BUCK-TICK、メジャーデビュー35周年記念ライブ 横浜アリーナ2DAYS公式レポート
BUCK-TICK(2022.9.24)
両日それぞれ21曲のうち約半分の10曲が固定曲だったが、そこに加えた11曲により違う景色を味わうことができた。1日目はインダストリアルなEDMナンバー「ICONOCLASM」からスタート。ステージ前に降りたままのスクリーンの向こうから、硬質なハンマービートとエッジの効いたギターリフ、無機質な低音ボイスがレーザーと共に繰り出される。荘厳な「BABEL」を経て、ヤガミ・トール(Dr)の張り詰めたドラムイントロから骨太なグルーヴで展開する「唄」、メランコリックな「月下麗人」へと流れる。櫻井の「いらっしゃいませ。楽しんでね」とちょっと科を作った短いMCは、「舞夢マイム」の入り口。台湾の九份のような街並みから部屋の中へとクローズアップした映像の中で、黒いつばの広い帽子と椅子、ちらりと見える太ももを使って、なんとも艶やかな男女の駆け引きを一人演じる櫻井。ハイパーな疾走感で駆け抜ける「狂気のデッドヒート」では、ムービーカメラを持ったカメラマンたちがステージにあがり、上手と下手に伸びる花道を闊歩するアグレッシブなメンバーの姿を捉えた。本編終盤は希望に向かうアップチューンを3曲。演出も華やかで、「Go-Go B-T TRAIN」では、ステージ左右に配した大きなミラーボールが光を放ち、CDジャケットを彷彿とさせるカラフルなグラフィックと、蒸気機関車の蒸気のように吹き上がるスモーク、重厚な車体を軋ませながら軽快に駆け抜けていくような賑やかなアンサンブルで会場のボルテージを引き上げる。続く「Memento mori」では炎が灯ったステージに、トライバルなリズムと沖縄音階、「ウッハ!」の掛け声が鳴り響く。そしてラストは闇から光ある未来へと導く「New World」で締め括った。
櫻井敦司(2022.9.24)
今井寿(2022.9.24)
アンコールは、「Django!!!-眩惑のジャンゴ-」からスタート。エキゾチックな今井のギターに、星野英彦(Gt)の軽やかなアコースティックギター、間奏からは樋口豊(Ba)のベースも前面に出てきて濃密なグルーヴを生み出す。櫻井はというと、頭にはシルクハット、首には黒い羽根を纏い、ホットパンツにニーハイで太ももを露わにしたバーレスクスタイルで腰をくねらせながら歌い上げる。ヘヴィネスな「惡の華」の後、「35年前デビューした時のアルバムから懐かしい曲を聴いてください」と、バラードナンバー「ILLUSION」へ。今作がこの2日間で演奏された曲の中では一番古い楽曲で、思い出をなぞるような歌詞と相まって郷愁を誘う。Wアンコールでは、儚さと力強さを併せ持つレクイエム「恋」をしなやかに聴かせた後、宇宙広がるステージで「夢見る宇宙」を披露。そして大ラスは「Solaris」。マクロの世界である宇宙と、ミクロの世界であるヒトの細胞。その繋がりを感じさせるような感動的な映像に乗せた、楽器陣が描く美しいサウンドスケープと、櫻井によるうっとりするようなファルセットが、大きな余韻を残した。
星野英彦(2022.9.24)
ストレートなロックチューン「エリーゼのために」でオープニングから一体感を生んだ2日目は、1日目よりも歌も演奏も肩の力が抜け、リラックスしているように見えた。櫻井のゆらゆらと綱を渡るようなパフォーマンスで浮遊感を表現した「Tight Rope」や、ずっしりとしたベースリフにギターの硬質なカッティングが映える「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」、月へと抜けるほど伸びやかなヴォーカルで聴かせた「MOONLIGHT ESCAPE」では、アウトロで今井が寝転がったままギターをかき鳴らすエモーショナルな場面も。「ダンス天国」では演奏の前に「Let’s Dance~」とデヴィッド・ボウイの声真似で1フレーズ歌ってみせたり、今井のギターによるインタールードから始まった「BOY septem peccata mortalia」ではステージ上のカメラクルーとの追いつ追われつの攻防を繰り広げたり、這いつくばってカメラを睨みつけたりと、自由なステージングを展開するメンバーに、こちらの目も追いつかなくなる。ステージに炎が揺らめいた「ROMANCE」では美しいファルセットを響かせ、ラストは1日目と同じく「New World」。光を湛えたようなクリーントーンのリフ、4つ打ちのパワフルなリズムと、前へと突き進む力強いボーカル。ここからまた新しい一歩を踏み出した彼らのステージのエンディングに相応しいナンバーだ。
樋口豊(2022.9.24)
一度目のアンコールは、ベストアルバムで新たにリミックスした「ANGELIC CONVERSATION(2022MIX)」、「惡の華」、そしてドラマティックなポップチューン「HEAVEN」の3曲。Wアンコールは、深遠なバラードナンバー「忘却」、「夢見る宇宙」、そしてラストは「鼓動(2022MIX)」。すべての生命に捧げるBUCK-TICKの壮大な人間讃歌を高らかに歌い上げ、2日間にわたり行なわれた祝祭の幕を閉じた。
ヤガミ・トール(2022.9.24)
35周年を記念する大舞台にありながら、BUCK-TICKはすでに新しいフェーズの中にいた。しかもどうやらすでに追い込まれている様子だ。「35周年始まったばかりなので、いろいろやることがたくさん幸せなことにあります。今日が終わりましたら、明日からアニイとユータはツアーのリハーサルに入ってもらいます。そして今井さんとヒデは新曲を作ってもらいます。私は……寝ます(笑)」という櫻井のMCを聞きながら、3rdアルバムのレコーディングの後に2ndアルバムのツアーに出ていたという激務だった初期のエピソードを思い出し、当時とあまり変わっていないところを見つけて少し笑ってしまった。だけど、そんな5人のドキュメンタリーをこれからも見せてほしいのだ。来春発売予定の新作は、これまでにない新しいコンセプトに基づいた作品になると聞いている。35周年を迎えてもなお、貪欲に進化し続けるBUCK-TICKの未来に期待したい。
