匂いを感じさせたいという思いもあります。やはりこれまで戦ってきた中で得てきた経験が今回の試合にも反映されていると思うので。
ーーイリュージョンと共に成長してきた仁王だからこその戦い方、そして跡部のさらなる活躍と二人のペアがどうなるのか。見どころは尽きません!
高橋:ホントに! イリュージョンの表現も、どうなるのか楽しみだよね。
蔵田:そこはまだ僕らも全然わからないですからね。1stシーズンの立海が出ているテニミュを観たことがあるのですが、やっぱり面白いんですよ、イリュージョン。「うわぁ、舞台ではこんな風に表現するんだ!」って、漫画ともアニメとも違う舞台の見せ方は僕自身も何ができるんだろうって楽しみですし、お客様もぜひどうなるのか楽しみに待っていていただければと思います。
(左から)蔵田尚樹、高橋怜也
ーー本格的なお稽古はこれから。本番に向けて今はどんな準備を?
高橋:テニスのフォームレッスンは始まっています。ラリーというよりラケットを持った型を身体に入れていく稽古なんですけど……コーチにかなりいじめられてます(笑)。愛のムチ。
蔵田:(爆笑)。
高橋:前回同様「太れ。持たないぞ」とも言われています。長期公演はやっぱり体力的なキツさもありますし、しっかりトレーニングしてちゃんと食べてても痩せてしまうくらいなので……もともと痩せ体質なのもあって、気にかけてくださってのアドバイス。とにかく今はしっかり食べて毎日走って、改めて基礎体力づくりに励んでます。
蔵田:それはすごく参考になります。僕も太れない体質なので……そうか、頑張って食べなきゃですね。あと僕は右利きなんですけど仁王は左利きなので——。
高橋:それ、テニミュあるあるだよね。リョーマ役の(今牧)輝琉も手塚役の(山田)健登も白石役の(武本)悠佑も、前回稽古では苦戦しながら本番では左利きでしっかりパフォーマンスしていたので、大丈夫。蔵田くんもいけると思います。
蔵田:ありがとうございます。左でちゃんとカッコよく見せられるところまで持っていくため必死でラケット振っています。頑張ります。あとご飯食べる時もお箸は左手でって思ってやってみたんですけど、それはちょっとあんまりうまくいかず……どうもご飯に集中できない(笑)。
高橋:ハハハッ(笑)。
ーー食べることも大切ですからね。
蔵田:はい。やっぱりご飯は美味しく食べたいのでそこは許してもらって(笑)、なんとかそれ以外の日常生活で慣れていければと思っています。握力鍛えたくてハンドグリップを買いました。それで頑張って左手鍛えてます。
ーーテニミュ、新テニミュと現在進行形で作品の歴史が繋がり続けている本作。ミュージカル『テニスの王子様』シリーズに感じている魅力についてもぜひうかがいたいです。
蔵田:テニミュはやっぱり“青春感”を感じられるところが好きですね。あとテニミュだから当たり前なんですけど、テニスの試合だけであれほどの舞台が創られているのって、やっぱり改めてすごいなぁと。ミュージカルだけど普通に試合を見ているような気持ちでのめり込めるところは、他の作品にはない唯一無二の感覚かなって思います。全部が楽しいです。
高橋:僕はずっと歌をやっているので、やっぱり歌、曲、歌詞……特に試合中のナンバーはすごく気持ちが乗ってどんどんアツくなれて大好き。そして新テニミュはやっぱり高校生の存在も大きくて、先輩方による歌の圧も倍増って感じでワクワクします。演じながら歌いながら心情が盛り上がっていくのはやっていて昂まりますし、周囲の大人たちの歌も素晴らしくて、その力強さと跡部たち中学生の若さがいい対比になってまだまだ青い跡部が上に上にと食らいついていく姿を見せられる。先輩方についていこうという気持ちで勉強になることがいっぱいで、役としても自分としても向上心がさらに芽生えました。この気持ち、ぜひ早く蔵田くんにも味わってほしいです。
高橋怜也
蔵田:楽しみです。新テニミュの先輩である怜也くんからも、たくさん学んでいこうと思います。
高橋:うわ、それは……いや、自分もまだまだだから、それはちょっと気まずいぞ。先輩とか、やりにくいから〜(笑)。
蔵田:(笑)。
ーーちなみにお二人でこうしてお話しするのは今日が初めてとお聞きしました。
蔵田:はい。跡部のイメージもあって、最初は怜也くん、怖い人なのかなぁって思っていたんですけど……。
高橋:ほんとに? でもほら、今日、意図せずコーディネートがリンクしていてなんかいいなぁって。
蔵田:そうなんですよ! 趣味が似てるのかなって、それはちょっと嬉しかった(笑)。もう怖くないです。
高橋:よかった(笑)。
蔵田:(笑)。僕は「The First Stage」を観て怜也くんもすごく歌がうまいなぁって思ったので、今回ダブルスの相手が僕で大丈夫なのかと不安もあって……プレ稽古でもなかなか話すチャンスがなかったですし。でも今日こうやって並んでお話できたのはすごくいい機会になりました。
高橋:うん。すごくありがたい時間になったよね。僕も蔵田くんの話を聞いて、真面目な姿勢に触れ「これはもう絶対いいダブルスができるぞ」って気持ちになっています。
蔵田:うわ、めっちゃ嬉しい……。
高橋:フフッ(笑)。「The First Stage」をやったときにも感じたのは、この作品はキャストたちがすごく切磋琢磨しあえるので、同じ仲間でも対戦相手でも絆が深くなるんです。今回はダブルのペア同士で励まし合っていけるって思うと僕もすごく嬉しい。今日でちょっと気持ちが近づけたかも。
蔵田:はい(笑)。僕は今回ミュージカルに出るのが初めてで、舞台もミュージカルも観るのはもともと好きだったんですけど、自分が挑戦するのはこれが初になるのでとにかく全力投球。悔いの残らないように……歌もダンスもここから本番に向けてどんどん上げていきたいと思います。
蔵田尚樹
高橋:舞台、楽しいです。自分はもともとアニメが好きなので2.5次元ミュージカルって素晴らしいコンテンツだなってすごく思っていて、その中で自分が一人のキャラクターとして生きていけることが楽しくて幸せでしょうがない。僕も初ミュージカルが新テニミュなんですけど、前回キャスト同士でいろんな話をしていた時に健登が僕に「ミュージカル、めちゃめちゃ合ってると思うよ」って言ってくれたのがすごく衝撃的で……。
ーー意外な一言でした?
