憧れの小室哲哉との奇跡のセッションの全貌が明らかに! Raychell 5年ぶりのフルアルバム『DON’T GIVE UP!』誕生秘話
Raychell『DON’T GIVE UP!』通常盤
■初の作曲に挑戦!
――本当一転して、アルバムの中でもこの辺からしっとりしてきた感じがします。次が「あなたへ」ですね。
この楽曲は自分の人生で初めて作曲をさせていただいた楽曲なんですよ。
――実際に作曲されてみていかがでした?曲調としてはバラードで、バラードがRaychellさんの原点だったりもすると思うので、思い入れもいっぱいあったのかなと思うのですが。
めちゃめちゃありましたね。いつか自分で曲を書いてそれを歌って伝えたいっていう気持ちがずっとあって、メロディはもうずっとそれこそ去年からずっと考えていたんです。今回このアルバムを出させてもらうタイミングで、今しかないと思って作ったんですけれど、やっぱり自分の原点にはバラードがすごく好きだって気持ちがあって。デビューもバラードから始まってて、改めて自分でもバラードの良さを再認識しました。何より自分で作った分、今までのオリジナル楽曲の中でもない曲だよねっていう風にスタッフさんも言ってくださって、そういう意味では新たな一面を自分で出すことができたのかなって思いました。
――Raychellさんの作曲のスタイルはどういう感じで作曲されるんですか?
一番最初は今バンドとかでもお世話になってる鍵盤の方に事務所に来て頂いて、自分のイメージを伝えたんですよ。「こういう感じのバラード曲やりたいんですよね」って。そうしたら即興でそれっぽいメロディを弾いてくださって、それに私がその場で鼻歌で合わせてイメージを膨らませる感じで、その日は2時間くらいで一回持ち帰りましょうってなったんですが、実はそこから半年以上制作しなかったんですよ(笑)。でもちょっとずつ自分で鼻歌で歌ったやつをAメロ・Bメロ・サビと考えてて、それのアレンジをお願いして、それが返ってきた瞬間私はもう号泣しました(笑)。スタッフさんに「こんなにすごくなっちゃうんですか」って。産む苦労もすごくありましたけどそれ以上に完成した喜びの方がありましたね。
――曲を作るってことに関しては、アレンジでも印象が変わっちゃうじゃないですか。アレンジャーの方って本当にすごいですよね。
いやもう本当に! 最初にスタジオで2時間くらいした自分がどういう曲にしたいかって話だけで、それを分かってくださってるんですよ。
――そういう意味では、この辺りは思いを汲んでくれたのかなみたいに感じ取れたポイントとかあったりしましたか?
サビに「サビ来た!」感はすごい欲しいですって話をしてて。バラードでもロックバラードにしたいなって思ってたので、壮大感はもちろん、最初のイントロの部分からピアノでどこか優しさで包んでくれるようなアレンジも最高で、自分が求めていた以上のものをいただけたので、今でも最初のイントロ聞いただけでも泣いちゃったりするんですよ(笑)。本当に嬉しかったです。
自分の周りにいてくださるスタッフさんもそうですしファンの方たち家族とか友達とか、本当に大切なかけがえのない人たちに、とりあえず今の自分があるのはあなたのおかげですっていうのを伝えたくて、もっともっと書きたい言葉とかいっぱいあったんですけど……とにかく私の今の気持ちはこれだと思って書いた歌詞がこちらになりますね。
――なんだろうメタな発言になっちゃうんですけどライブやるにあたってもこういう曲欲しいですよね(笑)。皆さんに直接、感謝伝える曲みたいなのっていうのは。
でもやっぱりライブも想定はしますよ(笑)。ライブの時にみんなのために書いたものですっていうのは言いたいとは思ってました。生で歌ってちゃんと届けたいですし、逆に今から泣かないように頑張らなきゃいけないと思ってるくらいなんですけど(笑)。でもそのくらいやっぱり自分のファン=ちぇるどれんって言うんですけど、ちぇるどれんの人たちも大好きで、「私の推しはちぇるどれんのみんな!」って言ってるくらいだし、みんながいてくれて支えてくれるから私はこうやっていられる。いつかライブ会場に来てくださる皆さんに向けて感謝の気持ちを込めて歌いたいなって思ってます。
Raychell
■憧れの小室哲哉と奇跡の一夜を鮮明に記録
――10曲目が「Anytime smokin’ cigarette」です。この曲はglobeさんのカバーになりますよね?
