稲垣吾郎、新垣結衣らがシックな黒の装いでワールドプレミア 映画『正欲』東京国際映画祭の舞台あいさつに登壇(写真8点)
左から、稲垣吾郎、新垣結衣
10月25日(水)、映画『正欲』のワールドプレミア舞台挨拶が『第36回東京国際映画祭』開催中のTOHOシネマズ日比谷で行われ、キャストの稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香、メガホンをとった岸善幸監督が登壇した。
左から、東野絢香、佐藤寛太、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、岸善幸監督
『正欲』は、『桐島、部活やめるってよ』『何者』などの朝井リョウ氏が、作家生活10周年作品として書き上げた小説。2021年3月に発売され、第34回柴田錬三郎賞を受賞している。同小説初の映画化でメガホンをとったのは、『あゝ、荒野』、『前科者』などの岸善幸監督。脚本は、『あゝ、荒野』『宮本から君へ』などの港岳彦氏が手がけている。
マイホームで妻と子を養う横浜検察庁の検察官・寺井啓喜を演じるのは、稲垣吾郎。広島のショッピングモールの契約社員で特殊性癖を持つことを隠して生きる桐生夏月役で、新垣結衣が共演。磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香らがキャストに名を連ねている。
キャスト陣と岸監督は、黒を基調としたシックな装いで大きな拍手に包まれながら舞台挨拶に登場。これまでに主演作『半世界』『窓辺にて』が東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、二度の観客賞を受賞している稲垣は、最新主演作が再び同映画祭で上映されることについて、「東京国際映画祭は、映画を愛する皆さんにとって特別な場所なので、またこの場所に帰ってこられたことを光栄に思っています。世界中の人たちにも観ていただける機会を嬉しく思いますし、ドキドキしますね。観ていただくのが初めてなので、早く観終わった皆さんの声を聴きたいです!」と笑顔を見せた。
稲垣吾郎
また、稲垣は「普段からいろんな作品で拝見させていただいている素晴らしい俳優さんたちなので、共演できて嬉しく思います。皆さん登場人物になりきって撮影現場に存在していたので、僕も自然とその世界に誘われて気持ち良く演じることが出来ました。皆さんが大きな覚悟を必要とする役を演じられたので、それを岸監督が素晴らしい作品に仕上げて下さって感謝しております!」とコメント。W主演の新垣については、「今まで抱いてきた新垣さんのイメージが覆されたというか、思い描く印象とまったく違っていて、最初に現場で会った時は本当にびっくりしました。皆さんも観たらびっくりすると思いますよ!」と太鼓判を押す。
新垣結衣
一方の新垣は、映画初共演となった稲垣について、「ご一緒したシーンがとてもシリアスで重要なシーンだったので、そういう時間を共に過ごして、一つのシーンを一緒に作り上げることに力を尽くすことが出来たのはとても光栄でした」と振り返る。また、本作出演の決め手について、「お話をいただいて企画書を読ませていただいたときにすごく心惹かれるものがあり、岸監督とも直接おはなしをさせていただいて、同じ方向を向いて作品に挑めるという意思疎通が出来て、ぜひよろしくお願いしますというスタートでした」と明かした。さらに新垣は、「岸監督のもとで素晴らしい皆さんと一緒に、こういう作品に参加できたことをとても嬉しく思っています」と語った。
磯村勇斗
夏月の中学時代の同級生・佐々木佳道役を演じた磯村は、稲垣との初共演を振り返り、「共演シーンはわずかでしたが忘れられません。僕はその空気を含めて寺井が怖かった。あの空気を出していただいたので、何もしなくてよかったという感じで、それぐらい稲垣さんには引っ張っていただきました」と明かす。さらに、自身の演じた役柄については、「また非常に難しい役と出会ったという印象でした」「衣装合わせの時も、岸監督やプロデューサーと何度も話し合ったぐらい、掴むのが難しかった。でもこの作品が届けたいメッセージは非常に今の時代に合っているし、何か救いになるのではないかと思いました」と、力強く語った。
佐藤寛太
ダンスサークルに所属する諸橋大也を演じた佐藤は、「オーディションを受けた時はもう他の方の役は決まっていて、岸監督が撮られるということで、受かった時はすごく嬉しかったです」と当時の心境を振り返りながら、「原作を読んでいた衝撃もあって、自分がやらなきゃいけないことがたくさん目の前にあったおかげで、あまり緊張している時間はなく、自分が準備したものを出せることを楽しみに挑めた感じがあります」と明かした。
東野絢香
東野は、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子役で出演。かねてあから共演者たちより演技が絶賛されていることに触れられると、「大変恐縮です!」と居住まいをただしていた。そして、「八重子が感じている不安感や恐怖心というものは、私も25年間、人として女性として生きてきた中で感じたことがあるものだったので、分岐点で違う道に行っただけだと思っていて。本作では、八重子のその先の人生とすごく向き合った時間でした」と、役への思い入れを語る。
岸監督は、あらためて原作の魅力に言及。「世界には“大多数”と呼ばれる人たちがいて、一方でそのカテゴリに入らない方々が存在している。“マイノリティの中のマイノリティ”が存在しています。その存在をすごく丁寧に、今この世界でどう生きているかを描いている。衝撃でしたし、目から鱗が落ちる作品でした」と熱弁をふるった。
舞台挨拶の最後には、新垣と稲垣から、映画の公開を待つファンへメッセージが贈られた。新垣は、「こういう風に観てくださいということではなくて、何か皆さんの心に届くものがあれば、それが嬉しいしありがたいことだなと思っています。じっくり、観てください」と、丁寧に語り掛けるようにコメント。稲垣は、「この映画は、あらためて人それぞれの個性を認め合うことの大切さ、そういものを発見することの喜びを感じていただける作品だと思います。素晴らしい俳優の皆さんが演じている登場人物たちを見ていると、息が苦しくなるようなとても切ない物語ではありますが、最後は深い感動を皆さんにお届けできる素晴らしい作品に仕上がっていると思います」と、自信をのぞかせた。
映画『正欲』は11月10日(金)より全国ロードショー。