作・演出 石丸さち子×鈴木勝吾主演! 生きる喜びや輝きを見つけていく物語、S-IST Stage『ひりひりとひとり』が開幕へ

レポート
舞台
2022.6.10

あらすじはこうだ。

ひとりの俳優をめぐる物語。
ひとは向き合う、自分に、他人に、世界に。
ひとは向き合う、過去に、未来に、今に。
たくさんのひとりが、ひりひりと今日を重ねていく。世界はまだ見ぬ明日へ。

工藤春男(鈴木勝吾)は、父の家庭内暴力、それを苦に家族を捨てる母といった、愛情に恵まれない家庭に育った。思春期には烈しい統合失調症の症状とともに暮らしていたが、家を出ること、詩を書くこと、演劇と出会うことで、心は落ち着きを見せ、持ち前の表現力や独創性が評価されはじめていた。

所属する劇団の公演、チェーホフの『かもめ』で、トレープレフをキャスティングされた春男は、いつものように稽古をし、いつものように仲間と過ごしていたが、実家で父が孤独死したという報せが入る。

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

父という、自分の記憶からすでに消していた深い憎悪の対象の死を、どうして受け容れればよいか分からない春男。心はどんどん過去に遡り、思春期に自分で生み出した珍妙な別人格、ぴーちゃん(梅津瑞樹)と西郷さん(塚本幸男)の2人が現れる。耳の中でずっと聞こえていた雑音はボリュームを増し、やがて新たな幻覚、りぼん(牧浦乙葵)まで登場して……。

春男が突然稽古を休んだ日、恋人でもある伊達夏子(周本絵梨香)は、心落ち着かぬまま稽古場にいた。Wキャストでトレープレフをキャスティングされた親友の玉木賢(百名ヒロキ)は、芝居の最後に突然、セリフが喋れなくなり、夏子の胸に生まれた「ざわざわ」は止まらない。

東京に戻ってきた「ちりちり」した春男と、なんとかつながろうとする夏子と賢。春男はやがて、二人とともに、生まれ育った街に向け「ひりひり」した旅に出る。どこか遠いところで幻聴のように鳴り続ける音楽とともに。それは3人それぞれが、自分と向き合う旅でもあったーー。
 
6人の俳優とひとりの音楽家が絡み合い、ひりひりとした物語を軽妙な笑いと、軽やかな身体、豊かな音楽と共に語っていく。上演時間は約2時間30分(途中休憩を含む)。お見逃しなく!

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

『ひりひりとひとり』のゲネプロの様子

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報

S-IST Stage『ひりひりとひとり』
 
■日程:2022年6月10日(金)~19日(日)
■会場:よみうり大手町ホール
 
■作・演出:石丸さち子
■音楽・演奏:森大輔
■出演:鈴木勝吾 梅津瑞樹 牧浦乙葵 百名ヒロキ 周本絵梨香 塚本幸男
 
料金(全席指定):8,800円(税込) ※未就学児入場不可
 
■プロデュース 東映株式会社
 
■特設HP  https://www.s-ist-stage.com
■公式Twitter @sist_stage
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