小劇場は「砂金採りみたいな喜び」がある~笠井信輔×板尾創路、選りすぐりの10劇団が参加する『関西演劇祭2022』の醍醐味とは

インタビュー
舞台
2022.10.26
板尾創路、笠井信輔(フリーアナウンサー)

板尾創路、笠井信輔(フリーアナウンサー)

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2022年11月12日(土)~11月20日(日)にCOOL JAPAN PARK OSAKA  SSホールで『関西演劇祭2022』が開催される。当演劇祭は関西発信でスターを発掘する目的で始まり、今年で4回目。

今回実行委員長に就任したのは、元フジテレビで現フリーアナウンサーの笠井信輔。シネフィルとして知られるが、実は大の演劇ファンでもある笠井。祖父に劇作家・阿木翁助、叔父に東宝の演劇プロデューサーを持つ演劇家系に生まれ、多忙な局アナ時代にも年間100本もの演劇を観ていたというから驚きだ。

第1回よりフェスティバル・ディレクターを務める板尾創路と笠井に、今回の演劇祭への意気込みとともに、プライベートでの観劇の楽しみ方などを聞いた。

部屋の壁一面に演劇のチラシを貼る理由は?

──笠井さん、実行委員長就任おめでとうございます。

笠井:ありがとうございます! ずっと演劇が好きだったのに、これまで仕事にはなってなかったんですよ。だからこんなにうれしいことはないですね。

──ずっと熱望されていたんですか?

笠井:してましたよ! 関西のTV番組に出演した時、関西演劇祭のプロデューサーさんとお話する機会があったんで、「(身を乗り出して)私、演劇大好きなんです!」ってアピールして(笑)。だから今回選んでくれたんじゃないかなと思ってます。

──熱意が伝わって、今回の抜擢につながったんですね。

笠井:でもまさかいきなり実行委員長に選んでもらえるなんて、こんなに感動的なことはなかったですね。過去3回の実行委員長は全員女優さんだったので、「ほんとに僕でいいの?」って不安はありました。僕が司会の立場で考えたら、「この記者会見、華がないなぁ」と思うでしょうから(笑)。でも、せっかくスタッフの皆さんに選んでいただいたからには頑張りたいです。

板尾:実行委員長はこの演劇祭のシンボルですからね。笠井さんはすごくふさわしいなと僕は思いますよ。参加する劇団側からすると、ちゃんとした方に評価されたいはずなんですよ。僕が若手の時もコンテストで「なんでこんな奴に評価されなあかんねん」って思ってましたし(笑)。たくさん演劇を観ていらっしゃる笠井さんは適任だと思うので、実行委員長を受けていただいてよかったです。

──今板尾さんのお話にもありましたが、笠井さんはたくさんの演劇、多い時には年間100本もの演劇を観られていたそうですね。映画も約130本観て、さらには講演会で全国出張も多い中で、どうやって時間を管理されているのか気になりました。

笠井:そう、それはね、ほんっとに大変! フジテレビにいた頃は基本的に『とくダネ!』中心の生活で、午後にも仕事があるにはあるけど、すごく忙しいわけではなかったんです。だからその時間に映画と演劇をたくさん観てました。演劇だったら1日でマチネとソワレを観るのも当たり前で。でも、今は年間60~70本くらいに抑えるようにしてますね。

板尾:週に1本は何か観てるってことですか?

笠井:もっと多いですよ。今年の8月は17本観たんですよ。流石に観過ぎ!

──1ヶ月に17本ということは、2日に1本以上のペースですね……! ちなみに今年はこれまでに合計何本観られたんですか?

笠井:今日の時点で67本ですね。僕ね、行くつもりだった舞台を見逃がすと頭に来ちゃうんですよ(笑)。本当に見逃しが怖い。上演期間はだいたい2週間だから、観たかったのに気づいたら終わってるんです。それがくやしくて仕方ないので、どうにか見逃さないためのいい方法はないかなと思って編み出したのが、チラシを壁に貼ること!

板尾:舞台観に行ったら客席に置いてある、あのチラシですか?

笠井:そうです! 自分の部屋の壁に、その月に上演される舞台のチラシを貼るんです。それでそのチラシの上に、舞台の上演期間を書いた付箋を貼る。観終わったチラシははがす。その壁を見ながら、見逃しがないか毎日チェックしてます。

──すごい、その壁を拝見してみたいです!

笠井:しかしここまでやっても見逃がすからね……。

板尾:油断したら終わってますよね。この公演は1ヶ月くらいやってるから、どこかのタイミングで行けるやろと思ってたら、意外とすぐに日にちがなくなって。

笠井:映画は映画館で1日何回もやってるし、今なんてサブスクもあるからどうにか観られるじゃないですか。でも舞台はその時を逃すと観られないですから。再演待つって言っても何年後になるかわからないし、役者さんが変わってたりもするから。

──オンラインの演劇は利用されますか?

笠井:それが、なかなかオンラインには移行できないんですよ。やっぱり別物だと思っていて。自分の中では、オンラインで観るのはあくまで「確認」。ただ、今回のような演劇祭の場合だと、大阪まで足を運ぶことができない人もいるので、オンラインは非常に有効。オンラインで素敵な劇団を見つけるのも楽しいと思います。

>(NEXT)ふたりが考える、小劇場の楽しさとは?

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