ザ・シンフォニーホール、夏の恒例『親子定期演奏会』が今年も開催 藤岡幸夫が語る今回の見どころは?
ザ・シンフォニーホールの夏の恒例となっている『親子定期演奏会』が今年も開催される。演奏は、もちろん、藤岡幸夫&関西フィルハーモニー管弦楽団。藤岡は2000年に関西フィルの正指揮者になり、2007年から首席指揮者を務めている。藤岡&関西フィルのコンビはBSテレ東で放送されている「エンター・ザ・ミュージック」でも全国的に人気を博す。そんな彼らが、今回、『親子定期演奏会』でどんなプログラムを聴かせてくれるのだろうか?
―ー今回はどのように曲を選ばれましたか?
絵本を見るような、イメージのわく曲を選びました。小さい子から大人まで楽しめるコンサートにしたいと思っていますが、とくに小学校高学年生や中学生のみなさんに来てほしいですね。演奏会後半のメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」は高校生にも楽しんでもらえるファンタジーに富んだ作品です。
―ーメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」は、シェイクスピアの同名の戯曲にメンデルスゾーンが付けた音楽ですね。
今回は序曲、スケルツォ、間奏曲、夜想曲、結婚行進曲の5曲を演奏しますが、場面場面で音楽のキャラクターが違い、わかりやすいと思います。そして、新井鴎子さんが書いた音楽台本を使って、空井仁美さんの語りを交えての演奏になります。
演奏会前半は、楽器や曲の特徴についてもお話しします。オッフェンバックの「天国と地獄」の”カンカン”はCMでも使われたキャッチ―な旋律が現れます。「天国と地獄」は、天国から来た神様たちが地獄で酒飲んで騒いでいるような不謹慎な話なのですが、子どもたちにはその話はできませんね(笑)。モーツァルトのディヴェルティメントK.136は弦楽器の合奏曲です。カバレフスキーの「道化師」の”ギャロップ”ではピアノも入ります。シベリウスの「フォンランディア」はドラマティックで聴きごたえのある曲です。ロシアに支配され、独立を希望していたフィンランドの話もしようと思っています。
―ー「フィンランディア」の話は、現代社会にもつながるテーマを含んでますね。
ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲も夜明けから嵐やスイス軍の行進まで場面場面で音楽が違う作品です。いろんなタイプの音楽を楽しんでいただきます。
―ー子どものための演奏会はいろいろありますが、あえて「親子定期演奏会」と名付けた意図はどういうところにありますか?
普段クラシック音楽を聴かない大人にも、クラシック音楽を聴くきっかけとなるような演奏会にしたいと思っています。初めてザ・シンフォニーホールに来る方もいらっしゃると思いますが、クラシック専用ホールにびっくりするでしょうし、あの雰囲気を楽しんでもらいたいですね。そして生のオーケストラを体験していただきたいです。そうやって、クラシック音楽の裾野を広げていければと思っています。
僕はどうすれば多くの人々に聴いてもらえるのかという危機感をもっています。演奏会の形態もいろいろニーズに合わせて変えていかないと思っています。
―ー「夏休み自由研究はこれで決まり!!」というサブタイトルもついていますね。
コンサートの鑑賞が夏休みの宿題に使えるようにシート(学習帳)のようなものが配られます。そこに感想や曲の解説などが書き込めます。また「真夏の夜の夢」の登場人物の関係図なども載っています。
―ー演奏する関西フィルについてお話ししていただけますか?
僕とは24年目のシーズンです。今、日本のオーケストラで24シーズンも続いているのは僕らだけでしょう。僕は関西フィルのために、心血を注いでやってきました。彼らはラテン気質のよく歌うオーケストラ。明るくて、元気で、エキサイティングな音を楽しんでいただけると思います。
藤岡&関西フィルというパッケージは退屈することがないというイメージを持ってもらいたいと思っています。常に新しいことに挑戦し、みなさんに愛されるオーケストラとなることを目指しています。
―ー藤岡さんがナビゲーターをされているBSテレ東の「エンター・ザ・ミュージック」で関西フィルに馴染みを持ってられる方も多いと思います。
「エンター・ザ・ミュージック」は9年目になります。
地方のオーケストラが全国放送の番組でレギュラーになるのは初めてのことでした。関西フィルのそれぞれの奏者のファンになってもらいたくって、番組では奏者の名前を積極的に出しているのですが、奏者のファンも増えてきました。
―ー子ども向けのコンサートで藤岡さんが心がけていることは何ですか?
本気で演奏することですね。相手が子供だからこそ、本気で演奏しなければなりません。関西フィルも絶対に手を抜きません。
―ー本当にそう思います。子どもは正直ですからね。子どもにこそ、最高の演奏を聴いてもらわないといけません。それでは、最後にメッセージをお願いいたします。
親子で楽しめますから、今までクラシックのコンサートに足を運ばなかった方も、夏休みの宿題と言って、子どもと一緒に、ザ・シンフォニーホールというゴージャスな空間に来て、生のオーケストラを体感してほしいと思います。もちろん、クラシック音楽がお好きな方には一層楽しんでいただけると思います。
公演情報
会場:ザ・シンフォニーホール (大阪府)
指揮:藤岡幸夫
司会・語り:空井仁美
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲より“カンカン”
モーツァルト:ディヴェルティメント K.136より 第1楽章
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」組曲より“四羽の白鳥の踊り”
カバレフスキー:組曲「道化師」より“ギャロップ”
シベリウス:交響詩「フィンランディア」
ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
メンデルスゾーン:劇不随音楽「真夏の夜の夢」より
~序曲・スケルツォ・間奏曲・夜想曲・結婚行進曲~