文=大窪由香 撮影=田中聖太郎
BUCK-TICK(2022.9.24)
セットリスト
2022.9.23(金・祝)横浜アリーナ
SE. THEME OF B-T
M1. ICONOCLASM
M2. BABEL
M3. 唄
M4. 月下麗人
M5. 舞夢マイム
M6. 狂気のデッドヒート
M7. 禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-
M8. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり (2022MIX)
M9. 楽園
M10. REVOLVER
M11. ゲルニカの夜
M12. さよならシェルター (新曲)
M13. Go-Go B-T TRAIN
M14. Memento mori
M15. New World
EN1-2. 惡の華
EN1-3. ILLUSION
EN2-2. 夢見る宇宙
EN2-3. Solaris
BUCK-TICK 2022 "THE PARADE" 〜35th anniversary〜 HIGH SIDE
SE. THEME OF B-T
M1. エリーゼのために
M2. BABEL
M3. Tight Rope
M4. 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ
M5. MOONLIGHT ESCAPE
M6. ダンス天国
M7. BOY septem peccata mortalia
M8. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり (2022MIX)
M9. 楽園
M10. REVOLVER
M11. ゲルニカの夜
M12. さよならシェルター (新曲)
M13. Go-Go B-T TRAIN
M14. ROMANCE
M15. New World
EN1-2. 惡の華
EN1-3. HEAVEN
EN2-2. 夢見る宇宙
EN2-3. 鼓動 (2022MIX)
リリース情報
『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』
発売中
通常盤(5SHM-CD)VICL-70260〜70264/¥6,600(税込)
数量限定盤(5SHM-CD+BD+GOODS)VOSF-11362/¥15,400(税込)※VICTOR ONLINE STORE限定商品
『魅世物小屋が暮れてから〜SHOW AFTER DARK〜 in 日本武道館』
発売中
Blu-ray完全生産限定盤(BD+2SHM-CD+PHOTOBOOK)VIZL-2094 / ¥12,100(税込)
DVD完全生産限定盤(2DVD+2SHM-CD+PHOTOBOOK)VIZL-2095 / ¥12,100(税込)
Blu-ray通常盤(BD)VIXL-384 / ¥7,700(税込)
DVD通常盤(2DVD)VIBL-1069~1070 / ¥7,700(税込)
https://www.jvcmusic.co.jp/linguasounda/b-t35th/
ライブ情報
10/15(土) 神奈川:パシフィコ横浜 国立大ホール 開場17:00 開演 18: 00
10/18(火) 埼玉:川口総合文化センター リリアメインホール 開場17:30 開演 18:30
10/21(金) 長野:ホクト文化ホール 大ホール 開場17:30 開演 18:30
10/22(土) 石川:本多の森ホール 開場17:00 開演 18: 00
10/29(土) 兵庫:神戸国際会館こくさいホール 開場17:00 開演 18: 00
10/30(日) 岡山:倉敷市民会館 開場17:00 開演 18: 00
11/4(金) 東京:東京国際フォーラム ホールA 開場17:30 開演 18: 30
11/6(日) 群馬:高崎芸術劇場 大劇場 開場17:00 開演 18: 00
11/12(土) 北海道:札幌カナモトホール(札幌市民ホール) 開場17:00 開演 18: 00
11/19(土) 宮城:仙台サンプラザホール 開場17:00 開演 18: 00
11/20(日) 栃木:宇都宮市文化会館 大ホール 開場17:00 開演 18: 00
11/26(土) 広島:上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール) 開場17:00 開演 18: 00
11/27(日) 福岡:福岡サンパレスホテル&ホール 開場17:00 開演 18: 00
12/3(土) 京都:ロームシアター京都 メインホール 開場17:00 開演 18: 00
12/4(日) 香川:レクザムホール 大ホール(香川県県民ホール) 開場17:00 開演 18: 00
12/10(土) 愛知:日本特殊陶業市民会館フォレストホール(旧:名古屋市民会館) 開場17:00 開演 18: 00
12/11(日) 静岡:静岡市民文化会館 大ホール 開場17:00 開演 18: 00
12/15(木) 千葉:千葉県文化会館 大ホール 開場17:30 開演 18: 30
12/19(月) 大阪:大阪フェスティバルホール 開場17:30 開演 18: 30
12/20(火) 大阪:大阪フェスティバルホール 開場17:30 開演 18: 30
料金:¥9,900(税込)
一般発売:2022年9月24日(土)10:00〜
公演詳細はオフィシャルサイトへ
BUCK-TICK OFFICIAL SITE:https://buck-tick.com/