高橋:なんか、「あ、いいんだ」って思ったんです。がむしゃらにやってて気がつかなかったけど、近くにいる人にそう言ってもらえたことで視界が急にひらけた。「そうか、よかった。これからもっとやりたいな」って素直に思うことができました。新テニミュの後、相葉さんが出演されているグランドミュージカルを和明くんと観劇させていただいて、ふたりで一緒に「うわ、こんな世界があるんだ。やばくない!?」って(笑)。お互い咄嗟に出た言葉が「この世界立ちたいよね」。
蔵田:おお〜。
高橋:もっともっとミュージカルを知りたい、もっともっとミュージカルをやりたいなぁって。まだまだほんと未熟なんですけど……そういう気持ちになれるモノ、楽しくて幸せなモノがミュージカルだなって思いました。
ーーもちろん新テニミュもそんな楽しくて幸せな気持ちをたくさんくれるミュージカル作品です。最後に改めて劇場に来てくださるお客様へメッセージをお願いします。
蔵田:関東、そして全国で戦ってきた中学生たちが団結してのドリームマッチ、その中での跡部と仁王のダブルス。原作を読んでいるだけでも胸が高鳴る物語の驚きの展開を、このミュージカルでも是非楽しみにして欲しいです。「The First Stage」に続き、それを超えるくらいの熱さをこのカンパニーでお届けしていきたい。ぜひぜひ観にいらしてください。
高橋:今回また再び跡部景吾としてこの世界に立てることがとても嬉しいですし、新たな中学生メンバーも加わり、いよいよ錚々たる顔ぶれのGenius10の高校生メンバーも登場します。彼らが来る! という興奮と前回に増しての熱い試合。そしてなんと言っても(アニメでCVを担当している)松山鷹志さんが、越前南次郎役!
蔵田:そうなんです!
高橋:それくらいにね、やっている僕らも観に来てくださるファンのみなさんも熱中できるいろんな要素と可能性が詰まっている“夢の舞台”がこの新テニミュだと思うので。
蔵田:(頷く)。
高橋:僕もその夢の舞台で「観てよかった」と思ってもらえるように励み、そして全員一丸となってこの「The Second Stage」を創り上げていこうと思います。もちろん仁王と跡部、僕らの試合が一番の試合だったと胸を張れる完成度でお届けできるよう一緒に戦いたい、です!
蔵田:もちろんです!
高橋:みなさん、是非楽しみにしていてください!
(左から)蔵田尚樹、高橋怜也
取材・文=横澤由香 撮影=iwa
公演情報
脚本/演出:上島雪夫
作詞:三ツ矢雄二
音楽:兼松 衆
振付:上島雪夫/井餘田 修
越前リョーマ 役:今牧輝琉、手塚国光 役:山田健登、亜久津 仁 役:益永拓弥、
跡部景吾 役:高橋怜也、真田弦一郎 役:吉田共朗、仁王雅治 役:蔵田尚樹、
丸井ブン太 役:川本光貴、木手永四郎 役:長塚拓海、遠山金太郎 役:平松來馬
越前リョーガ 役:井澤勇貴、徳川カズヤ 役:小野健斗、鬼 十次郎 役:岡本悠紀、
入江奏多(Wキャスト) 役:相葉裕樹 泰江和明、大曲竜次 役:畠山 遼、
君島育斗 役:樫澤優太、遠野篤京 役:輝馬、越知月光 役:楚南 慧、毛利寿三郎 役:丸山龍星
神奈川公演:2022年1月28日(金)~2月6日(日)KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
東京公演:2022年2月11日(金・祝)~20日(日)TOKYO DOME CITY HALL
大阪公演:2022年2月25日(金)~27日(日)メルパルクホール大阪
一般発売日:2022年1月10日(月・祝)10:00~
取扱い:イープラス
協賛:ファミリーマート
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公式HP https://www.tennimu.com/
テニミュ・モバイル https://sp.tennimu.jp/