そうなんですよ! 2019年の4月に初めて小室哲哉さんにお会いしたんですけど、ほんと深夜ですよね、化粧もしてなく普通にパジャマで寝ようとしてたらいきなりスタッフさんから電話があって「今スタジオに小室さん来てるんだけど、来れる?」って言われて。「え、小室さんってあの小室さん?えっ?」と思ってびっくりしたんですけど、とりあえず急いで着替えて、化粧もほぼせず飛び起きて行ってみたら、グランドピアノを弾いてるんですよ。
自分にとっては神様みたいな方、なんせ父がTKさんが大好きで、それを聞いて私も子供時代育ってきていますから。実はロックサウンドを歌うときに声の出し方とか参考にしてたのがglobeのKEIKOさんだったので、あんなに強くて伸びやかな声ってどうやってやってるんだろうなと思ってすごく聞いてたんですよ。
そんな神様みたいな小室さんがいま目の前にいて「歌える?」なんて言われたら「歌えません」なんて言えないですよね(笑)。もう緊張でちゃんと歌えるかなんて分からなかったですけど、その時スタジオでセッションさせていただいたのをたまたまRECしてたのがこの曲と「Precious Memories」の2曲になります。だから本当に一発録りのファーストテイクってヤツですよね。
――小室さんの伴奏で、すごく贅沢な時間ですよね。
曲に入る瞬間。目を合わせてくださるんですよ。だからここだなって自然と分かるので私もすごく歌いやすかったですし、一応1曲の中でのドラマというか、構成は小室さんの中にあると思うんですけど、もちろん私には見えてないし深夜ですから思考回路が止まってるので「この後どうするんだろう」とか思いながら、でも小室さんにリードされるがままに歌って、その時に出来上がったものがこんなに6分の大作で1曲のドラマに仕上がっている。これはもうずっと自分の中で大事に宝物として、墓まで持って行こうって思ってたんですけど、まさか音源として世に出るとは……。
この曲は事務所の皆さんとカラオケに行ったりする時もよくみんなで歌ってる楽曲だったりするので、エースクルー・エンタテインメントの社歌みたいな(笑)。他にも社歌、3曲くらいあるんですけどその中の1曲の大好きな楽曲だったので痺れました。
――Raychellさんが小室さん大好きっていうのは、小室さん自身もご存知だったんですか?
伝わっていればいいんですが……。不思議な縁で「Are you ready to FIGHT」のミュージックビデオを武藤眞志さんって小室哲哉さんプロデュースのアーティストのMVを数々手がけられている方に監督をお願いして、ロサンゼルスで撮影をしたんですけど、その時の打ち上げでもカラオケに行ったんですよ。そこでもいつものようにglobeさんの曲を歌ってたら「Raychellさんglobe合うじゃん、TKに言っとくよ」って監督おっしゃってて、そこから風の噂じゃないけど「KEIKOさんをすごいリスペクトしてて歌ってる子がいるんだよ」みたいな話が届いたみたいで、都田さんが小室さんと何かの仕事終わりの時に「スタジオに行こうよ」みたいな感じになって小室さんも「聞いてみたい」って言ってくださったみたいで……。
――いや、好きは言い続けるもんですね。
そこからD4DJに楽曲提供頂いたりとか奇跡の連続だなって思いましたし、この時は本当に私の寿命はすごい縮んだけれど、すごい奇跡の瞬間だったって思いました。死ぬほど嬉しかったです。
――その流れで次の「Precious Memories」も伺いたいのですが。
この曲がお会いした時に一番最初に合わせた曲なんです。もう声が震えて震えて、この曲すごく繊細な曲で難しいという曲でもあるんですけど、私もよくカラオケで歌っていた楽曲でもあったので泣きそうになりながらでもそれを必死にこらえて歌ったので声も揺れている部分もありつつ。
「Anytime smokin’ cigarette」の方がどちらかと言えばちょっとロックっぽいテイストに弾いてくださって、やっぱりそれが最初に「Precious Memories」でやった繊細さじゃない違う歌い方を引き出してくださったのかなって勝手に思いましたね。
――当時の臨場感がRaychellさんだったらすぐ蘇ってくるんじゃないかなってくらい、緊張感ある音源ですよね。
深夜で寝かかってたときだったし、もうちょっとよくできたのになとかってあとで後悔しながら、でもまさか音源になると思わないじゃないですか(笑)。まあ、この時の私のベスト歌い方で録ってもらってはいるんですけど。
小室哲哉さんがピアノ1本であんなに華やかになるのかっていうくらい彩りを加えてくださったので、その素晴らしい伴奏を聴くだけでも価値があると思います(笑)。なのでglobeファンの方、もっと言えばTKサウンドファンの方とかにも是非聴いて頂きたい音源ですね。もちろんglobeの楽曲をまだ聴いたことない方もぜひこれを聴いて、ご本人の原曲も聴いていただきたいなって思います!
