小芝風花インタビュー 『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』自分なりのアートの楽しみかた
『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』展覧会ナビゲーター・小芝風花
2022年2月10日(木)から4月3日(日)まで、東京都美術館にて『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』が開催される。フェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》が、修復完了後、初めて所蔵館から抜け出し、隠されていた “キューピッド” がお披露目される機会とあって、開幕前から注目を集めている本展。展覧会ナビゲーターを務めるのは、女優・小芝風花だ。「実はこれまで美術館には行ったことがなかったんです」と真っ直ぐに話す彼女が、これをきっかけに知ったアートの魅力、また新年の抱負などを語ってくれた。
初めて美術館に訪れて知った「想像力をくれる場所」
ーー(インタビュー前に収録を終えて)お疲れさまでした。展覧会ナビゲーターとして音声ガイドの収録に挑戦されてみて、いかがでしたか?
めちゃめちゃ緊張しましたね。これまでもナレーションのお仕事をさせていただいたことがありますが、テレビのナレーションと音声ガイドは全然別物なんだなって改めて思いました。実はこれまで美術館に行ったことがなかったんですけど、今回初めて母と行ってみたんです。音声ガイドも聞かせていただきながら、周りを見てみると、進むペースが各々で違うな……と思って。テレビは映像とナレーションが画面から同じタイミングで出てきますが、音声ガイドの場合は、鑑賞者の皆さんの見るペースも、音声ガイドを聞くタイミングも違いますよね。一つの絵に対してどんな想いで鑑賞するか、イメージを持つかもさまざまなので、絵に集中したいときはスッと無くなるように、でも聞きたいときには心地よく聞けるようにしたいなと。なるべく皆さんの邪魔にならないようにしようと、収録に臨みました。
ーー今回をきっかけに初めて美術館に行ったのですね。
はい。今までなぜ行ったことがなかったかというと、知識がないと難しいものだと思っていたんです。どんな時代背景で作られたものだとか、どういう技法が使われているとか、絵画について詳しいことが分からないから、理解できないんだろうな……と思って、なかなか行くことができなかったんです。でも今回、初めて美術館に訪れてみて、知識がある・ないは関係なく、人によって楽しみかたが違ってもいいんだと感じました。例えば風景画だったら、ここは気持ちのいい風が吹いているんだろうなぁとか、草の匂いがするんだろうな、木の葉が擦れる音がするんだろうな……など、いろんな想像ができます。でも、シンプルに「この絵はキレイだな」でもよくて、難しいことを考えずに見ているだけでもとても楽しめるものなんですね。そこにプラスして音声ガイドで作品の説明もしてくれるので、「あ、今ここに注目すればいいんだ」と、鑑賞するヒントになってくれました。
ーー素敵な初めての体験でしたね。
実際に絵画を見て、何を表現したいのだろうと想像するだけでも、画家の皆さんの感性をお裾分けしてもらえるというか。美術館って、想像力が掻き立てられる場所なんだと思います。
ーーいよいよ『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』が開幕となりますが、小芝さんが実際に見てみたい作品は?
やっぱり《窓辺で手紙を読む女》です。キューピッドがあるとないとでは印象が違いますし、今回ニスが剥がされて色味がこれまでとも全然違うと聞きました。すごく鮮やからしいので、現物を見るのがすごく楽しみですね。
ーーこの女性が読んでいる手紙は、どんな内容だろうと想像しますか?
キューピッドが現れる前まではすごく悲しいイメージだったんですよね。(窓ガラスに)多分この女性が反射して映っているんですけど、最初は別の人に見えて。だから、あまりいい知らせではない手紙を読んでいて、身内の誰かが見守ってくれてるのかな……と、ちょっと寂しい印象があったんですけど、修復完了後の作品を見るとまたちょっと印象が変わりました。キューピッドは愛の象徴でもありますし、存在感がありますよね。でもこのキューピッド、仮面を踏んでいるという衝撃も……。とにかく、全然印象が違いますよね。
ーー“キューピッド”にちなんで、小芝さんが「愛しているもの」はなんでしょう?
