作・演出 石丸さち子×鈴木勝吾主演! 生きる喜びや輝きを見つけていく物語、S-IST Stage『ひりひりとひとり』が開幕へ

レポート
舞台
2022.6.10
 
『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

百名ヒロキ(玉木賢役):稽古初日からずっと自分の俳優人生にとって、とてもこの作品に携われることを俳優冥利に尽きる時間だと思っていたので、劇場でお客様と共有することが本当に楽しみです。
 
周本絵梨香(伊達夏子役):みんなで励まし合い、協力して白熱した稽古を重ねてきたので、本番の舞台上でどのようにそれが乗るのか楽しみです。
 
塚本幸男(西郷さん役):稽古を約1ヶ月、毎日ヘトヘトになりながら稽古をしてまいりました。初日にその成果をお見せしたいです。石丸ワールドかな? 本当、仲の良いカンパニーです。みんなで助け合いながらつくってきました。このカンパニーで最後まで走り抜けられるよう頑張ります!
 
森大輔(鉱石ラジオの音楽家役/音楽・演奏):とても楽しみであると同時に、作中の音楽がどのような印象でお客様に届くのか、まだ予想しきれません。客観的な立場からバランスを取るというよりも、とにかく主人公である工藤春男のそばにいることを強く意識したいと考えています。

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

ーー作品の見どころを教えてください。
 
石丸:『ひりひりとひとり』は、傷ついた心と心が出会って、勇気を持ってつながりながら、支え合いながら、絶望を超えて、生きる喜びや輝きを見つけていく物語。そして、生きにくい時代でも、悲しみの多い時代でも、作品を創りお客様に届けることを喜びにする人たちの物語。
 
鈴木勝吾さん演じる主人公“工藤春男”は、とても辛い過去を持つ役ですが、彼が演じるからこそ、辛さよりも、見つける希望が際立ってくる。彼の、演劇への、出会う仲間への、観客への愛情が生む光を、丸ごと受け取ってほしい。梅津瑞樹さんはクールビューティーの佇まいの内に、とびきり熱い演劇愛を持っているホットな人。その愛が、演劇的センスに昇華しています。

百名ヒロキさんは今回、純粋過ぎるほどに純粋な役を、痛いほど純粋に演じていて、彼の中に、揺れ動く俳優の日常を感じていただけると思います。周本絵梨香さんは、硬質な心を大きく揺らしながら、勇気のある強い女性、強いからこそ無理をして生き、壊れやすい女性を表現してくれています。

塚本幸男さんは、年齢を重ねた男の持つ経験の重みや、父性の持つ残酷さなどを感じさせて、とても魅力的です。そして、残念ながら降板された伊藤純奈さんから役を引き継いでくれた牧浦乙葵さんは、10代の少女のまっすぐな瞳で世界の美醜すべてを受け止める、難しい役を短い期間で実現してくれました。

森大輔さんの生演奏は、この作品の心です。彼が主人公の耳の中に届け続ける音楽の光は、きっとお客様にも大切な光になるはず。俳優と音楽家がお客様に届けるラストソングが素晴らしいのです。

鈴木:今歩いている道にはたくさんの石ころが転がっていて、良いものも悪いものもあって、不幸も幸せも、ドス黒いのもキラキラ輝くものもいっぱいあって、人は不幸を嘆くけれど、たまたま踏んでなかっただけ、石ころは等分に転がっていて、いつどうやってどの石ころにぶつかるか、わからない。

けれど、それでも何故人は生きていくのか、何故人は繋がりを求めるのか、幸せってどこにあるのか、希望ってどこにあるのか。そんな、人生のいろいろが転がっているような作品だと思うので、その辺りを感じてもらえたら。

梅津:ままならない現実の前に、それでも這いつくばるようにして生きていかねばならない苦悩や葛藤と、何処かにあるかもしれない救いの姿がシニカルかつ人間讃歌的に描かれている点です。

牧浦:森さんが生で演奏してくださる音楽です。私自身、音楽と共に生きてきて音楽の持つ壮大なエネルギーを信じているのですが、それが生のお芝居の中で、生で演奏される、綺麗な音が今生まれている。そのことがとても素敵だなと思います。

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