――本当にまさにRaychellにとってプレシャスメモリーズなわけですもんね。その他に印象に残ってるエピソードとかあったりしますか?
その時、小室さんだけじゃなくてお抱えのレコーディングエンジニアさんも全員来たんです! だから余計に緊張しちゃって(笑)。当時ASAYANとかで見てた、小室さんの右腕左腕の方とかがもう全員揃ってきてるのにも感動しましたし、小室さんがレコーディングするって言ったらみなさんバーって深夜なのに駆けつけてくださって、それも感動エピソードですよね。実際に小室さんと会ったお話はD4DJのライブの時とかで話してきたので、このエピソードは知ってる方もいるかもしれないですけど、まさかその音源が出ると私も思ってなかったんで、あのD4DJの会場、コニファーで聞いてくれた皆さんには、ぜひあの時のあの話が今のここに繋がってるんだっていうのを知ってもらいたいなっていう気持ちがあります!
――そして最後にボーナストラックとして冒頭で伺った「All for love」の英語ver.が収録されているってことで、一旦ザッとでしたけど改めて全曲振り返ってみて、結構ご自身で作詞されてるのが多いじゃないですか。ぜひ歌詞カードとか見ながら聴いてもらいたいと思うんですけど、パッケージだったり音源以外の部分のこだわりポイントみたいなのとかあったりしますか?
今回Blu-ray付き初回限定版の方でブックレットを入れていただけることになりまして、それが銀座のアートアクアリウム美術館さんで撮影していただいたんですよ。もちろん今回のアルバムのジャケットもそのアートアクアリウムさんで撮っていただいたものなんですけども、私が大好きな場所で結構一人でもよく行ってた場所なので、まさかそこで撮影できるなんて!すごく幻想的な世界で、実は照明もほとんど入ってなくて、ほぼ現地の明かりだけで撮影しているので、多分この写真ココだ!って現地に行けばすぐ分かるくらいなので、ぜひそのブックレットを手に取って、足を運んでみて欲しいです!
――聖地巡礼、推奨ですね!(笑)。
また、Blu-rayの方には6月にやらせていただいたアコースティックライブの映像が入っていまして、過去の自分のバラード曲を中心に歌ったんですけど、やっぱり自分の音楽の根っこの部分はすごくバラードが好きっていうのがあるので、多分RASとかだと「お前らー!」とかって言うイメージがすごい大きいと思うんですけれども実はバラード出身でずっとバラードもやっていたので、結構愛をテーマで歌ってるものが私多いんですよね。それこそなんか強気で「かかってこい!」なんて絶対に言わないような感じだったんですけど、バラードの時はまた違うスイッチが入るというか、役が抜けてソロとなると、また違った自分の素の部分とかがすごく見えますし、今回のこのアコースティックライブの時も本当に素のままの自分が結構出ているので、全然見比べてみて欲しいなって思います。
――ありがとうございます、最後に改めてひと言メッセージをお願いします。
本当にこれ以上見せるとこ無いぞってくらい全部さらけ出してて、本当に今の自分の集大成のようなアルバムになっています。
あとはこのアルバムを引っさげて12月30日にライブをさせていただくのですが、今回のライブが自分の曲だけでも2時間以上あって、あとゲストさんも含めてほんと2時間半以上ぐらいになっちゃうようなほんとボリューミーなライブになるのでぜひこのアルバムを聴いてライブに遊びに来ていただけたら嬉しいなって思います。
――2022年のRaychell納めをしに、30日ですね!
私の2022年の仕事納めもこのライブなので、みんなと全力で騒いで最高の時間と思い出を作って新年を筋肉痛で迎えたいと思ってます(笑)。
リリース情報
Raychell フルアルバム『DON’T GIVE UP!』
ライブ情報
Raychell 単独ライブ『DON'T GIVE UP!』