うーん、フライドポテト! 本当に小さい頃から大好きで、いまだにめちゃくちゃ食べます。多分フルーツとかの盛り合わせより、「ポテからセット山盛り」のほうがテンションが上がります! 揚げ物が好きだし、イモ料理が好きですね。ポテトを食べたくなるとそれ以外考えられなくなっちゃいます。今日もマネージャーさんに買ってもらい、食べました(笑)。
芸能生活10周年を迎え、充実した2021年。今年はどんな年に……
ーー新年が始まりました。昨年の振り返りとあわせ、2022年はどのような年にしたいですか?
2021年はすごく充実して楽しい1年でした。携わらせていただいた作品も、自分の内に閉じこもっているような女の子や、ラブストーリーにも初めて挑戦させていただき、今まで演じたことがなかった役やジャンルに出会えた年だったので、本当に楽しかったです。しかも、『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(2021年1月放送)では脚本の橋部敦子さんが向田邦子賞を受賞したり、『彼女はキレイだった』(2021年7月放送)ではテレビジョンさんのドラマアカデミー賞(第109回)で主演女優賞をいただいたり。挑戦できただけではなく、それが賞として形に残していただいたというのがすごく嬉しかったし、実りのあった1年だったと思います。2022年は25歳になるので、オンオフをしっかりしたい。お仕事を頑張るときは頑張って、プライベートの時間は家族や友人と過ごす時間も大切にしつつ……。でも、もうそろそろ大人にならなければと思うので(笑)、見せ方や立居振る舞いなど、模索する1年になりそうです。また、今回初めて美術館に行ってみて、いろんな刺激をもらえることもわかったので、新しいものを見る・足を運ぶということももう少しできたらいいなと思っています。
小芝が見つけた「自分なりの美術館の楽しみかた」
ーー本展は、教科書にも載っているような有名画家の作品を美術館で鑑賞できる絶好の機会ですね。
教科書などに載っている作品は印刷されたものだから、やっぱり平坦じゃないですか。でも実物の油絵はたくさんの色を重ねて描かれていることで凸凹してたりと、印刷したものでは見られない、実際に見ないと知ることのできない点もあるので、楽しみですね。ぜひ皆さんにも、自分なりの楽しみかたで美術館を楽しんでほしいです。ちなみに私は、鑑賞した後にお気に入りの絵画のポストカードを買うというのがルーティンになりそう。私みたいに、今回どのポストカードを買おうかなぁと考えながら鑑賞してもいいですし、お気に入りの絵を見つけに行くでもいいですし。ぜひ音声ガイドを聴きながら(笑)、本展を堪能していただきたいと思います。
ーーアートファンはもちろん、美術館初心者の方々へ向けて、メッセージをお願いします。
フェルメールって、教科書にも載っている方ですし、すごく聴き馴染みがありますよね。そんなにアートの知識がない私でも、有名で人気の方だというのは知っていましたし、そういった意味では初心者でも楽しみやすい展覧会かもしれません。もちろんフェルメール以外の画家の方々の作品もあるので、「あ、この人の作品好きかも!」と新しく広がる世界もあると思います。ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。
小芝風花が展覧会ナビゲーターを務める『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』は、2022年2月10日(木)から4月3日(日)まで、東京都美術館にて開催。
取材・文=SPICE編集部 撮影=大橋祐希
展覧会情報
会場:東京都美術館 企画展示室
時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
休館日:月曜日、3月22日(火) ※ただし2月14日(月)、3月21日(月・祝)は開室
観覧料:一般 2,100円/大学生・専門学校生 1,300円/65歳以上 1,500円
※本展は日時指定予約制となっております。
※オンライン・プレイガイドでの予約が難しい方を対象に当日の入場枠を設けておりますが、ご来場時に予定枚数が終了している場合があります。
※高校生以下は無料(日時指定予約必要)。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(日時指定予約不要)。
※未就学児は日時指定予約不要です。
※高校生、大学生、専門学校生、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://www.dresden-vermeer.jp/
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、産経新聞社、フジテレビジョン
後援:ドイツ連邦共和国大使館、ニッポン放送
特別協賛:アース製薬
協賛:大和ハウス工業、NISSHA
特別協力:ソニー・ミュージックエンタテインメント
協力:ルフトハンザ カーゴ AG、ルフトハンザ ドイツ航空、ヤマト運輸