連日満員となった話題作、『星の王子さま』が待望の再演決定 森山開次(演出・振付・出演)&島地保武(出演)が魅力を語る

インタビュー
舞台
2022.11.7

■俯瞰した視点から描く、重層的な物語

前回公演の様子(C)Maiko MIyagawa

前回公演の様子(C)Maiko MIyagawa

――小㞍健太さんが演じる飛行士とサン=テグジュペリが二重写しになりますし、坂本美雨さんが扮する歌声はサン=テグジュペリの最愛の妻コンスエロと重なります。このようにいくつものイメージが重なり像を結ぶのが魅力的ですね。どのように生み出すのですか?

森山:原作にある「ウワバミの絵が帽子に見える」という話が分かりやすいかと思います。そうした「~のように見える」「~のつもりだったんだけど」みたいな話がおもしろいなと思って。ダンスって「僕はこういうつもりで踊っているけれど、受け取る人は全然違うように取っている」ようなところがあります。そんな「~のつもりでやっている」みたいなものが重層的に散りばめられていたらおもしろいと考えています。

(坂本)美雨さんの歌もダンスのようであり、音楽のようでもある。音楽のなかにもぴったりビンゴというところもあるけれど、阿部(海太郎)さんのなかでは別の情景を描いていて全然違うこともある。それぞれの答えが違って受け取れるような、それぞれの舞台のストーリーを紡いでいってもらえたら。その意味で、少し俯瞰して「サン=テグジュペリからの手紙」として見ている創り方をしたような感じでした。

島地くんが踊っているときの気持ちなんか分からないという人もいるし、凄く分かるという人もいる。それに「気持ちが読まれてたまるか!」ってところもあるじゃないですか。そうしたやりとりの感覚こそ、僕が島地くんの好きなところですね。リハーサルでもちょっと寄り道をしながら「何を言いたいか分かりましたか?」みたいな謎かけをしてくるのが好きです。

島地:ありがとうございます!

前回公演の様子(C)Maiko MIyagawa

前回公演の様子(C)Maiko MIyagawa

――ダンサー12人、歌手1人、音楽家2人(佐藤公哉、中村大史)によるアンサンブルがみどころです。王子のアオイヤマダさん、飛行士の小㞍さん、歌声の坂本さん、バラの酒井はなさん、それに狐の島地さん、蛇の森山さんらは前回に続いて出演します。この座組ならではのケミストリーがあるのではないかと考えますが、その点に関していかが思われますか?

島地:おのおのが自分の身体言語を持っている人というんですかね。その人たちが、皆で同じ動きをしていても、そうは見えないのが魅力だと思います。

森山:素晴らしいダンサーで経験も積んできている人たちと一緒にやれるのは贅沢です。楽しんでやりたいし、観る人にとっても楽しんでもらえると思うんですよね。その意味で、このメンバーだからこそできることもあります。皆が培ってきたものを持ちこんでくれるので、それで深みが増していく感じがあります。最高のメンバーです。

――経験豊富な方々の間に、気鋭のダンサー、モデル、表現者のアオイヤマダさんが星の王子さまとしてまっすぐに存在しているのが素敵でした。どのようなアーティストだと感じますか?

森山:初演時は20歳になるかならないかくらいだったかな、大人になる時期で葛藤も感じながらやっていました。それから2年経ちます。彼女は「表現したい!」と体がウズウズして止まらないので、それを見ているのが本当に楽しくて。今回の舞台用に写真撮影をしていても、カメラを向けられれば動くこと動くこと! 服を変えれば違う顔を出すし、若さをどんどん出してくる。「いいなあ」と思いますね(笑)。今回はどのように違った彼女が見られるか楽しみですし、それはきっとお客さんにとっても楽しみなことになると思っています。

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